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「通帳なし」でのファクタリングは不可?通帳なしで利用するリスクも解説
2023年10月19日
ファクタリングによって債権を現金化するためには、審査や契約手続きのために幾つかの書類提出が必要です。
その中には「通帳のコピー」が含まれていますが、何かの理由によって提出が難しい場合もあるかも知れません。
本稿では「通帳なしでも、ファクタリングは利用可能なのか?」という疑問への答えとなる情報を解説させていただきます。
なるべくなら「通帳なし」で債権を売却したいとお考えの経営者様の、ご参考になれば幸いです。
目次
ファクタリングの利用には「3つの書類」が必須
- 経営者様の「本人確認書類」
- 売掛債権が存在する証拠となる「請求書」
- 取引先からの入金が確認できる「通帳のコピー」
上記3つの書類はファクタリングを利用するために、多くのファクタリング会社で必須となる書類です。
この他にも状況に応じて、追加で書類の提出が必要になる場合もありますが、この3つの書類さえ用意できれば利用可能という場所も複数存在しています。
したがって、通帳なしでファクタリングを行うのは非常に難しいと言えます。
まずは必須書類の役割と、どのような書類を用意すれば良いのかを解説させていただきます。
本人確認書類
申込みを行った名義とは違う第三者による「なりすまし」を防ぐために、「代表者の本人確認書類」の提出が求められます。
詐欺被害を避けるための書類という役割的に、写真付きであることが望ましく、「運転免許証」や「マイナンバーカード」が代表的な書類となります。
パスポートも身分証明証として利用できる可能性が高い書類ですが、2020年2月4日以降に発行されたものに関しては、住所の記載がないため身分証明証としての役割を果たせない可能性があります。
健康保険証や年金手帳などは、公共料金の領収書などの補完書類を提示することで本人確認書類として公的には利用可能となりますが、ファクタリング会社が利用を認めるかは確認が必要です。
請求書
ファクタリングは売掛債権を売却し現金へと変える資金調達方法であり、決済日前の債権を保有しているという条件を満たすことができれば、高い確率で利用することができます。
そして「請求書」は、売掛債権を保有しているという証拠の1つとなり、取引で発生した額などの情報を確認するためにも役立ちます。
もし何らかの理由で請求書の提出が難しい場合には、「売掛先との基本契約書」や「納品書」などでも代用できる可能性があります。
請求書以外の、どのような書類が利用できるかは申込先によって変わりますので、確認した上でご用意ください。
通帳のコピー
「通帳のコピー」は、取引履歴を確認するために利用されます。
売却を希望する債権の売掛先との取引に使用している金融機関口座でなくてはならず、通帳なしや通帳のコピーの提出なしでファクタリングによる資金調達を行うのは、非常に難しいと言わざるを得ません。
何らかの理由がある場合は、通帳なしでも利用可能かを確認して見るべきではありますが、他の提出書類での代用は難しいでしょう。
「通帳コピー」の審査での働き
ファクタリングを通帳コピーの提出なしで利用するのは現実的には難しく、ファクタリングで債権を現金化する上で必須の書類と考えていただいて問題ありません。
そこまで重要視されているのは、審査において重要な情報が通帳コピーで確認することができるからです。
ここからは通帳のコピーなしで債権現金化ができない理由ともなる、「通帳コピー」の3つの働きを解説させていただきます。
売掛先との取引頻度
通帳の入金履歴を確認することで、売掛先との取引頻度や回数を調査することが可能です。
ファクタリングの審査では、過去の取引回数が多いほど信用できる取引先と判断される傾向があります。
通帳なしの場合は、取引回数を確認するために他の書類を幾つも用意しなくてはならない可能性が高くなります。
しかし通帳1つあれば取引の回数や頻度が容易に確認できることから、「通帳なし」での利用は歓迎されないのです。
決済の遅延の有無
債権の決済日は売掛先と決めることになりますが、都度変更されるわけではなく、売掛債権が発生した翌月の月末など、毎回同じ条件となるのが一般的です。
支払日を定めておかないと、支払側・受取側の両方にとって管理が複雑になるためというのが理由の1つです。
そして決済日が決まっていれば、通帳上で実際に支払いが実行された日をチェックすることで、支払いの遅延があったかどうかを調査することができます。
債権の支払いを遅らせる企業を信用することは難しく、債権の買取審査への影響は小さくありません。
通帳コピーの提出なしとなれば、遅延があったかの確認に手間がかかるため、通帳なしでの利用は原則不可となります。
債権が存在しているという証明
ファクタリングを利用して資金調達を行うためには、売掛債権を保有していなければなりません。
そして債権の存在を証明するためには「請求書」やその代役を果たせる書類の準備が必要となります。
しかし請求書は偽造できない書類ではなく、請求書とプラスして通帳コピーを提出することで信頼度が大きく高まるのです。
定期的に取引のある取引先の売掛債権を偽造するのは、企業にとっても大きなリスクとなります。
通帳なしとなれば、取引実績不明のまま買取を行うことになりかねず、通帳のコピーなしでの買取はファクタリング会社側にとって大きなリスクとなるのです。
「売掛先の信用力」の判断には通帳コピーが必須
通帳のコピーがファクタリングの審査で果たす働きは、他の書類を用意することでも果たすことが不可能とは言い切れません。
しかし通帳のコピーがあるだけで多くの情報が手に入るのに対して、通帳なしでは、代わりとなる書類の準備の手間も大きくかかり、確認するファクタリング会社側の負担も高まります。
現実的には、通帳なしで売掛先の信用力を判断することは難しく、「通帳なしではファクタリングは利用できない」と考えていただく方が確実です。
「通帳なし」で利用できるファクタリング会社はハイリスク
インターネット上で検索するなどした結果、「通帳なしでもファクタリングによる資金調達可能」などという文字を見つけたとしても、安易に信用してしまうのは危険です。
これまでご紹介した通り、通帳なしで利用できないのには理由があります。
それにも関わらず、通帳コピーの提出なしで利用できるということは相応の理由があり、資金調達に利用するのはハイリスクかも知れません。
「通帳なし」での債権買取ができる理由
通帳なしでの利用をファクタリング会社が歓迎していないのは、買取リスクの判断が難しくなり、債権の回収が不可能になるなど場合によっては大きな被害を受ける危険があるからです。
それにも関わらず通帳コピーの提出なしで利用できるとすれば、買取リスク以上のメリットがあるか、債権売却を行った側にリスクを補填させることができるかのどちらかということになります。
通帳なしで利用できるファクタリング会社が見つかっても、これからご紹介するリスクがあると予想し、利用を踏みとどまっていただくことを推奨します。
高額な手数料請求を行うから
ファクタリングによって債権を現金化する際には、手数料の支払いが必要です。
手数料は買取リスクが高くなるほど高額になり、あまりにリスクが高いと判断されれば買取を拒否される可能性もあります。
またファクタリングの手数料は上限を規制する法律がないため、設定する手数料はファクタリング会社次第となります。
通帳なしでも利用可能な場所は、通帳が用意できないという弱みに付け込み、非常に高額な手数料を請求してくる可能性があります。
一時しのぎになったとしても、結果的に経営に悪影響となる危険があるため、利用するメリットは低いとお考えください。
償還請求権ありの契約になっているから
一般的なファクタリングでは、債権の買取が完了した後は売掛先が倒産したとしても代理での支払いや債権の買い戻しを求められない、「償還請求権なし(ノンリコース)」が原則です。
しかし通帳なしでの債権現金化が可能な場所では、「償還請求権あり(ウィズリコース)」とすることで、債権回収のリスク対策としている可能性があります。
償還請求権ありの契約は債権の買取ではなく貸付と判断される確率が高く、一般的なファクタリングには該当しません。
名称としてはファクタリングと名乗っていても、サービス内容は大きく異なりますので注意が必要です。
闇金融による違法な貸付だから
貸金業を営む許可を得ずに、実質的に貸付に該当するサービスをファクタリングを装い行っている、「闇金融」による被害が確認されています。
金融庁も注意喚起を行っていますが、違法貸付を利用してしまった場合、法外な金利によって大きな損害を受けるだけでなく、恫喝などを含めた強引な取り立ても行われる危険があります。
本来必要であるはずの通帳なしで利用可能な場所の中には、闇金融が隠れている可能性もあり、危険性の高さを理解しておくことが大切です。
『「通帳なし」でのファクタリングは不可?』まとめ
- ファクタリングにおいて「本人確認書類・請求書・通帳コピー」は必須の書類
- 売掛先との取引頻度や支払遅延の有無の確認に必要なため、通帳なしでの利用は原則不可
- 通帳なしで利用可能な場所は、高額な手数料請求や貸付に該当する行為であるリスクが高く注意が必要
ファクタリングは銀行融資などと比べて、提出書類が少なく利用しやすい資金調達方法です。
しかし本人確認書類や請求書、通帳コピーは必須の書類であり、通帳なしでは他の書類での代用は基本的にできません。
通帳はファクタリングの審査でも重要な役割を果たす書類であることから、提出ができる状態で審査を受けるほうが、スムーズに資金調達を行えるのは間違いありません。