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ファクタリングは「担保」が不要な資金調達方法!ABLとの違いも解説

2023年12月8日

保有している売掛債権を資金調達に活用できるファクタリングは、経営状況が審査に与える影響が小さいことなどから、「中小企業や個人事業主向けの資金調達方法」と言われています。
実際に多くの企業が債権の現金化に成功していますが、「担保不要」であることもファクタリングが中小企業や個人事業主に適している理由の1つです。
本稿では、ファクタリングが担保不要で利用できる理由と、同様に売掛債権を活用した資金調達方法である「ABL」との違いを解説させていただきます。
売掛債権を利用し資金繰りを改善したいとお考えの経営者様は、ぜひ最後までお読みください。

「ファクタリング」による資金調達の仕組み

  • 一般に「ファクタリング」とは事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス

ファクタリングに関して金融庁の公式サイトには、サービス概要について上記のような記載があります。
さらには「事業者の資金調達の一手段」とも書かれており、国も事業者向けの資金調達方法の1つとして、ファクタリングを認めていることが伺えます。
期日前の売掛債権を買取ることで現金化するファクタリングは、融資とは大きく違う仕組みであり、担保が不要であるほか、最短即日での債権現金化も期待でき赤字経営でも審査通過が可能など、融資よりも優れた面も多い、特に個人事業主や中小企業に適した資金調達方法なのです。

「債権の譲渡契約」だから担保は不要

金融庁のサイトには、ファクタリングは法的には「債権の売買(債権譲渡)契約」に該当するとも記載されています。
本稿のポイントとなる「担保」は、融資を受ける際に保証として必要になる可能性があるものです。
支払いが滞った際には回収され補填に充てられるなど、担保を設定することで融資を行う側のリスクを軽減する効果が得られます。
また融資を受けるのが難しい状況であっても、担保の価値が高ければ借入を行える可能性を高められます。
しかしファクタリングはそもそも融資ではなく債権の買取契約であるため、担保の設定は不要です。

物理担保に設定できるものは?

多くの方が担保として思いつくのは、家や土地などの不動産ではないでしょうか?
不動産などの財産は物的担保と呼ばれ、他にも預貯金や車両なども物理担保として扱うことができます。
またファクタリングによって資金調達に活用できる売掛債権も、担保として利用することが可能です。
ですがファクタリングは債権を担保として利用おらず、売却した時点で債権はファクタリング会社の保有となります。

担保だけでなく保証人も不要

不動産などの物的担保以外にも、融資を受ける際には「人的担保」が必要になる可能性があります。
人的担保とは「保証人」など、人を担保として設定することとなります。
しかしファクタリングは融資ではなく債権売却後の保証などは不要となりますので、物的担保だけでなく人的担保も必要ありません。

ファクタリングを装った「違法貸付」に注意

債権の売買契約であるファクタリングには物的担保も人的担保も必要ありませんが、これらを求めてくる場合には注意が必要です。
担保を必要とする行為は「貸金業」に該当し、貸金業登録を受けるなどしなければ事業を行うことはできません
しかし貸金業登録を受けずに、ファクタリングを装いながら貸付に該当する行為を行っている「闇金融」が存在しており、金融庁も注意喚起を行っています。

闇金融に騙されてしまうと、大きな被害を受けてしまう危険があります。
しかし、これからご紹介する注意点を意識していただければ、「ファクタリングを装った違法貸付」に騙されるリスクを大きく軽減できます。

債権の売買契約であることが記載されているか?

ファクタリングによって債権現金化を行う際には、手続の後半で「債権譲渡契約」を締結することになります。
契約書が用意されていないような場所は危険ですが、用意されていたとしても、その内容をしっかりと読み込み、債権の「売買契約」や「譲渡契約」であることが記載されているかもご確認ください
売買契約であることが証明されていれば、担保が不要である証拠ともなるため重要なポイントの1つとなります。

買取額が債権の額面より著しく低額ではないか?

融資の金利は利息制限法などによって上限が規制されていますが、ファクタリングに必要な手数料は上限を規制する法律がなく、ファクタリング会社が自由に設定することができます。
法的に制限がないため高額な手数料を請求したとしても、それだけで違法行為と判断することはできませんが、明確な理由がなく手数料の相場と言われる「2%から30%」を大きく超える額が提示された場合、利用するにはリスクの高い場所と考えられます。

また手数料が高額過ぎた場合、債権を売却できても必要な額の資金調達が行えない可能性が高まりますので、利用を推奨することはできません。

「償還請求権」にも注目

国内で行われているファクタリングは、「ノンリコース」と呼ばれる償還請求権がない契約が原則です。
償還請求権がある場合は「リコース」や「ウィズリコース」と呼ばれ、売掛先が支払いを行えない状況に陥った場合には、債権の買戻しなどを求められる可能性があります。
しかしウィズリコースファクタリングは、担保ありと同じく貸付に該当する行為であり、金融庁が見解を公表している「一般的なファクタリング」には当てはまりません。

貸金業登録などを行ない金融業を営む許可を得ていれば、ウィズリコースも違法行為ではありませんが、一般的なファクタリングを希望するのであれば、償還請求権のない契約内容となっているかの確認が重要となります。

「売掛債権を担保とした融資」=「ABL」

ウィズリコースファクタリングは、売掛債権を担保として設定しているわけではありませんが、担保に近い扱いとなっている契約方法です。
しかし他にも売掛債権を活用した資金調達方法は存在しており、「ABL」は売掛債権を担保として設定し貸付を行う融資商品となっています。
ABLは「Asset Based Lending」の略称であり、日本語では「動産担保融資」などと呼ばれています。

ファクタリングとABLの違い

一般的なファクタリングとABLの最も大きな違いは、ファクタリングは債権の売買契約に該当しABLは融資となることから、「売掛債権を担保として扱うかどうか」となります。
ですが融資とファクタリングのどちらを選ぶべきかと考えた時には、それぞれの特徴の違いを正しく理解することが求められます。
ここからは、資金調達方法としてファクタリングとABLを比較した場合の違いと、どちらが中小企業向けの選択肢となるかを解説させていただきます。

資金調達スピード

ファクタリングは最短即日で債権を現金化することが可能であり、多くの状況で数日から一週間以内には現金を手にすることができます
さらにWEB完結型のオンラインファクタリングを利用すれば、申込手続が完了してから1時間以内に資金調達を終えることも不可能ではなくなります。

これに対してABLは金融機関での審査に時間がかかる傾向があり、融資が実際に行われるまでに1ヶ月前後の期間が必要になることも少なくありません。
例え売掛債権が担保となっていても、融資は完済できるまでの返済能力を審査で問われるため、その判断に時間がかかり、急ぎの資金調達には向いているとは言い難いのが現実です。

資金調達額

債権の売買契約であるファクタリングの場合、受け取れる額は元々の債権の額面から手数料などの費用を引いた額となります。
提示される手数料はファクタリング会社次第ではありますが、債権の額面よりも資金調達額が下回ることは避けられません。

ですが融資であるABLの場合は、審査結果次第では担保に設定した売掛債権の額以上の資金調達に成功できる可能性があります。
もちろん審査結果次第であり、担保として設定した売掛債権が低い評価となった際などは、期待した額の融資が受けられないことも考えられます。
資金調達できる額は、ファクタリングは最大でも売掛債権の額面に近い額であり、ABLの場合は債権の額を超える資金調達の可能性もあるということになります。

審査通過のしやすさ

赤字経営や税金の滞納中であっても売掛先の信用力が十分にあれば、ファクタリングによる資金調達は可能です。
これはファクタリング会社にとって、債権の支払いを行わない立場である、債権買取を申込んだ企業の経営状況は重要なポイントではないからです。

しかしABLの場合は、返済を行うことになる融資を申込んだ企業の経営状況は、重要なポイントとなります。
担保に設定する売掛債権の評価が高ければ審査に好影響が与えられますが、返済能力そのものに不安があるとなれば審査通過は難しくなってしまうのです。

資金調達後のリスク

ファクタリングは「償還請求権なし」であるノンリコース契約が原則です。
ノンリコースであれば債権売却後に売掛先が倒産してしまったとしても、債権の買戻しを求められることはありません

ですがABLは売掛債権を担保とした融資であるため、返済が滞った場合には担保に設定した売掛債権を失ってしまうというリスクがあります。
支払いが滞るということは経営状況が苦しくなっている可能性が高いはずですが、その状況で担保にした売掛債権も失うとなれば資金繰りに対してさらに大きな影響を与えかねません。
完済までスムーズに返済できれば問題はないとは言えますが、資金調達後のリスクが存在していることも確かです。

ファクタリングは中小企業向きの資金調達方法

中小企業や個人事業主にとって、タイムリーに資金調達が行える早さと担保が要らないなど審査通過のしやすさを兼ね揃えたファクタリングは、資金繰り改善に大きく役立つはずです。
大きな額の資金調達を行うためには、それ相応の額の債権が必要となるものの、資金ショートのピンチを乗り切るためや融資までのつなぎ資金の確保など、様々な場面でファクタリングは役立ちます。

『ファクタリングは「担保」が不要な資金調達方法!』まとめ

  • ファクタリングは債権の「売買契約」であるため担保不要で利用できる
  • ファクタリングを装いながら担保などを求めてくる場合には、闇金融による違法貸付でないかの確認が必要
  • 売掛債権を担保とできるABLは融資に該当し、資金調達スピードや審査通過のしやすさでファクタリングに劣ることが多い

債権の売買契約であるファクタリングは物的担保も保証人も必要なく、期日前の売掛債権を保有していれば、多くの企業が利用可能です。
ですが金融庁も注意喚起を行っている「ファクタリングを装った違法貸付」には注意が必要です。
またファクタリングと同様に売掛債権を資金調達に活用できるABLは債権を担保に設定できる融資であり、大きく仕組みが異なります。
多くの中小企業や個人事業主にとって、ファクタリングの資金調達スピードや経営状況が審査に大きく影響しない点などは大きなメリットとなるはずですので、ぜひ資金繰りへの活用をご検討ください。

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