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ファクタリングは貸金業ではない!貸金業の特徴や使い分けについて徹底解説
2023年12月6日
中小企業や個人事業主の方々の間で新たな資金調達手段として話題になっているファクタリング。
このファクタリングは一般的な融資と異なり、”貸金業”に分類されません。
銀行融資などは貸金業に値し、3つの法規制によって整備されています。
「ファクタリングって、貸金業だよね」
こんな誤解を解くために、今回の記事では、ファクタリングの概要はもちろん、貸金業・貸金業法について解説をしたうえで、ファクタリングと貸金業の関係性を詳しく解説していきます。
目次
ファクタリングについて
まず、ファクタリングの概要について説明します。
ファクタリングとは「売掛債権を期日前に現金化できるサービス」です。
所有している売掛債権をファクタリング会社に売却し、最短即日で入金されます。
本来であれば、売掛金は期日にならなければ現金化されません。
売掛金が発生して入金が3ヶ月後になることもあります。
売掛金は資産科目に分類されてはいますが、蓄積され続けると先出しのお金だけ失われ、手元に現金がない状態を生み出してしまうのです。
こんな状況には、ファクタリングの活用がオススメです。
ファクタリングの利用は、緊急性の高い資金不足や資金繰りを改善したい場合に有効的です。ファクタリングは、”借入”ではなく”債権譲渡取引”であるため、キャッシュフロー上では負債が増えることはありませんし、現金を即日で増やすことが出来ます。
では、次に「貸金業」の中身について説明します。
ファクタリングとの関係性を紐解く前に、ファクタリングはもちろん、貸金業に関する最低限の知識を知っておきましょう。
”貸金業”とは?
貸金業とは、お金の貸付や、また、その媒介を取り扱っており、財務局又は都道府県に登録された事業のことです。
貸金業の具体例でいうと、“ノンバンク”があります。
ノンバンクとは、いわゆる消費者金融や信販会社、クレジットカード会社(キャッシング業務)のことであり、銀行のように預金業務は行いません。
貸金業に値されるということは「貸金業法」などの法律によって整備されています。
ちなみに、銀行は”銀行法”という法律によって規制されているため、貸付業務を行っているけれども、貸金業には分類されません。
「多重債務問題」といった社会問題を解消するために、3つの法律が作られました。
これらの法律によって貸金業者を整備し、経済を適切に運営することを目的としています。
① 貸金業法
② 利息制限法
③ 出資法
それぞれの法律について詳しく解説していきます。
①貸金業法
貸金業法とは、お金を借りる側を守ることはもちろん、お金を貸す側の業者も規制することで業務改善を促し、悪質業者も取り締まる法律です。
まず、貸金業法には”総量規制”があります。
総量規制の整備によって、消費者がお金を借りすぎないように借りられるお金に制限がつけられました。
借り手の返済能力を測るために、信用情報を業者が利用できるようになり、1社で50万円越え、また、他社と合わせて100万円を超える貸付を行う場合は源泉徴収票や給与の支払明細書などの書類の提出が求められるようになりました。
年収などを基準にその3分の1を超える貸し付けは原則的に禁止されています。
また、住宅ローンや自動車ローンなどは除外貸付となり、総量規制が適用されないケースも存在します。
②利息制限法
利息制限法は、お金を借りる人を高金利から守るための法律です。
経済的弱者の人たちに対して高金利でお金を貸し付ける悪質業者の対策としてはじまり、借入金額に応じて金利が定められています。
・元本金額が10万円未満・・・20%/年
・元本金額が10万円以上100万円未満・・・18%/年
・元本金額が100万円以上・・・15%/年
大体15~20%の間で金利の上限が定められており、もし仮にこの数値を超えた貸付金利であれば、無効として扱われ、払う必要はありません。
また、返済が遅延した場合に発生する遅延損害金に関しても上限が決められています。
・元本金額が10万円未満の遅延損害金・・・29.2%/年
・元本金額が10万円以上100万円未満の遅延損害金・・・26.28%/年
・元本金額が100万円以上の遅延損害金・・・21.9%/年
以上が利息制限法の内容でした。
③出資法
最後の出資法についてです。
出資法とは、貸金業者やそのほか業者に対して利息を制限しています。
正式名称は”出資の受け入れ、預り金及び金利等の取り締まりに関する法律”であり、略して出資法と呼ばれ、金利の取り締まりに特化した法律です。
貸金業者が、利息制限法で決められた金利を超えてお金を貸し付けた場合、以下の条件で業者を取り締まることができます。
・元本金額が10万円以上100万円未満で金利18%/年を超過した場合
・元本金額が100万円以上で金利15%/年を超過した場合
これらどちらとも行政処分の対象になり、法律に基づいて罰せられます。
また、
・元本金額に関わらず金利20%/年を超過した場合
これに関しては、懲役5年以下または罰金1000万円以下の重たい罰則が科せられます。
以上が貸金業を整備する3つの法律です。
過剰な貸し付けを制限するために総量規制が、また、金利体制の正当化を図るために利息制限法と出資法が整備されたことがわかりました。
では、貸金業に値しないファクタリングですが、貸金業ではない理由について説明します。
ファクタリングは貸金業ではない
ここまでで貸金業について解説させていただきましたが、結論から言うと、”ファクタリングは貸金業ではない”です。
つまり、ファクタリングを利用する際には貸金業法などの法律に規制されないということになります。
では、なぜお金を調達できているのに貸金業には分類されないのでしょうか。
ファクタリングは貸付ではなく債権の売却
冒頭でも説明しましたが、ファクタリングは貸付ではなく債権の売買取引です。
業者はお金を貸しているのではなく、債権を買い取ってその代金を入金しています。
そもそもお金を貸していないのですから、貸金業には値しないのです。
ファクタリング会社を立ち上げる際は、特に免許や登録も不要であり、純粋な債権譲渡取引のみを行っていれば問題はありません。
ファクタリング業務のみであれば、貸金業法といった法律に規制されることもないので、手数料に上限を設けなくてもいいということになります。
ファクタリング業務のみであれば貸金業登録が不要
ファクタリング業務のみを行う場合であれば、貸金業登録は不要です。
貸金業登録とは、貸金を生業とする業者が登録を行わなければならない制度です。
ファクタリング業務にはこれが不要ですし、また、銀行などの金融機関がファクタリング業務を行うにあたっても、必要な手続きはありません。
貸金業登録をしていない業者がファクタリングサービスを提供しても違法にはなりません。
利用者の信用情報を閲覧することができない
ファクタリング取引においては、利用者の信用情報を照会することができません。
貸金業者であれば、過去の債務情報等を確認し、お金を貸し付ける際の判断材料とします。
ですが、ファクタリングは貸金業法が適用されない、そして、審査の際には売掛先の信用度を重視するため、個人の信用情報を閲覧する必要もないといえます。
ファクタリングが貸金業に分類されないことについて解説させていただきました。
ですが、中には貸金業に該当するサービスを提供する悪質な業者も存在します。
貸金業に値するファクタリングは違法!?
貸金業務登録をしていない会社が貸金業に値する業務を取り扱えば違法となり、罰則の対象となります。ですが、世の中にはそれを生業とする悪質なファクタリング業者が存在します。
「このサービスを提供しているファクタリング会社は違法である」という特徴的なケースをいくつかご紹介します。
①給与ファクタリングを提供している
給与ファクタリングとは、業者が給料の明細書を買い取り、給料日前に現金化することのできるサービスです。
実は、この給与債権を買い取り、期日前にお金を渡す行為は「金銭貸付」に値し、貸金業と判断されてしまいます。
つまり、この給与ファクタリングを提供する場合には、貸金業登録をしている業者でなければ違法となります。
法外な手数料を請求されてしまうことなど、過去に給与ファクタリングの被害は数多く存在します。実際に給与ファクタリングを取り扱った悪質業者が取り締まられた判例もありますので、給与ファクタリングを提供している業者には注意しましょう。
②償還請求権がある
基本的にファクタリングの契約には償還請求権がない“ノンリコース契約”です。
ノンリコースであることで、もし仮に売掛先が倒産した場合でも売掛金を支払う義務は利用者にはなく、ファクタリング会社が負担します。
ですが、償還請求権ありのファクタリング契約、ウィズリコースであれば、売掛先が倒産した場合に利用者がその損失を負担しなければなりません。
ノンリコースであれば、利用者側は売掛債権の貸倒れリスクを低減することができますが、ウィズリコースではそうはいきません。
償還請求権がある場合、貸金業に該当するサービスですので、その業者は違法である可能性が高いです。
③手数料の分割払い
ファクタリングの手数料の支払いにおいて、分割払いが可能である場合、違法業者かもしれません。
ファクタリング会社の収益は基本的にこの手数料の部分です。
利用者は債権額から手数料を差し引かれた金額を調達することができます。
そもそも“分割払い”は貸金業に値します。
手数料は基本的に一括払いと認識しておきましょう。
手元の現金がないために手数料の分割払いに魅力を感じ、利用したくなるかもしれません。ですが、法的にアウトな業務を行っていると判断できるため、手数料の分割払いに対応しているファクタリング会社は避けるようにしましょう。
④担保や保証人を要求している
ファクタリングサービスにおいて、担保や保証人を求めている場合は、貸金業に値しています。
担保や保証人とは、貸し付けたお金が返ってこない場合に代わり返済を行ったり、担保を売却し補填にあてたりするための保険です。
ですが、ファクタリングはそもそも貸付をしていないため、返済の義務がありません。
ファクタリング会社から担保や保証人を要求するのはお門違いということになります。
以上が、貸金業に値するファクタリング会社の見分け方でした。
ファクタリング会社の多くが貸金業登録を行っていないため、こういった業務を取り扱っている場合はほとんどが違法であると考えてもいいでしょう。
ファクタリングと貸金業の使い分けについて
ここまでで、ファクタリングと貸金業についてそれぞれ解説しました。
ですが、実際にはこれら2つをどのように使い分けていくといいのでしょうか。
ファクタリングと貸金業の使い分けを解説させていただきます。
ケース① 手数料を安く抑えたい!
緊急性もないし、手数料をひたすら安く抑えて資金調達をしたい場合は、貸金業者に資金調達を依頼するといいでしょう。
利息制限法によって利息が制限されているため、年利15~20%で抑えることが出来ます。
対してファクタリングでは手数料が、
・2社間ファクタリング・・・10~20%
・3社間ファクタリング・・・1~9%
と、年利換算すると20%を優に超えることになります。
長期的な資金調達計画を立てている場合などは貸金業者に依頼する方がいいでしょう。
ケース② 今すぐ資金調達がしたい!
急な資金不足に陥り、「今日中にでも資金を調達したい!」このくらいの緊急性がある場合や、なるべく早く現金が必要な場合にはファクタリングがオススメです。
貸金業者であれば、審査に時間を要する場合が多く、ファクタリングのように最短即日での資金調達は実現しません。
ファクタリングであれば、ある一定の条件を満たした場合、即日での入金が可能です。
建設業界などは、資金不足に陥っている段階で大型案件の依頼を受けた場合、材料費が不足し、泣く泣く案件を断らなければならない状況が発生することがあります。
ですが、ファクタリングを活用し、売掛債権を期日前に売却することで資金を補充し、案件を受注することができます。
このようにファクタリングはスピード性に優れた資金調達手段です。
ケース③ 負債を増やしたくない!
資金調達はしたいけど、負債を増やしたくない場合にもファクタリングは有効的です。
貸金業者からお金を調達した場合は“借入”となるので、負債として計上されます。
ですが、ファクタリングであれば借入ではなく債権譲渡取引に分類されるので、負債にはならず、現金の増加として計上されます。
キャッシュフロー改善にも役立ち、対外的な評価を高めることにも繋がります。
これ以上負債を増やせない場合にはファクタリングの利用がオススメです。
ファクタリングと貸金業の使い分けについて説明させていただきました。
同じお金を調達する手段であっても、内容や条件がまったく違うことが今回の記事で分かっていただけたのではないでしょうか。
ファクタリングと貸金業のまとめ
ここまででファクタリングと貸金業について説明させていただきましたが、本日の記事をまとめますと以下の通りです。
ファクタリング・・・「売掛債権を期日前に現金化できるサービス」
貸金業・・・「お金の貸付や、また、その媒介を取り扱っており、財務局又は都道府県に登録された事業」
●貸金業を整備する3つの法律
1.貸金業法
2.利息制限法
3.出資法
●ファクタリングは貸金業ではない
・ファクタリングは貸付ではなく債権の売却
・ファクタリング業務のみであれば貸金業登録が不要
・利用者の信用情報を閲覧することができない
●貸金業に値する違法ファクタリングの特徴
・給与ファクタリングを提供している
・償還請求権がある
・手数料の分割払い
・担保や保証人を要求している
●ファクタリングと貸金業の使い分けについて
ケース① 手数料を安く抑えたい→貸金業者
ケース② 今すぐ資金調達がしたい!→ファクタリング
ケース③ 負債を増やしたくない!→ファクタリング
ファクタリングと貸金業の違いについてご理解いただけたでしょうか。
ファクタリングは貸金業に分類されないということがよくわかったと思います。
貸金業であれば、法律によって整備され、その制限の範囲でお金の貸し借りが行われます。
対して、ファクタリングは一般的な民間企業ですので、こういった制限はありません。
手数料や悪質な業者の存在といった問題はいくつか生じますが、それらを回避しながら自分自身に適した資金調達手段を見つけましょう。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。