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ファクタリングと手形割引の違いとは?|それぞれの仕組みと特徴、どちらがおすすめか徹底解説!
2022年11月9日
売掛金を早期現金化しようとした際、手形を利用した資金調達方法(手形割引)と売掛債権を利用した資金調達方法(ファクタリング)の2通りの方法があります。
「手形割引とファクタリングの違いってなに?」
「対象となるものが違うだけで仕組みは同じ?」
「どっちを使って資金調達するのがいいの?どっちがおすすめ?」
このような疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
似ているようで、実は明確な違いがあるこの2つの資金調達方法。
この記事では
- ファクタリングと手形の概要と仕組み
- ファクタリングと手形割引の違い
- ファクタリングと手形割引のどちらがおすすめなのか
を徹底解説します。
手形割引とファクタリングの違いを理解することで、より有益な資金調達が可能になりますので、ぜひ最後までお読みください。
ファクタリングと手形の基礎知識
まずは、ファクタリングと手形についてその仕組みや特徴のおさらいをしてみましょう。
手形とは
手形とは簡単に言うと、「代金の支払いを約束する証明書」のこと。
すぐに支払いをせずに一定期間空けてから支払いを行う場合などに、「○日に○円支払います」と、いつ・いくらの支払いをするかを約束するために発行されています。
手形には、大きく分けて「約束手形」と「為替手形」の2種類があります。
約束手形
一般的に「手形」として認知されているのが、この約束手形。
日本で発行される手形の9割以上が約束手形であり、約2~3ヶ月後の支払いを「約束」するために用いられています。
手形を発行した会社は、手形に記載している期日に額面上の支払いを行わなければなりません。
約束した期日に約束した金額の支払いを行わないと「不渡り」となり、半年に2回の不渡りをした際には、銀行取引が停止となるペナルティがあります。
為替手形
為替手形とは、委託形式の手形のこと。
つまり、手形を発行した企業の代わりに第三者が支払いをするものとなります。
約束手形との違いは以下の通り。
約束手形 (企業Aから企業Bへ約束手形を発行) |
約2~3ヶ月後に、企業Aから企業Bへ直接支払いが行われる |
為替手形 (企業Aから銀行へ為替手形を発行) |
支払期日に、銀行から企業Bへ支払いが行われる |
手形割引|約束手形を用いた資金調達手段
手形割引とは「約束手形を用いた資金調達手段」のこと。
満期になっていない約束手形を第三者(銀行や手形割引業者)に譲渡することで、支払期日前に現金化できるサービス。
手形割引を行う際に手形割引手数料が手形の額面金額から「割り引かれる」ため、満期まで待った場合よりも金額は減りますが、早期現金化することが可能です。
手形を譲渡することで現金化する資金調達手段
上述の通り、手元にある「約束手形」を金融機関に譲渡することで、支払期日前に現金化することができる資金調達手段です。
利用者は手形を譲渡することで早期現金化が可能になり、金融機関や手形割引業者は支払期日に手形に記載されている金額を回収するという仕組みとなります。
手形が不渡りになると払い戻しの義務があるため、手数料は割安
手形は半年間に2回の不渡りを起こすと、銀行との取引停止処分を受けます。
取引停止処分を受けると、2年間の当座勘定取引および融資取引を行うことができなくなり、実質的に会社運営ができません。
そのため、約束手形を発行した会社は不渡りを回避するべく、よっぽどのことがない限り、支払期日に支払いをする可能性が高いのです。
支払われる可能性が高いため、金融機関も手形割引の対応がしやすいでしょう。
また、手形を用いた取引においては、万が一手形が不渡りになった場合、利用会社は払い戻しをしなければなりません。
金融機関側としては、売掛金を回収できないリスクを負わないため割引手数料も安いという特徴があります。
ファクタリング|売掛債権を用いた資金調達手段
ファクタリングとは「売掛債権を用いた資金調達手段」のこと。
企業が抱えている売掛債権をファクタリング会社へ譲渡・売却することで、売掛金の支払期日前に現金化できるサービスです。
売掛金額からファクタリング手数料を差し引いた額を受け取るため、本来手に入るはずだった金額より少なくなりますが、最短即日での現金化が可能です。
売掛債権の買取・譲渡により現金化する資金調達方法
ファクタリングは、ファクタリング会社に売掛債権を売却することで、支払期日前に売掛金の現金化ができるサービス。
ファクタリング会社から売掛金支払期日前に早払いを受け、売掛金支払日に売掛先から入金された売掛金をファクタリング会社へ支払うという仕組みとなります。
手形のように現物を譲渡することはできないので、契約書を交わして売掛債権譲渡の事実を明確にしています。
また、売掛債権は「商品やサービスの代金を受け取ることができる権利」であるため、手形のように法的強制力が強くありません。
売掛先の経営状況により支払いが遅れたり、未回収になるリスクは高く、ファクタリング手数料はやや割高という特徴があります。
売掛金の未回収リスクはファクタリング会社が負う
ファクタリングで資金調達した場合、万が一売掛金が支払われなかったとしても、利用会社がファクタリング会社へ弁済する必要はありません。
そのため、売掛先の倒産や経営状況の悪化による売掛金の未回収リスクの心配がいらないという特徴も。
ファクタリングには、早期現金化と売掛金の未回収リスクの回避ができるという、2つの大きなメリットがあります。
借入よりも決算書の見栄えが良い
ファクタリングは、貸借対照表の売掛金の科目を現金に振り返るだけなので、負債が増えるわけではありません。
負債が増えると、今後銀行融資などの借入を行う場合に不利となりますが、ファクタリングはその心配がいらないのです。
ファクタリングと手形割引の違い
手形割引もファクタリングも売掛債権の「早期現金化」のために利用されるサービスであり、似ている面が多くあります。
しかし、以下の4点については明確な違いがあるため、しっかりと把握しておきましょう。
債務不履行になった場合の取り扱いが異なる
手形割引とファクタリングの大きな違いは、債務不履行になったときの対応です。
債務不履行とは、売掛先の倒産や経営悪化などにより支払いを受けることができなくなった状態を指します。
債務不履行になった場合、手形割引であれば金融機関、ファクタリングであればファクタリング会社は、それぞれ売掛金を回収することができません。
そうなった場合の対応に大きな違いがあるのです。
それぞれの償還請求権(※)の取り扱いは以下の通り。
手形割引 | 償還請求権あり 手形が不渡りとなった際には、金融機関に弁済をしなければなりません |
ファクタリング | 償還請求権なし 売掛金が回収できなくても、ファクタリング会社へ弁済する必要はありません |
(※)償還請求権:万が一譲渡した売掛債権が債務不履行となった際に、弁済を求めることができる権利のこと
手形割引の場合、手形に記載されている支払期日にきちんと支払いが完了するまで、確実な売掛金の回収はできません。
言うならば、手形割引は手形を「担保」にして早期現金化しているような仕組みとなります。
そのため、手形の支払日に支払いが行われなかった場合は、金融会社へ早期現金化した分の支払いをしなければなりません。
これに対し、ファクタリングは売掛債権を譲渡・売却した時点で、売掛金の未回収リスクもファクタリング会社に移るため、払い戻しの心配は無用となります。
なお、ごく稀にファクタリングでも「償還請求権のある契約」を提案される場合がありますが、これは売掛債権担保融資(ABL)とみなされる可能性が高いです。
このようなケースで手数料が10%を超える場合は、悪質業者である可能性が高いため、利用しないようにしましょう。
現金化速度はファクタリングの方が早い
手形割引は、銀行融資などの資金調達よりは現金化が早いですが、必要書類の提出や審査、手続きに時間がかかるため、即日での資金調達はできません。
ファクタリングは、即日入金に対応しているファクタリング会社も多く存在し、最短即日・最短数時間など、より早い現金化が可能です。
それぞれの現金化までの目安は以下の通り。
手形割引 | 最短3営業日~1週間程度 |
ファクタリング | 2社間ファクタリング:最短即日~3営業日程度 3社間ファクタリング:最短3営業日~1週間程度 |
緊急性の高い資金調達の場合は、ファクタリングの利用が有効です。
※2社間ファクタリングと3社間ファクタリングについての詳しい解説は以下をご参照ください。
➡2社間ファクタリング:【最短即日】2社間ファクタリングの仕組みと法的根拠を解説!
➡3社間ファクタリング:手数料を低く抑えるなら3社間ファクタリングがおすすめ!【2社間ファクタリングとの違いも解説】
手数料は手形割引の方が低い傾向にある
手形割引は、手形を担保にした融資に近い取引であるため「貸金業法」の対象となります。
貸金業法では、借入する利用者を守るため金利の上限が設定されており、その範囲内で取引をしなければなりません。
対し、ファクタリングは売掛債権の純粋な譲渡・買取であるため、貸金業法は対象外。
そのため、ファクタリング手数料には上限がなく、手数料の設定はファクタリング会社に一任されています。
また、ファクタリングは償還請求権のない契約であり、ファクタリング会社が売掛金未回収のリスクを負わなければならない分、手数料はやや割高な傾向に。
それぞれの手数料相場は以下の通り。
手形割引 | 銀行:年1%~5%程度 貸金業者(手形割引業者):年5%~20%程度 |
ファクタリング | 2社間ファクタリング:手数料10%~30%(年利だと120%~360%) 3社間ファクタリング:手数料1%~10%(年利だと12%~102%) |
決算書(貸借対照表)の記載が異なる
手形割引を利用した場合、貸借対照表には「手形売却損」という勘定科目を記入する必要があります。
対し、ファクタリングは売掛金を「現金」に変更するだけなので、負債を負ったという扱いになりません。
ビジネスローンや銀行融資を受ける際に、決算書の見栄えが良いのはファクタリングであるため、今後融資等の借入を予定している場合はファクタリングを利用するのが良いでしょう。
ファクタリングと手形割引はどっちがおすすめ?
どちらも売掛債権の「早期現金化」が可能な資金調達手段ですが、どちらがおすすめなのでしょうか。
結論から言うと、それは利用会社のニーズによりケースバイケースです。
売掛金の未回収リスクを回避するならファクタリング
ファクタリングは、償還請求権のない取引であるため、売掛金の未回収リスクを回避したい場合はファクタリングがおすすめ。
また、なるべく迅速に資金調達したい場合や決算書の見栄えを良くしたい場合もファクタリングがおすすめでしょう。
ファクタリングをおすすめするケースは以下の通り。
- 「売掛債権」がある(必須)
- 赤字決算や税金未納など利用会社に金銭的問題がある
- 売掛金の未回収リスクを回避したい
- 決算書の見栄えを良くしたい(今後借入の予定がある)
- なるべく早く現金化したい
手数料を抑えたいなら手形割引
一方、手数料を安く抑えたいなら手形割引がおすすめです。
ファクタリングは貸付業法の対象外であるため手数料は割高ですが、手形割引は比較的割安で利用ができます。
手形割引がおすすめとなるケースは以下の通り。
- 「手形」を所有している(必須)
- コストを抑えたい
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ファクタリングと手形割引の違いとは?のまとめ
この記事では、手形割引とファクタリングの違いについて詳しく解説しました。
手形割引は「約束手形の譲渡」、ファクタリングは「売掛債権の譲渡・買取」により早期現金化できるサービスです。
早期現金化する点は同じですが、債務不履行時の対応や決算書の記載の違いなど明確な違いもあるため、しっかりと把握して、どちらを利用するか検討するのが良いでしょう。