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ファクタリングの正しい仕訳方法!勘定科目・会計処理を注意点も含め解説

2023年11月10日

発生した取引を勘定科目ごとに分類した上で記録する「仕訳」は、税務署に提出する「決算書」を作成する際にも必要な行為です。
正しい仕訳を行っていない場合には、確定申告時のトラブルにも繋がりかねず、事業を行う中で随時、間違いのない仕訳を行うことが求められます。
本稿ではファクタリングを利用した際の仕訳について、タイミングごとの記載方法と注意点を解説させていただきます。

保証型ファクタリングと買取型ファクタリング

一口に「ファクタリング」と言っても、サービス内容によって「保証型ファクタリング」と「買取型ファクタリング」の2つに大きく分けることができます。

買取ファクタリング—売掛債権をファクタリング会社に売却し現金化する、事業者向け資金調達方法。
保証ファクタリング—売掛債権が回収不可能になった際などに保証金が受取れる、保険としての役割を果たすサービス。

買取型と保証型のファクタリングについて、サービス内容を簡単に説明させていただくと上記のようになります。
どちらもファクタリングと名前には付いていても、サービス内容は大きく異なりますので、利用する目的に併せて選択していただくことが大切です。

一般的なファクタリング=買取ファクタリング

金融庁はファクタリングについて、『一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を一定の手数料を徴収して買い取るサービス』と解説しています。
この文章からも、通常「ファクタリング」と呼ばれているのは「買取ファクタリング」であると判断することができます。
事業者が資金調達のために利用するのも買取ファクタリングとなるため、本稿では買取ファクタリングの仕訳方法に焦点を当て解説させていただきます。

買取ファクタリングによる資金調達で仕訳を行うべきタイミング

買取ファクタリングを利用した際に仕訳を行うタイミングは、基本的には「売掛金発生時・ファクタリング契約時・債権売却時」の3つとなります。
しかし2社間ファクタリングを利用している際、ファクタリング契約と債権売却が同日に行われた際には、仕訳方法が追加または異なることがあるため、併せて解説させていただきます。

仕訳①売掛債権が発生したタイミング

借方—売掛金100万円
貸方—売上100万円

上記したのは100万円の売掛債権が発生したタイミングでの仕訳です。
取引先に対して商品の納品やサービスの提供が完了し、債権の額や支払日が確定した時点で売掛債権の1つである確定債権が発生します。
通常は請求書を発行するなどしているはずであり、ファクタリングを利用する上では、請求書は債権が存在する証拠としても扱われます。

仕訳②債権売却(債権譲渡)契約を締結したタイミング

借方—未収金100万円
貸方—売掛金100万円

ファクタリング会社に債権買取の申込みを行い、審査を受け提示された買取条件を承諾した上で債権売却の契約を締結した時点での仕訳は上記のようになります。
未収金とは、取引先との間に発生した売掛債権の中で、将来回収が見込まれる額であり資産として扱われます。

仕訳③債権買取が実行されたタイミング

借方—普通預金95万円、売上債権売却損5万円
貸方—未収金100万円

ファクタリング会社に対して支払った手数料が5万円で、債権を売却したことで95万円を受け取った場合には、上記したように仕訳を行い記載することになります。
ファクタリングを利用する際に発生した手数料を示す勘定科目は、「売上債権売却損」となるのが基本です。

契約締結と買取実行(入金)が同日だった場合の仕訳

ファクタリングは最短即日での債権現金化も期待できる資金調達方法です。
素早い資金調達が可能となることで急ぎで現金が必要な際にも役立ちますが、ファクタリング契約を締結した日に買取が実行された入金が行われた場合には、仕訳方法が若干異なります。
具体的には、これまでに解説させていただいた「仕訳②」の項目を省くことができ、「仕訳①」の次が「仕訳③」となるため下記のようになります。

売掛債権が発生した時点での仕訳
借方—売掛金100万円
貸方—売上100万円

契約手続と債権買取が同日に実行された場合の仕訳
借方—普通預金95万円、売上債権売却損5万円
貸方—未収金100万円

2社間ファクタリング利用時の仕訳

ファクタリングには、売掛先への通知を必要とする「3社間ファクタリング」と、通知が不要な「2社間ファクタリング」という2つの選択肢があります。
3社間での契約には、審査通過しやすく手数料も安くなりやすいが即日資金調達は難しいという特徴があります。
対して2社間での契約は手数料や審査通過率では3社間に劣るものの、即日債権現金化が期待できるのが大きなメリットとなります。
そして3社間の場合は、売掛先がファクタリング会社に対して支払い実行するため特別な仕訳は必要ありませんが、2社間の場合は売掛先から一旦支払いを受けファクタリング会社に渡す必要性が発生することから仕訳の項目も増加することになります。

売掛先から決済が行われた際の仕訳

借方—普通預金100万円
貸方—預り金100万円

ファクタリング会社への債権譲渡を通知されていない売掛先は、元々の契約に従い決済日に支払いを実行します。
この場合、ファクタリングを利用し資金調達を行った企業は、一旦は現金を受取ることになりますので、上記のように仕訳を行う必要が発生します。
受け取った現金について正しく仕訳がされていない場合、ファクタリング会社への支払いの遅れなどが起こるリスクを高めかねないため注意が必要です。

ファクタリング会社へ代金を受け渡した際の仕訳

借方—預り金100万円
貸方—普通預金100万円

2社間ファクタリングを利用した場合には、売掛先の決済時に受け取った現金をファクタリング会社に渡すことで取引が正常に完了したことになります。

ファクタリング利用時の仕訳は3つのポイントに注意

売掛債権をファクタリングを利用し現金化する仕訳は、これまでご紹介したとおりであり、それほど複雑な会計処理になるわけではありません。
しかし仕訳を行う際には3つの注意点が存在しており、そのポイントを抑えておくことでよりスムーズに仕訳を行えるようになります。

注意点①手数料の仕訳上の勘定項目

ファクタリング手数料は、売上債権売却損と記載するのが基本です。
売上債権売却損は、名前の通り債権を売却した際に発生した損を指すため、手数料を示すのに最適な項目となります。
しかし市販の会計ソフトを利用する際には、売上債権売却損の項目が存在しない可能性があります。
もし項目がない場合には「雑損失」や「支払手数料」「債権割引量」という項目で仕訳を行っていただいても問題はありません。

ただしファクタリングを利用するたびに勘定項目が異なっていると、税務調査などで指摘されてしまう危険が高まります。
トラブルを避けるためにも手数料に関する項目は、統一していただくことが求められます。
ちなみに売上債権売却損は、経費としての処理が可能です。

注意点②消費税の取り扱い

ファクタリングは「金銭債権などの譲渡」に該当する行為であり、国税庁が定める「非課税となる取引」に含まれています。
このためファクタリングによる資金調達を行っても手数料などには消費税が上乗せされることはありません。
消費税は仕訳を行う際にも注意していただきたいポイントとなりますが、ファクタリング会社から本来は不要な消費税の請求が行われた際には、悪質業者である危険が高まるため安全性の意味でも注意が必要となります。

ただし2社間ファクタリング利用時に「債権譲渡登記」を求められた際の、司法書士に対して支払う報酬などは課税対象となるため、何に対して消費税が発生したかの確認を行うことも大切です。

注意点③決算期末までの買取が実行されない場合

債権売却をファクタリング会社に申込んだタイミングや手続きの進み具合によっては、債権の買取実行が決算期末をまたいでしまう可能性があります。
もし契約手続まで完了していたとしても、入金前に決算期が過ぎてしまうと税金の支払いが必要となる点には注意が必要です。
決算期をまたぎそうな状況では、ファクタリング会社と相談を行い手続きのタイミングを調整するなどの対策が求められます。

「ファクタリングの正しい仕訳方法!」まとめ

・「売掛金発生時、ファクタリング契約時、債権売却時」の3つのタイミングで仕訳が必要
・2社間ファクタリング利用時には「売掛先からの決済時、ファクタリング会社への支払い時」にも仕訳が発生する
・手数料は「売上債権売却損」という勘定項目となり、非課税取である点や決算期に対しての意識も重要

ファクタリングを利用した際には、売掛金の発生時など必要なタイミングで正しく仕訳を行うことが大切です。
しかし仕訳の方法自体に複雑な点はなく、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの手続きの違いなどを理解していただいた上で一度でも仕訳を行っていただければ、以降はスムーズに記載することができるはずです。

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