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ファクタリングに関しての返還請求訴訟を解説!違法性の高い状況に注意

2023年10月20日

ネット上では稀に、「ファクタリングは違法な資金調達方法である」などと書かれた記事を見かけることがあるかも知れません。
そして実際にファクタリングに関して返還請求訴訟が行われた事実も存在しており、訴訟が認められたケースも存在しています。
本稿では、過去の判例を参考にさせていただきながら、返還請求訴訟が行われた状況とその結果を解説させていただきます。
また、どのような状況で訴訟が認められ、ファクタリングが法的にどのように扱われるのかもご紹介いたします。

ファクタリング会社に対しての返還請求訴訟が行われた状況とその結果

債権売却後にファクタリング会社に対しての返還請求訴訟が行われるケースとしては、「手数料の額が高過ぎる」または「貸付に該当する行為」が疑われた状況が主です。
しかし返還請求訴訟を起こした側がファクタリングの仕組みを正しく理解していないことも少なくはなく、必ずしも返還請求訴訟が認められているわけではありません。

ケース1.ファクタリング手数料が高額である

金融庁の公式ホームページには、ファクタリングとは「事業者が保有している売掛債権等を一定の手数料を徴収して買い取るサービス」であると記載されており、債権の売却には手数料の支払いが必須です。
しかし融資を受ける際の金利と比較して、ファクタリング利用時に提示される手数料の額が高過ぎると判断し、返還請求訴訟を起こすケースがあります。

具体的な訴えとしては「実質的に貸付に該当するファクタリングにおいて、手数料の額が高額であることは違法であり過払い金を請求する」という内容になります。

「結果」手数料は上限規制がないため一概に違法とは言えない

ファクタリングについて金融庁は、「法的には債権の売買(債権譲渡)契約に該当する」と公式に見解を示しており、返還請求訴訟の内容にある「貸付に該当する」という認識は正しくありません。
またファクタリング手数料に関して上限を規制する法律は現状存在しておらず、例え高額に感じる手数料であったとしても、それだけで違法行為だと言い切ることもできません。

もちろん手数料は安いほうが良いのは確かです。
しかし償還請求権なしが原則であるファクタリングは、債権の回収リスクが大きくなるにつれて手数料が高くなるのは致し方ありません。
そして契約内容が債権の譲渡として正しければ、手数料が高いという訴えだけでは返還請求訴訟が棄却される可能性が高まります。

ケース2.債権の回収をファクタリング会社が請け負わなかった

契約時に2社間ファクタリングを選択された場合、売掛先に対してファクタリング会社への債権譲渡を通知されることは基本的にありません。
ただし通知を行わないため、売掛先は通常通り債権の元の権利者に対して決済を実行し、支払いを受けた企業がファクタリング会社に対して代金を受け渡す必要が発生します。

この状況に対して、「債権の回収をファクタリング会社が請け負っていない」ことは違法であるとし、返還請求訴訟が行われるケースが存在しています。

「結果」債権回収のリスクを負っていれば貸付には該当しない

2社間ファクタリングの仕組み上、債権の回収を売掛先からファクタリング会社が直接行うのは現実的には不可能です。
このため、このケースの返還請求訴訟が認められた場合は、2社間ファクタリングそのものが違法であると判断されかねません。
ですが「債権の回収リスク」をファクタリング会社が負っていれば、違法性はないものと判断されることが大半です。
ノンリコース(償還請求権なし)での契約によって、売掛先が倒産などして債権回収が不可能になった際にも、ファクタリング利用者に対して損害が及ばない契約になっていれば、2社間ファクタリングであっても返還請求訴訟は原則認められません。

ケース3.債権の一部譲渡が行われた

ファクタリング会社によっては債権の額面全額ではなく、一部を対象とした現金化に対応している場合があります。
この「債権の一部譲渡」が貸付に該当する行為として、返還請求訴訟が行われたケースがあります。
債権の一部を現金化可能となれば、ファクタリングの利便性が向上しますが、もし不可能となった場合には希望する資金調達額に併せた売掛債権の選択が必要となります。

「結果」必ずしも債権は全額譲渡せずとも構わない

まず売掛債権の額面全てでなく、一部を譲渡する行為は法律的にも認められています。
しかし約束手形の場合は、一部譲渡はできませんのでご注意ください。
ファクタリングによって現金化が行われるのは、互いの信用を重視した掛取引によって発生する「売掛金」であるため、全額を現金化しなくとも問題はありません。
債権の一部譲渡は問題なく、債権の売買契約は貸付には該当しないため、このケースに関しても返還請求訴訟は棄却される場合が大半です。

ファクタリングで返還請求訴訟が認められる状況とは?

「ファクタリング」と名前に付く行為の中でも、労働者が給与を受取る権利(給与債権)を対象とした「給与ファクタリング」は、労働基準法に反しており融資に該当します。
また事業者向けファクタリングの場合では、これからご紹介する項目に当てはまる場合は貸付に該当すると判断される可能性が高まり、特に高額手数料請求時には返還請求訴訟が認められやすくなります。

契約書に債権の売買契約などの記載がない

売掛債権の早期現金化サービスであるファクタリングは、債権の売買(債権譲渡)契約であることが求められます。
そして契約書に債権の売買契約であることが正しく記載されていれば、貸付に該当する行為が行われた際にも契約内容に関して返還請求訴訟などが行いやすくなります。

トラブルに巻き込まれないためにも、契約書は細部まで確認することが求められます。
「債権の売買契約」または「債権譲渡契約」の記載があることをご確認ください。
もし「契約書が用意されていない」という場所と出会った場合、非常に危険と言わざるを得ないため利用をおすすめすることはできません。

ノンリコース契約でない・債権の買戻しが求められている

ファクタリング会社が債権の回収に関してのリスクを負うのがファクタリングの原則であり、一般的に契約書には「ノンリコース契約」や「償還請求権なし」と記載されます。

逆に「ウィズリコース契約」や「償還請求権あり」と記載されている場合には、資金調達を行った企業側が債権回収に関するリスクを負うことになるため、しっかりと確認していただく必要があります。
債権の買戻しが求められている場合も同様であり、何らかの方法で買取先が債権回収リスクを回避している場合には、返還請求訴訟が認められる可能性が高くなります。

担保や保証人が必要

債権の売買契約を締結する際には、担保や保証人は不要です。
無担保・無保証人で資金調達が行えるのもファクタリングを利用するメリットの1つですが、必要である場合は貸付に該当する行為となり、法律で定められた金利を超えた請求が行われた際には返還請求訴訟が認められます。
また売掛債権を担保とする場合も、もちろん貸付に該当します。

手数料の分割払いができる

売掛先の信用力はファクタリングを利用する際の重要ポイントであり、信用力が低いと判断されてしまうと手数料が高額になる確率が高まります。
またファクタリング手数料は、現金化を実行する際に差し引かれるのが一般的です。
もし手数料の分割払いができれば利用者にとってはメリットとなるかも知れませんが、手数料の分割払いも貸付と判断される要素の1つとなります。

分割払い自体にはメリットがあったとしても、ファクタリングを装いながら貸付を行っているのは事実であり、闇金融である危険も高まります。
返還請求訴訟が認められる以前に、違法貸付を行っている闇金融は利用すべきではありません。

ファクタリングに関しての金融庁の見解と法的根拠

ファクタリング会社への返還請求訴訟が認められるかの大きなポイントとなるのは、契約内容が貸付に該当するかどうかです。
貸付に該当するとなれば返還請求訴訟が高い確率で認められますが、ルールを守り正しく「債権譲渡契約」を締結し現金化を行っているファクタリング会社を相手にしての返還請求訴訟は、ほぼ確実に棄却されてしまいます。

ファクタリングの正しいルールを理解していただくために、ファクタリングについての金融庁の見解と法的根拠を改めてご紹介させていただきます。

金融庁の見解

・一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス
・事業者の資金調達の一手段
・法的には債権の売買(譲渡契約)に該当する

すでに本稿で解説させていただいた内容と重複する点もありますが、金融庁のホームページには上記したような内容が掲載されています。
この金融庁の見解に該当する行為を行っているファクタリング会社であれば返還請求訴訟の対象となる可能性は低く、安心して利用していただけるファクタリング会社となります。

法的根拠となる民法

・民法第466条「債権の譲渡性」—債権は譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りではない
・民法第555条「売買」—売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約すことによって、その効力を生ずる。

上記させていただいたのが、ファクタリングの法的根拠となる民法の抜粋です。
2020年に行われた民法改正によって、それまで売却ができなかった債権譲渡禁止特約が付与された債権も売却が可能となりました。
これらの民法により、ルールを守り正しく業務を行っているファクタリング会社には、返還請求訴訟が行われるような違法性がないと判断できます。

「ファクタリングに関しての返還請求訴訟を解説!」まとめ

・返還請求訴訟が認められるかは「ファクタリング会社が債権の回収リスクを負っていない」と判断されるかが重要
・担保や保証人が必要、ノンリコース契約でないなどの場合は貸付に該当すると判断される可能性が高まる
・ファクタリングは「債権の売買(譲渡契約)」であり、事業者の資金調達方法として認められている

ファクタリング会社に対して行われた返還請求訴訟は、債権回収リスクをファクタリング会社が負っており、貸付に該当する行為が行われていないと判断されれば、高い確率で棄却されることになります。
ほとんどのファクタリング会社は法的に債権の売買と判断される業務を行っているため、返還請求訴訟が認められる可能性は高くありません。

訴訟が認められる可能性が高いのは「ファクタリングを装った違法貸付」を行っている闇金融ですが、訴訟が認められるとしてもどのような被害を受けるかわからない危険な存在であるため、そのような場所を利用しないよう注意することも大切です。

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