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ファクタリングには規制がない?現在の課題や安全に利用する方法について解説
2024年7月30日
自らの売掛債権を譲渡して、代金を受け取る資金調達方法のファクタリングは注目を集めています。
しかしこのファクタリング、法人向け資金調達方法の中では比較的後発です。
このため、まだ法整備の進んでいないのが現状です。
よって悪徳業者の潜んでいる可能性があるので、利用する際には注意しなければなりません。
目次
ファクタリングを規制する法律がない
ファクタリングの問題点として、業者を規制する法律がない点はしばしば指摘されます。
その理由として大きいのは、貸金業者として登録する必要がない点です。
貸金業者であれば、貸金業登録を金融庁で行わないといけません。
貸金業者であれば、年利20%を超える利率で融資すれば刑事罰の対象です。
また利息制限法を超える利率で貸し付けても向こうで、利用者は過払い金請求が可能です。
しかし貸金業者でないファクタリングは、このような規制が適用されません。
貸金業者ではない理由
ファクタリングは、利用者に現金を渡しますがこの行為は融資ではありません。
利用者の保有する売掛債権の買取行為に該当します。
よってお金を貸していない、すなわち貸金業とは認められません。
利息制限法や出資法などの利率の上限を規制する法律は、金銭消費貸借契約を対象にしています。
ところがファクタリングは債権譲渡に関する契約です。
契約の形態がそもそも違うので、法律の規制を受けません。
過払い金請求ができない
コマーシャルで「過払い金請求」の宣伝を耳にしたことはありませんか?
これは利息制限法で規制されている上限を超える利率で利息支払いした場合、その分は返還請求できるというものです。
しかしファクタリングは貸金業者ではないので、利息制限法による規制の対象外です。
たとえ利息制限法を超える利率で手数料を徴収していても、のちに返還請求手続きはできません。
貸金業ではありえない高利での手数料請求をされても、泣き寝入りせざるを得ない可能性が高いわけです。
基本的には合法な取引
ファクタリングそのものの取引自体は、合法です。
これは民法の中でも明記されていて、債権を別の誰かに譲渡することは可能となっています。
また売掛先が債権の譲渡について制限を課した場合でも、法的には規制を受けません。
つまり取引先が「この債権は別の誰かに渡さないで」と意思表示しても、その効力は妨げられます。
よってファクタリング事業そのものを営むことについて、規制はありません。
そしてすべての業者が問題なわけでもありません。
あくまでも問題は一見するとファクタリング事業者のように見せかけて、違法な貸付を行っている悪徳業者です。
偽装ファクタリングの闇金業者に注意
金融庁でも違法行為を行っている業者に関する注意喚起を行っています。
偽装ファクタリングと言って、一見すると債権譲渡契約のようで実質的には貸付行為を行う業者に対する注意喚起です。
契約書には「債権譲渡契約」と銘打たれていても、偽装の場合融資と同様の行為も見られます。
とくにリコース条項が盛り込まれているものは、偽装行為であり違法だと思ってください。
リコースとは、債権買戻事項のことです。
もし業者が売掛金回収できなかった場合、その債権を利用法人が買い戻す決まりになっていると違法になります。
もしくは利用法人が回収できなかった代金を支払う行為も同様です。
これは売掛債権を担保にした貸付行為と解釈できます。
この場合、業者は貸金業登録しなければなりませんし、利息制限法や出資法に基づく利率設定にしなければなりません。
日本でも規制の動きが
ファクタリングには法規制がない半面、設けるべきではないかという議論も出てきています。
令和2年の9月の質問主意書では、ファクタリングを取り上げています。
悪徳業者を中心に出資法もしくは利息制限法で規制されている上限利率超を手数料として、受け取る事例について指摘しました。
また欧州復興開発銀行の調査によると、対象国の過半数がファクタリングに関する許認可もしくは登録を実施していると答えています。
このような根拠に基づき、ファクタリングに関する規制を設ける必要があるという内容の質問でした。
日本国内でもサービスを利用する法人も増えてきています。
そこで現状の法規制の制約を受けない状況は好ましくないという意見も少なくありません。
今後日本でもサービス行為に関する規制の盛り込まれた法律が出てくるかもしれません。
悪徳業者に騙されないための見分け方
ファクタリングの法規制がなかなか進んでいない現状、悪徳業者もうごめいている可能性はあると思ってください。
悪徳業者に騙されないためには、以下のポイントをチェックして利用するかどうか検討しましょう。
1.債権譲渡契約になっているか?
2.手数料が妥当な利率か?
3.償還請求権の有無
4.買戻特約の有無
5.分割払いが認められていないか?
6.コンプライアンスに関する取扱い
7.口コミを確認する
なぜ以上で紹介したポイントが騙されないために重要なのか、以下で紹介します。
1.債権譲渡契約になっているか?
ファクタリングは、法人が保有する売掛債権を譲渡し、その代金を手にするサービスです。
よって契約書は「債権譲渡契約」になっているはずです。
さすがに「金銭消費貸借契約」というタイトルで契約書は作成しないでしょう。
しかし内容は実質的には金銭貸借契約の内容の場合も見られます。
たとえば後に利息を請求できるような契約になっている場合、要注意です。
ファクタリングは債権買取時に額面から事業所の決めた手数料を差し引いて、代金を支払います。
よって後に利息が発生するはずはありません。
このように名目は債権譲渡契約でも、内容が異なる場合もあります。
よって契約書を提示されてもすぐにサインせず、最後まで内容に目を通しましょう。
そしてわからないところは担当者に質問して、納得いくまで説明してもらうべきです。
また契約書の控えをもらって、大事に保管しましょう。
悪徳業者の場合、口約束だけで終わらせようとします。
口約束だと「言った言わない」の水掛け論になるので文書としてきちんと残しておくべきです。
2.手数料が妥当な利率か?
偽装業者の手口として、利息制限法などの規制をはるかに超える手数料設定にしている点も代表的です。
手数料には相場があるので、その相場観で妥当な利率か確認してください。
ファクタリングは2社間と3社間に分類でき、相場はそれぞれ異なります。
2社間は法人と業者の直接取引で、3社間はそこに売掛先の了解が必要になります。
2社間の場合8~20%、3社間で1~9%が相場だと考えてください。
とくに20%をはるかに超える手数料請求された場合には注意しましょう。
不当に高い手数料で、利益をあげようとしている悪徳業者の可能性大です。
法律による規制を良いことに、不当な利率設定にしているかもしれません。
3.償還請求権の有無
契約書の中に償還請求権に関する条項が書かれていれば、そこは利用しないほうが賢明です。
償還請求権とは、売掛先の事情で債権回収できなかった場合、利用法人にその代金を請求できる権利です。
「遡求権」と呼ばれることもあります。
「ウィズリコース契約」と呼ばれる場合もありますが、まっとうな業者の場合償還請求権なしのノンリコース契約になっているはずです。
ウィズリコースの場合、売掛金回収する権利を有し、回収できなければそのリスクを法人側が背負う形になり不平等です。
政府でもこれは売掛金を担保とした融資と見る向きが強まっているので、違法業者と見なして良いでしょう。
償還請求権に関する内容が含まれていないか、署名・捺印する前に確認してください。
契約書では判断できないようであれば、担当者に必ず問い合わせましょう。
4.買戻特約の有無
契約書の中に「買戻特約」が盛り込まれている場合、偽装ファクタリング業者の可能性が出てきます。
悪徳業者の公算大なので、安易に契約しないように注意してください。
買戻特約とは取引先から売掛金回収が不可になった場合、利用法人が譲渡した債権を買い戻す特約のことです。
先ほど紹介した償還請求権に似た条項と解釈できます。
ファクタリングの醍醐味は、万が一取引先から債権回収できなくても費用請求されない点です。
未回収リスクを軽減するメリットがあるはずなのに、特約が付いていれば未回収リスクを背負わなければなりません。
買戻特約があれば、実質的には金銭貸借契約で利息制限法などによる規制を受けます。
5.分割払いが認められていないか?
2社間サービスを利用する場合に注意しなければならない項目です。
2社間の場合、売掛先に知られることなく債権譲渡が可能です。
しかしその代わり自分で売掛金を回収し、ファクタリング事業者に支払わらなければなりません。
この時通常は、決められた期日までに一括で支払いするのがルールです。
ところが一部事業所で、分割払いを認めている場合があります。
もし分割払いがOKであれば、これは貸付と解釈できます。
よって貸金業法が適用され、その規制を受けなければなりません。
貸金業者登録していなければ違法行為で、偽装ファクタリングと見なされます。
6.コンプライアンスに関する取扱い
最近業種関係なく「コンプライアンス」というワードが出てくるでしょう。
ファクタリングの世界でも、コンプライアンスが求められつつあります。
法律の規制に見合った内容でサービス提供しているか、反社勢力排除を徹底しているかチェックしてください。
また売掛債権の譲渡について、あまり周囲に知られたくないという法人もあるでしょう。
取引先とトラブルになるでしょうし、お世話になっている金融機関が融資を渋る恐れもあるからです。
そこで個人情報保護の取扱いにも力を入れているかどうか確認してください。
おすすめなのは、Pマーク登録しているところです。
日本情報経済社会推進協会という一般財団法人の運営しているプライバシーマークのことです。
こちらを取得していれば、個人情報保護を徹底していて団体に認められたことが立証できます。
7.口コミを確認する
気になる事業所が見つかったら、口コミの評判を確認すると良いでしょう。
多くの投稿があり、おおむね高評価の意見が占めているようであれば利用しても問題ないでしょう。
また複数のランキングサイトで上位にランクインしている業者もおすすめです。
人気が高く、利用者の間で評判になっていると推測できるからです。
先ほど紹介したコンプライアンスも徹底して、法規制に適応したサービス提供しているとも考えられます。
ファクタリングと規制に関するまとめ
ファクタリングはまだ法人向けの資金調達方法の中では後発と言えます。
このため、規制など関連法規の整備がまだ十分いたっていない状況です。
国でも問題視していて、関係省庁が注意喚起したり、規制の導入を議会で提案されたりしています。
しかし現時点では、規制がない以上自分の身は自分で守らなければなりません。
ここで紹介したポイントを確認して、安心して利用できるところで申し込みましょう。