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「ファクタリング」と「でんさい」を徹底比較!それぞれの概要や違いを解説

2023年11月13日

事業者向け資金調達方法の1つであるファクタリングは、中小企業を中心に需要が高まりつつあり、多くの企業の資金繰り改善に役立つサービスです。
そしてファクタリングは売掛債権を活用するサービスですが、「でんさい」も売掛債権に大きく関係するサービスです。
本稿ではファクタリングと「でんさい」の概要だけでなく、どのような違いがあり、どんな状況で利用すべきなのかも解説させていただきます。

「ファクタリング」と「でんさい」の概要

「ファクタリング」と「でんさい」は、どちらも売掛債権を活用した事業者向けのサービスです。
しかしサービスの特徴などは大きく異なり、違いを理解した上で活用していただくことが大切です。
まずはファクタリングと「でんさい」がそれぞれどのようなサービスであるかを簡単にご紹介いたします。

ファクタリング=「債権売却」による早期現金化サービス

決済日前の売掛債権をファクタリング会社に売却し、早期現金化を行うのがファクタリングです。
事業者向けの資金調達方法の1つとして金融庁も認めており、法的には債権の売買(債権譲渡)契約に該当します。

2020年の民法改正によって債権譲渡禁止特約が付与されている売掛債権もファクタリングに利用可能となり、利便性が大きく高まったことも利用者の増加に繋がりました。
また将来的に債権の発生が予想される、「将来債権」も譲渡できるようになったことで、今後さらに資金調達方法としての認知度が高まることが予想されます。

でんさい=電子記録債権を用いた支払・決済手段

「でんさい」とは、「電子記録債権」を略した言葉です。
電子記録債権は、発行手続や管理などの負担が小さくはなかった従来の手形を、ネットワーク上で発行や管理できるようにしたものとなります。
「でんさい」は全国銀行協会が100%出資して設立した「株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)」が取り扱うサービスであり、みずほ銀行(電子ペイ)や三菱UFJ銀行(電手)など、他の金融機関独自の電子記録債権も存在しています。

「でんさい」は譲渡や割引による現金化も可能

「でんさい」は支払・決済手段の一種であり、そのシステム自体を指す名称となります。
しかし「でんさい」上での電子記録債権は譲渡が可能であり、企業間の支払いにも活用することが可能です。
さらには「でんさい割引」と呼ばれるサービスを利用することで、保有する電子記録債権を資金調達に利用することも可能となります。

「ファクタリング」と「でんさい割引」の6つの違い

電子記録債権も売掛債権の1つの形であり、ファクタリングと「でんさい割引」はどちらも売掛債権を活用した資金調達方法となります。
しかし2つの資金調達方法には6つの大きな違いがあるため、どちらを選んでも大丈夫とは言い切れません。
ですが、これから解説させていただくファクタリングと「でんさい割引」の違いを理解していただくことで、どちらを利用するかの選択も容易になるはずです。

利用条件

ファクタリング—決済日前の売掛債権(原則、確定債権)を保有している
でんさい割引—取引先も「でんさい」のシステムが利用できる

ファクタリングも「でんさい割引」も、どちらも個人授業主・法人問わず一部の申込先を除いて利用可能ですが、利用するための条件をクリアするのはファクタリングの方が容易です。
決済日が過ぎた不良債権は買取対象とはなりませんが、売掛債権を保有する企業のほとんどがファクタリングの利用対象となることができます。これに対して「でんさい割引」は、利用者だけでなく取引先も「でんさい」のシステムを利用できることが条件となり、利用条件を満たすためのハードルは低いとは言えません。

現金化までの手間

ファクタリング—債権現金化を行う度に申込みを行い、都度、書類提出や契約手続などが必要となる
でんさい割引—初回利用時に契約手続などを行っておけば、債権を現金化する際の手続きの手間はわずか

「でんさい」が利用可能な状況であれば、「でんさい割引」を利用する際に必要な手間は僅かで済みます。
またファクタリングの場合は債権売却の契約を行う度に手続きを行う必要はありますが、同じファクタリング会社を継続的に利用することで、面談など一部の手続きが省略できる期待があります。
債権を現金化するまでの手続きに必要な時間や難易度に関しては、利用条件を満たす難しさも含めて判断していただくことが大切です。

資金調達後のリスク

ファクタリング—原則償還請求権なし、担保・保証人不要
でんさい割引—償還請求権あり

償還請求権なし(ノンリコース)が原則であるファクタリングでは、売掛先が倒産し決済が不可能になったとしても遡及義務はなく、買取代金の返還などを求められることはありません。
さらに担保も保証人も不要なため、資金調達後のリスクについてあまり心配せずに債権現金化を行うことができます。

ですが「でんさい割引」はファクタリングと違い償還請求権ありでの契約が原則となるため、万が一にでも売掛先が倒産した際には大きな負担を背負うことになりかねません。
資金調達後の安心感に関してはファクタリングの方が高く、「でんさい割引」を利用する際にはリスクを考慮する必要性があります。

審査基準

ファクタリング—売掛先の信用力重視、赤字経営・税金滞納中の企業も利用可能
でんさい割引—利用者の経営状況や与信情報が重要

ファクタリングも「でんさい割引」も、利用する際には審査を通過しなくてはなりませんが、審査基準には大きな違いがあります。

ファクタリングの審査で重要視されるのは決済を行う売掛先の信用力であり、経営状況だけでなく取引実績なども調査対象となります。
しかし債権売却を希望する企業の経営状況はそれほど重要なポイントではなく、赤字経営や税金滞納中の企業も審査通過が可能です。

対して「でんさい割引」では、利用する企業の経営状況や与信情報に問題がないことが重要であり、さらに審査も厳しめに行われるため、経営状況に不安がある企業の審査通過は難しくなる傾向があります。

手数料

ファクタリング—2%から10%(2社間ファクタリング)、10%から30%(3社間ファクタリング)
でんさい割引—1.5%から6.0%

ファクタリングと「でんさい割引」のどちらも、資金調達を行う際には手数料の支払いが必要となります。
手数料相場としては「でんさい割引」の方が低めではありますが、どちらも提示される手数料は審査によって決定されるため、売掛先の信用力や申込みを行った企業の経営状況に大きく左右されます。

また「でんさい割引」の方が手数料の相場は低めになっていますが、審査が厳しめに行われることや償還請求権ありでの契約が原則であることが大きく影響しており、債権回収のリスクを買取側が背負うファクタリングと、単純に比較できるものではありません。

売掛先との関係性への影響

ファクタリング—2社間ファクタリングを選ぶことで売掛先への通知が不要となる
でんさい割引—電子記録として履歴が残るため売掛先は常時確認が可能

「でんさい割引」は売掛債権を現金化した場合には電子記録として履歴が残り、取引先は履歴を確認することで「でんさい割引」の利用を把握することができます。
ファクタリングにおいては、売掛先への通知が必要となる3社間ファクタリングを選ばず、通知が不要な2社間ファクタリングによって契約を行うことで、売掛先が債権の譲渡に気づく可能性をほぼゼロにすることが可能となります。

「でんさい割引」もファクタリングも決して利用を隠す必要はないのですが、利用したことで資金難を疑われるリスクは全く無いとは言えません。
どちらを選択するか悩んだ際には、売掛先との関係性を考慮するのもポイントの1つとなります。

ファクタリングと「でんさい割引」を選ぶべき状況

ファクタリングと「でんさい割引」は、それぞれに特徴があり、既に解説させていただいたような相違点も存在しています。
資金調達方法としては、どちらかが優れているとは言い切れず、状況に応じて選ぶことが大切です。
ここからは、ファクタリングと「でんさい割引」に適したシチュエーションを、それぞれご紹介させていただきます。

「ファクタリング」に適した状況

・資金調達を急いでいる
・売掛先に知られずに債権譲渡を行いたい
・経営状況に不安がある
・売掛先の倒産リスクを考慮したい

明日にでも現金が必要など資金調達を急いでいる時には、即日債権現金化も可能なファクタリングが役立ちます。
また2社間ファクタリングを選ぶことで売掛先への通知も不要となり、バレずに債権売却を行うことも難しくはなくなります。
また融資とは違い経営状況が審査に大きくは影響せず、売掛先の信用力や取引実績が十分にあれば赤字経営などの企業も審査通過できる期待は高くなります。
さらに担保も保証人も不要で償還請求権も原則なしであることで、資金調達後の安心感も向上します。

「でんさい割引」に適した状況

・売掛先も「でんさい」が利用可能
・少しでも安い手数料での資金調達を希望している
・継続利用を検討している
・売掛先の倒産リスクが非常に低い

「でんさい割引」を利用するには、取引先も「でんさい」を利用できることが前提となるため、まずはこのハードルをクリアできるかがポイントとなります。
しかし利用できる状況が整えば「でんさい割引」を利用する手間自体は僅かで済むことから、度々の利用を検討されている場合には適しています。
手数料がファクタリング利用時よりも低くなりやすいのはメリットとなりますが、償還請求権ありの契約が基本となっており、倒産リスクを背負うことになる点は考慮する必要があります。

『「ファクタリング」と「でんさい」を比較!』まとめ

・ファクタリングは債権の売買契約による資金調達方法であり、「でんさい」は電子記録債権を用いた支払いや決済の手段
・「でんさい」も「でんさい割引」によって、債権を資金調達に活用することが可能
・ファクタリングと「でんさい割引」には、手続きのハードルや手数料、償還請求権の有無など様々な違いがある

電子記録債権を用いた取引手段である「でんさい」では「でんさい割引」が利用可能であり、債権を資金調達に活用できるという点はファクタリングと共通しています。
しかし取引先が「でんさい」のシステムが利用できるのが「でんさい割引」を利用するための条件の1つであり、全ての取引先との決済に役立てられるわけではありません。
ファクタリングと「でんさい割引」との違いや特徴を正しく理解していただき、適したシチュエーションで活用していただくことができれば、資金繰りの大きな助けになるはずです。

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