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ファクタリングで節税できるのはなぜ?法人がお金を残すための対策について解説
2024年9月17日
事業経営を続けるためにはできるだけ出ていくお金を抑制して、事業に使えるお金を増やすことが重要です。
お金の出を抑制する方法の一つとして、節税が挙げられます。
節税方法の中の一つに、売掛債権を譲渡するファクタリングが挙げられます。
なぜファクタリングが節税につながるのかについて、ここで見ていきましょう。
ファクタリング以外の節税術についても紹介するので、法人代表者は参考にしてください。
目次
ファクタリングを利用すると節税できる理由
ファクタリングを利用した場合、結果的に節税できます。
しかしそれは経費を計上したために節税できる仕組みで、節税目的で行うべき手法とは言えません。
なぜファクタリングで節税できるのか、まずは見ていきましょう。
手数料が発生するから
ファクタリングで節税できるのは見出しの通りで、手数料が発生するからです。
ファクタリングはお手持ちの売掛金を業者に売却することで、現金を手にするシステムです。
しかしこの時、売掛金全額を手にできるわけではなく、業者の設定した手数料が差し引かれます。
たとえば1,000万円の売掛債権を持っていて、手数料10%の業者に債権譲渡したと仮定しましょう。
この場合、100万円分の手数料を差し引いた900万円が手に入るわけです。
この手続きを帳簿に記録する場合どうなるでしょうか?
1,000万円の売掛債権が発生した段階で、借方売掛金1,000万円・貸方売上1,000万円と仕訳します。
そしてファクタリング業者と契約すると、借方未収入金1,000万円・貸方売掛金1,000万円になります。
業者から代金入金された場合、先ほどと同じ10%の手数料で取引した場合の仕訳方法は以下の通りです。
借方普通預金900万円・売上債権売却損100万円、貸方未収入金1,000万円となります。
ここでポイントになるのが売上債権売却損です。
売上債権売却損は経費として計上できるので、今回の場合1,000万円の売上から100万円を経費として差し引けます。
つまり100万円分の節税効果が期待できるわけです。
率先して行う節税対策ではない
上で紹介したようにファクタリングを利用することで、節税効果が期待できます。
しかしあくまでも結果的に節税になるわけで、率先して行うべき対策ではないと思ってください。
なぜならプラスの経費ではないからです。
資産を購入したり、サービスを利用したりすればお金を使ってもこちらもプラスになります。
しかしファクタリングは、あくまでも債権の早期現金化であって、利用することで得られる資産はありません。
よって節税ありきでファクタリングを利用するのは間違っています。
資金繰りの悪化した時に改善するためにファクタリングを利用するのはおすすめです。
しかし節税対策のために優先的に利用すべきサービスではありません。
むしろ利用すればするほど手数料が差し引かれるので、損してしまう可能性もあります。
貸倒引当金の面倒な処理を回避できる
ファクタリングを利用することで結果的に節税効果が期待できるほかにも、会計上のメリットがあります。
それは貸倒引当金の設定の必要がなくなる点です。
貸倒引当金は売掛金が未回収になった場合のことを想定し、事前に損失を貸借対照表に反映する科目です。
貸付金や未収入金にも同様の設定ができます。
貸倒引当金は売掛金が回収できなくなった時のための準備として有効ですが、実際に行うと複雑な会計処理をこなさなければなりません。
たとえばもし当初想定していた売掛金の未回収金額に変化が生じた場合、その差額を改めて計上する必要があります。
また予想外に売掛金が回収できた場合には、新たに貸倒引当金戻入益を計上しなければなりません。
また売掛債権を損金として計上するためには、以下の3条件のいずれかに該当する事実が起こらなければなりません。
1.法的に債権が失われた
2.回収不能が明白になった
3.取引先と売掛債権の取引が1年以上停止された
このようにさまざまな部分を想定して、貸倒引当金の仕訳を行う必要があります。
もしファクタリングで売掛金を売却すれば、このような会計処理の一切から解放されます。
先ほど紹介した、ファクタリングの契約が成立した段階で一定の会計処理を行えばそれで完了です。
貸し倒れのリスクも回避できる
売掛債権の回収がデフォルトになった場合、貸倒引当金の計上が必要です。
しかも貸し倒れになれば、法人としてもそれなりの損害を被るでしょう。
この貸し倒れのリスクを回避できるのも、ファクタリングのメリットの一つです。
というのもファクタリングはノンリコース契約で締結されるからです。
ノンリコースとは、償還請求権のない契約を指します。
償還請求権とは、ファクタリングの場合売掛先から債権回収できなかった場合に利用法人にその支払いを請求する権利です。
償還請求権がないので、売却した債権が不良債権化しても自分たちはその責任を負いません。
つまり貸し倒れが発生しても、ファクタリングを利用していれば必要な資金を手にでき、債権回収不可に伴う損失を回避できるわけです。
もし償還請求権ありのファクタリングサービスがあれば、注意してください。
償還請求権があれば、実質売掛債権を担保にした貸付になるからです。
これは貸金業者登録していなければできないサービスで、未登録業者であれば違法業者になります。
ファクタリング以外の節税テクニックを紹介
ファクタリングでも確かに節税効果は期待できます。
しかし積極的なものではなく、ファクタリングを利用した結果節税になるといった形です。
節税を目的とするのなら、ファクタリング以外の方法を模索しましょう。
法人が利用できる節税対策として、主に以下のようなものが考えられます。
1.経営者の自宅を社宅にする
2.マイカーを法人名義にする
3.役員報酬を増やす
4.福利厚生を手厚くする
5.赤字発生なら繰り越す
6.古い在庫の処分を進める
7.中小企業倒産防止共済制度への加入
8.中古資産を購入する
9.自社ホームページを作成する
なぜ以上で紹介した対策が節税になるのかについて見ていくので、法人代表者は参考にしてください。
1.経営者の自宅を社宅にする
経営者の自宅を社宅扱いにすることで、節税対策が可能です。
社宅として経営者や従業員に貸した場合、法人の支払った賃料と入居者から受け取った家賃相当額の差額分は経費として計上できるからです。
ただし社宅として認めてもらうためには一定の条件をクリアしなければなりません。
会社名義で賃貸物件を借りて、入居する経営者や従業員から賃料を受け取る必要があります。
社宅として従業員にリーズナブルな家賃で貸し出せば、福利厚生が充実しているとアピールできます。
しかし賃料が無料など、相場と比較してあまりに安すぎると現物支給扱いになりかねません。
すると課税対象になるので、賃料の設定は慎重に検討してください。
2.マイカーを法人名義にする
個人事業主などの場合、マイカーを法人名義にしてしまうのも有効な節税対策です。
法人名義にすれば、取得費用や維持費、燃料費、保険料など車に関わるコストを損金として計上できるからです。
ただしプライベートと兼用にする場合には、プライベートでの利用料を法人に支払うなどの対策が必要になります。
また公私混同しないように、利用規定を作成するのも一考です。
3.役員報酬を増やす
法人税の節税対策の中でも、代表的な手法と言われています。
役員報酬は一定の要件を満たせば、損金として計上できるからです。
役員報酬を増額したり、役員の数を増やしたりすれば、その段階で課税所得を減らせます。
役員報酬は事業年度開始から3か月以内に変更すれば、全額損金として計上できます。
しかし役員報酬をむやみに増額した結果、トータルの納税額が逆に多くなる場合もあるので注意してください。
役員報酬を増やした結果、役員個人の所得税や住民税、社会保険料のコストも増えるからです。
また株式会社の場合、役員報酬の変更は株主総会での決議も必要不可欠です。
金額の設定など、税理士などプロに相談しながら適切に検討することが必要になるでしょう。
4.福利厚生を手厚くする
福利厚生を充実させることで、その費用は損金扱いになるので節税できます。
たとえば社員旅行を企画することで、その費用を福利厚生費にできれば節税対策になります。
ただし従業員1人当たり会社負担分が10万円以内で4泊5日以内の旅程、従業員の過半数の参加などの条件が付いてくるので注意してください。
また一定年齢以上の希望者を対象に健康診断を実施するのも、福利厚生費として計上できます。
従業員の健康管理は、法人経営の上でも欠かせません。
節税効果だけでなく、福利厚生が手厚いのは求職者に対するアピールにもなるでしょう。
5.赤字発生なら繰り越す
赤字が発生した場合、翌年度以降に繰り越せるので節税対策につながります。
赤字の繰り越しは該当期の所得金額の50%を上限として、損金算入が可能です。
しかも法人であれば、最長10年まで繰り越しが可能です。
売上が伸びて、法人税の納税額が大きくなりそうな年度にこの赤字相殺を活用すれば、大きな節税効果も期待できます。
また黒字の翌年に赤字になった場合、前年の黒字と赤字を相殺することも可能です。
そうすれば、すでに支払った法人税の還付が受けられます。
赤字の場合、法人税の支払いは免れるかもしれません。
しかし法人住民税の均等割りは赤字でも課税されるので、この部分は注意してください。
6.古い在庫の処分を進める
もし不要な在庫が残っているようであれば、処分を進めるのがおすすめです。
帳簿に記録する必要がなくなりますし、処分費用は損金計上できるので節税効果も期待できるからです。
安く処分しても売却損になりますし、廃棄した場合でも除却損として仕訳できます。
しかしもし処分した費用を損金として計上したければ、廃棄証明書などの書類を添付しなければなりません。
また損金算入するためには一定の基準をクリアしていなければならないので、計上する前に要件を確認するのも忘れないようにしましょう。
7.中小企業倒産防止共済制度への加入
「経営セーフティ共済」とも呼ばれる中小企業倒産防止共済制度に加入するのも節税対策としておすすめと言えます。
というのも掛け金は損金として計上できるからです。
中小企業倒産防止共済制度とは取引先が倒産した際に、連鎖倒産を起こさないようにするための制度です。
無担保や無保証人で掛け金の最高10倍、8,000万円を上限として借入できます。
取引先の倒産などにより売掛金回収が困難になった場合に借り入れで、資金繰りをしのげるでしょう。
ファクタリングとともに節税のほかにも、取引先の経営先行きが不透明になった時のための保険として活用すると良いでしょう。
8.中古資産を購入する
中古資産を積極的に購入する方法も節税対策として有効です。
中古資産を購入した場合耐用年数が短くなり、減価償却1年間で計上できる金額が大きくなります。
すると結果的に経費の計上が年間当たり大きくなり、より大きな節税効果が見込めるわけです。
たとえば法人名義で普通車を購入したいと思ったとします。
通常の法定耐用年数は6年です。
これが4年落ちの中古車を購入すれば、全額1年で償却できるのですべての購入代金を必要経費として計上できます。
9.自社ホームページを作成する
現在大企業はもちろんのこと、中小企業でも自前のホームページを作成しているでしょう。
もし自社サイトを作っていなければホームページの作成、すでにあればリニューアルすることでそのほとんどを経費計上できます。
ホームページの作成や運用に関するコストは、広告宣伝費もしくは通信費として計上できるからです。
ただし高度な機能を有するものに関しては、ソフトウェア扱いになって資産計上しなければならないので注意してください。
ログイン機能やショッピング機能、検索機能などが該当するでしょう。
またホームページは1年に1回は少なくても更新してください。
1年以上更新していないと、同じサイトを1年以上使用したとみなされるからです。
するとかかった費用は「長期前払費用」もしくは「繰延資産」など資産扱いにされてしまいます。
集客効果を高めるためにも、1年に1回はリニューアルをしておくのはおすすめです。
ファクタリングと節税に関するまとめ
ファクタリングの手数料は経費として計上できるので、実質的に節税効果が見込めます。
ただしあくまでも結果的に節税できるわけであって、節税のためにファクタリングを利用するのは本末転倒です。
手数料を差し引かれるので、結局損してしまうからです。
もし節税目的のためになにか対策したければ、ここで紹介した方法を検討してください。
支払サイトが長いなどで一時的にキャッシュフローが悪化しているのであれば、ファクタリングを活用しましょう。