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ファクタリングの割引料とは?計算方法や低くするコツについて解説
2024年9月20日
売掛債権を譲渡して、代金を受け取ることで資金調達するファクタリングは注目を集めています。
一時的なキャッシュフローの改善には効果が期待できますし、借金ではないので後に返済する必要のないお金です。
ファクタリングについて調べたことのある法人代表者の中には、「割引料」というワードを目にしたことのある人もいるでしょう。
割引料とはどのような性質のコストなのか、また割引料を低く抑えるにはどうすれば良いのかについて見ていきます。
さらにファクタリングを会計処理するにあたっての勘定科目についても見ていくので、利用の際の参考にしてください。
目次
ファクタリングの割引料とはどのようなコストか?
ファクタリングでしばしば用いられる割引料とは、手数料とほぼ同義と思ってください。
引き受けた売掛債権を回収できなかった場合のリスクヘッジや各種コストを含めたものです。
お手持ちの売掛債権から割引料を差し引いた金額が、現金化されると考えておきましょう。
割引料の計算方法
多くのファクタリング会社で割引料は一律ではなく、売掛債権の額面に対して一定の割合で徴収するスタイルをとっています。
たとえば割引料率が10%だったと仮定しましょう。
もし1,000万円の売掛債権を譲渡しようとした場合、割引料は100万円となるわけです。
この場合1,000万円から100万円の割引料を差し引いた900万円が現金化できます。
割引料率が低ければより多くの現金を手にできるので、業者選びの際には割引料率の低いところを探すべきです。
銀行融資や手型とは異なる
割引料という用語は、ファクタリングのほかにも銀行融資や手形割引でも使われます。
しかし同じ言葉でも、銀行融資や手形割引の割引料とは性格が異なるので注意してください。
銀行融資の場合割引料とは、いわゆる支払利息のことです。
手形割引の割引料とは手数料を指します。
まず大きな違いは利息制限法との兼ね合いにあります。
銀行割引や手形割引の割引は利息制限法の上限にのっとって、料率設定しなければなりません。
しかしファクタリングの割引料は、利息制限法の適用外です。
利息制限法の場合、借入額で上限は異なりますが年利は20%が上限です。
ファクタリングの場合、この20%を超える割引料率に設定しても違法ではありません。
よって割引料率がどうなっているかを確認の上で、依頼先を決めなければ大きな損を被るかもしれません。
手形割引との兼ね合いで見てみると、回収リスクも大きな相違点です。
手形割引とは、受取手形を担保とした融資サービスです。
もし担保になっている手形が回収不可能になった場合、手形は利用法人の手元にあるので不渡りの保証義務は残ります。
融資する側がデフォルトの被害を被ることはないのでローリスクの取引で、割引料をそこまで高くする必要はありません。
一方ファクタリングはノンリコース契約と言って、償還請求権なしの契約です。
もし売掛先から売掛金を回収できなかった場合、ファクタリング会社が損失を引き受けなければなりません。
リスキーな契約なので、割引料を高めに設定する傾向が見られます。
割引料の内訳
ファクタリングの割引料の中には、手続きに伴い発生する諸費用が含まれていると思ってください。
サービス料や登記費用、契約の印紙代などが含まれています。
また業者によっては審査手数料や事務手数料、債権譲渡登記をする場合の司法書士に支払う報酬などを含めて請求する場合もあります。
さらに担当者が利用法人のオフィスに出張する場合には、出張費も上乗せされるかもしれません。
中には割引料を低く見せて、諸費用は別途で請求してくる悪徳業者も見られるようです。
当初聞かされていた割引料率と別のコストを請求された場合には、担当者に説明を求めましょう。
ファクタリングの割引料を安く抑えるコツについて紹介
利用する側からすれば、ファクタリングの割引料はコストでしかありません。
効率的にお手持ちの売掛債権を現金化するためには、割引料をできるだけ安く抑えることが求められます。
具体的に割引料を抑えるポイントとして、以下の項目を踏まえてください。
1.良質の売掛債権で申し込む
2.2社間よりは3社間
3.相見積もりで比較する
4.先方と交渉する
5.同じところで現金化する
なぜ以上のポイントが割引料を低くするために必要なのか、以下で詳しく見ていきましょう。
1.良質の売掛債権で申し込む
複数の債権を抱えているのであれば、より良質の売掛債権で申し込むと良いでしょう。
多くのファクタリングの割引料を見ると「○~○%」と、一定の幅を持たせています。
この幅でどの料率を適用するかは、審査の結果次第です。
ファクタリングの審査では、買い取った売掛金を確実に回収できるかどうかをメインに考査します。
つまりより確実に回収できる、信頼性の高い売掛債権であれば、そこまで高い割引料を設定する必要はありません。
そこで良質の売掛債権で申し込めば、より低い割引料の適用される可能性は高まるわけです。
では良質の売掛債権とはどのようなものを指すのか、まずは売掛先の信用力です。
大企業や有名企業、老舗の法人であれば信用力は高いでしょう。
さらに官公庁であれば、まずデフォルトに陥る心配はありません。
業績が良好で、安定した財務状況で推移している法人の売掛債権をなるべく準備してください。
できるだけ大口の売掛債権を使って申し込むのも、割引料を低く抑えるためのコツです。
ファクタリング業者からすると、売掛債権の額は事務手数料などの諸経費にあまり大きな影響はありません。
ならば大口債権の買取をしたほうが、業者としてみればより大きな利益を確保できます。
大口債権であれば、割引料率を多少下げても大きな収益が出るので買取してもらいやすくなります。
売掛金の回収期限もチェックしておきましょう。
できるだけ期日までの日数の短い債権で申し込むのがおすすめです。
回収期限が何か月も先だと、その間に取引先が倒産する恐れも出てきます。
一方回収期限がすぐ先であれば、取引先の経営状況はあまり大きく変わらないでしょう。
回収不可のリスクも低いので、割引料も低く設定しても問題ないわけです。
2.2社間よりは3社間
ファクタリングは大きく分けて2社間と3社間に分類できます。
2社間はファクタリング業者と利用法人、3社間はさらに売掛先を含めた取引スタイルです。
3社間は売掛先の了解が必要なものの、もし承諾してもらえそうなら3社間で申し込めば割引料は低くなります。
3社間の場合、業者は引き取った売掛債権を売掛先に直接回収に動けます。
一方2社間の場合、利用法人がいったん売掛金を回収して業者に支払う流れです。
利用法人が引き取った売掛金をほかの支払いなどに使ってしまうかもしれません。
また2社間の場合、売掛先に知らせることなく取引を進める手法です。
つまり売掛債権に関して、詳しい調査ができません。
悪意ある法人であれば、二重譲渡やそもそも架空債権で実在しないものを買取させようとするところもあるかもしれません。
このように2社間は業者にとってリスキーです。
そこで割引料を大きくして、リスクマネジメントする必要があります。
3社間の場合、売掛先の了承を得て債権譲渡を行います。
より詳細に債権なども調査でき、確実に債権回収できるので高い割引料を請求する必要はありません。
3.相見積もりで比較する
ファクタリングの審査基準や割引料をどうするか、各業者独自の基準で決めています。
そこで複数のところに申し込んで、割引料率を比較するのがおすすめです。
より安い割引料で譲受してくれる業者が見つかりやすくなるからです。
ファクタリング業界は法人向け資金調達の中でも後発で、まだ法整備がそれほど進んでいません。
このため、一部悪徳業者も潜んでいると言われています。
複数の業者に相見積もりすれば、おおよその割引料の相場がわかります。
相場よりも極端に高かったり低かったりする業者は悪徳の可能性が高いので、相見積もりをすれば見極めやすくなるわけです。
4.先方と交渉する
もし「あと少しだけ割引料を低くしてほしい」と思ったら、業者に交渉を持ち掛けてみるのも一考です。
交渉方法ですが、たとえばこれまでの取引先との取引履歴を説明してみましょう。
法人用口座の通帳を持ち出し、長期的に取引を継続できている旨アピールすれば、多少割引料が低くなるかもしれません。
長期的に取引実績があり、いずれも期日までに売掛金が入金されていれば、今後も期日通りに入金される可能性が高いでしょう。
業者にとってもリスクは低く、割引料をそこまで高くする必要はないわけです。
5.同じところで現金化する
もし今後もファクタリングを利用しようと思っているのなら、前に利用した業者に申し込みましょう。
利用実績があれば、業者も売掛金の回収が問題なくできることを知っています。
ということは割引料を低くして、お手持ちの売掛債権を引き取ってくれる可能性が高いわけです。
前に利用した業者に、前に譲渡したところと同じ取引先の売掛債権で申し込めば、審査に時間がかかりません。
よってより早期に現金化できるのも、同じ業者を利用するメリットです。
ファクタリングの割引料の会計処理方法について解説
ファクタリングは売掛債権を譲渡して、現金を得る資金調達方法です。
法人のお金が動く取引なので、会計処理しなければなりません。
では割引料の勘定科目は何が適用されるのでしょうか?
また割引料に消費税が発生するのかについても、あわせて紹介します。
勘定科目は「売上債権売却損」
ファクタリングを利用した場合、何度か会計処理の必要があります。
まずは契約した段階です。
借方は未収入金、貸方は売掛金で処理してください。
次に買取段階での会計処理です。
貸方は未収入金となります。
借方は普通口座に入金されたのであれば、まず普通預金です。
そして割引料が差し引かれているはずなので、割引料は売上債権売却損という勘定科目を用い、金額を登録してください。
もし契約と入金が同日であれば、契約段階の処理は省略してもかまいません。
2社間の場合、売掛先から売掛金を自分たちで回収します。
この時の会計処理の方法は、借方が普通預金もしくは現金、貸方は預り金です。
そして業者に売掛金を支払ったら、借方は預り金で貸方は普通預金もしくは現金になります。
割引料に消費税はかからない
割引料を支払うにあたって、消費税がかかるのではないかと思う人もいるでしょう。
しかしファクタリングのような売掛債権譲渡は非課税取引に該当します。
よって譲渡取引に伴う割引料にも、消費税は発生しないと思ってください。
ファクタリングは有価証券等の譲渡に該当する取引です。
この有価証券等の譲渡に該当する取引は、国税庁のホームページでも「非課税となる取引」に明記されているので問題ありません。
また同じく国税庁のホームページの中には、金融取引に関する非課税項目も掲載しています。
その中の一つに、手形の割引料が含まれます。
このような根拠があるので、ファクタリングの割引料に消費税はかかりません。
ファクタリングの割引料に関するまとめ
ファクタリングの割引料とは、いわゆる手数料のことだと思ってください。
売掛債権の額面から割引料を差し引いた金額について現金化できます。
割引料がいくらになるかは、審査の結果次第です。
良質の売掛債権で申し込むなど、手続きで工夫することにより割引料を安く抑えられます。
ファクタリングを利用した場合、会計処理をしなければなりません。
ここで紹介した処理方法を参考にして、適切に記録をつけましょう。