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ファクタリングの手数料の勘定科目とは?仕訳方法について解説

2024年12月27日

法人経営を行っている人は承知でしょうが、お金の動きは会計処理する必要があります。
売掛債権を譲渡するファクタリングでもお金は動くので、仕訳しなければなりません。

ファクタリングでは売掛債権の買取サービスなものの、一定の手数料が差し引かれます。
ファクタリングの手数料に該当する勘定科目とは何か、仕訳処理する際の注意点についてまとめました。

ファクタリングの勘定科目について解説

もしファクタリングに申し込んだ場合、それぞれに適切な勘定項目をつけて会計処理する必要があります。
手数料の勘定科目含め、どのように会計処理すべきかについてまとめましたので参考にしてください。
ファクタリングにはいくつか種類があって、使用する勘定科目も若干違ってくるので種類別の特徴についてもまとめました。

ファクタリングの種類について解説

ファクタリングは大きく分けて買取型と保証型に分類できます。
一般的に『ファクタリング』と紹介されるのは、買取タイプと思ってください。

買取型とは文字通り、お手持ちの売掛債権をファクタリング業者に買取してもらうサービスです。
法人がお手持ちの売掛債権を業者に譲渡します。
そして売却代金が法人に支払われますが、手にできるのは手数料を差し引いた金額です。

買取型の中でも2社間と3社間の2種類に分類できます。
2社間とは法人と業者のみの取引で、売掛先に知られることなく債権譲渡するモデルです。
一方3社間は売掛先を含めた取引になり、債権譲渡を先方に承諾してもらう必要が出てきます。

保証型とは、取引先に代わって業者が売掛金を支払うのが特徴です。
もしかすると取引先が業績悪化などで、債権の支払いができずにデフォルトになる可能性もあります。
業者が代わりに支払うことで、貸し倒れのリスクを回避できます。

特定の取引先に売上が偏っている場合、そこが支払い不能になれば途端に経営の先行きが不透明になるでしょう。
そうならないために保証型ファクタリングに申し込むことで、目先の資金を確保するのが目的です。

買取型の場合の仕訳方法

もし買取型のファクタリングで資金調達した場合の会計処理方法は以下の通りです。
まず売上が発生した段階で、売掛金で処理しなければなりません。
これはファクタリングを利用しようとしまいが、行わなければならない会計処理です。

請求書を送付した段階で処理します。
借方は『売掛金』、貸方は『売上』として処理してください。

次がファクタリング業者と債権譲渡に関する契約を交わした段階での仕訳です。
借方の勘定科目は『未収入金』、貸方は『売掛金』という勘定科目で処理してください。

契約を交わせば、引き取った売掛債権の代金が業者から支払われるはずです。
口座に入金されることが多いでしょうから、借方は『普通預金』などの勘定科目で処理してください。

ファクタリングでは手数料を差し引いた額が入金されるはずです。
手数料の勘定科目は『売掛債権売却損』で、借方に入力しましょう。
貸方は『未収入金』という勘定科目で処理してください。

3社間の場合、ここまでで会計処理はすべて完了です。
尚、業者が売掛先から直接債権回収します。

2社間の場合、いったん自分たちで従来通り売掛先から売掛金を回収します。
そして後日業者に代金を支払わないといけません。
これらのアクションも会計処理して記録する必要があります。

まず売掛金を回収した場合、借方は支払い手段に合わせて適切な勘定科目で処理してください。
現金であれば『現金』、口座入金であれば『普通預金』などと処理します。
貸方は『預かり金』という勘定科目で処理しましょう。

回収した売掛金を業者に支払った場合の勘定科目と会計処理の方法は以下の通りです。
借方は『預かり金』、貸方は『普通預金』などの勘定科目で処理します。

ファクタリング業者によっては、契約と入金が同日の場合もあるでしょう。
そうすれば『未収入金』の勘定科目で処理する必要はありません。
借方は『普通預金』と手数料の勘定科目である『売上債権売却損』で処理します。
一方貸方は『売掛金』で処理すれば問題ありません。

保証型の場合の仕訳方法

保証型ファクタリングを選択した場合の処理方法は、以下の通りです。
保証型の場合、売掛先が債権支払いできたかどうかで処理の方法が違ってきます。

もし取引先が売掛金を支払った場合、手数料を業者に支払うだけで処理は完結します。
借方の勘定科目は『支払手数料』とし、貸方は支払い方法に合わせて勘定科目を指定してください。
現金で支払った場合には『現金』、口座振込だった場合には『普通預金』の勘定科目で処理する形です。

一方取引先から債権回収できなかった場合、ファクタリング業者が代わりに債権支払を行う形になります。
この場合、まずデフォルトになった時点で借方を『貸倒損失』とし、貸方は『売掛金』の勘定科目で処理してください。
そして業者から入金があった段階での処理です。
勘定科目は『普通預金』を借方、貸方は『雑収入』で処理するのが一般的です。

ファクタリング利用時の勘定科目について解説

ファクタリングと契約して、会計処理する際に登場してくる主な勘定科目について今一度まとめておきましょう。
勘定科目として出てくる可能性が高いのは以下の通りです。

1.売掛金
2.未収入金
3.売上債権売却損
4.支払手数料
5.貸倒損失
6.雑収入

それぞれどのような性格の勘定科目なのか解説するので、会計処理する際の参考にしてください。

1.売掛金

売掛金は売上が発生した後で実際に報酬が支払われる際に用いられる勘定科目です。
ファクタリングの場合には、買取でも保証でもどのような事例でも発生する可能性は高いと思ってください。

日本における商習慣では、掛取引が一般的です。
会計処理する際にしばしば登場してくる勘定科目なので覚えておきましょう。

今では会計ソフトを使って自分で処理も可能です。
どの会計ソフトでも、売掛金の勘定科目はあるはずなので一度確認しましょう。

2.未収入金

未収入金は、買取型のサービスを利用した時に発生する勘定科目です。
契約した段階で、借方側で使用される勘定科目になります。

もし契約と入金が同日だった場合、未収入金は用いません。
その代わりに『売掛金』という勘定科目で処理します。

3.売上債権売却損

買取型で業者から売掛債権の買取代金の入金があった場合に、用いられる勘定科目です。
ファクタリングでは、売掛債権の額面全額が支払われることはありません。
そのようなことをすれば、業者の経営が立ち行かなくなるからです。

一定の手数料を差し引いた金額が、入金されることになります。
手数料の勘定科目として、一般的に使われるのがこの『売掛債権売却損』です。

ただし会計ソフトによっては売掛債権売却損がリストにない場合もあります。
『雑損失』や『支払手数料』『割引料』などの勘定科目で代用することは可能です。

4.支払手数料

こちらは保証タイプで、取引先から問題なく売掛債権を回収できた場合に用いられる勘定科目です。
回収できた場合、業者からお金を受け取る必要はありません。

しかし業者に対して、あらかじめ決められた手数料を支払う形になります。
手数料を支払った場合には、そのまま『支払手数料』と呼ばれる勘定科目で処理するのが一般的です。

5.貸倒損失

保証型で、取引先から債権回収できなくなって、デフォルトになった場合の勘定科目です。
回収できなかった、すなわち貸し倒れてしまったわけで『貸倒損失』として処理しましょう。

貸し倒れは取引先の倒産や急激な業績悪化などで起こりうることです。
このような勘定科目があることは、頭に入れておいて損はないでしょう。

6.雑収入

保証型で申し込んだ場合、回収不能になれば業者が肩代わりします。
業者から代金が支払われた際には、保証金を『雑収入』と呼ばれる勘定科目で処理しましょう。

雑収入は、本業以外で少額の報酬が発生した場合に用いられる勘定科目です。
本業以外の副業を手掛けていて、収入があった場合には雑収入として処理するのが一般的です。

ファクタリングの手数料に消費税はかかる?

ファクタリングには手数料として、一定のコストがかかることはここでも何度か紹介しました。
この手数料についてしばしば論点になるのが、消費税がかかるかどうかの問題です。
結論から言えば、基本的に手数料は非課税取引になると思ってください。

ここではなぜ手数料に消費税はじめ税金がかからないのかについて見ていきます。
ただし一部取引で手数料に消費税が課税される可能性もあるので、合わせて覚えておきましょう。

消費税非課税対象の取引

国税庁ではその性格上、消費税の課税対象として好ましくない取引17項目を明記しています。
土地の貸付や預貯金の利子などがあり、その中の一つが有価証券等の譲渡です。
この有価証券等の譲渡にファクタリングの手数料は該当すると考えられています。
よって課税対象外として処理するわけです。

掛目も非課税対象

業者によっては掛目設定しているところもあります。
掛目とは買取率を前もって設定したうえで、売掛債権を買い取る方法です。

たとえば50万円売掛金を抱えていて、掛目95%の条件で契約したと仮定しましょう。
この場合、25,000円が掛目になり、買取債権は47万5,000円です。

買取債権の47万5,000円に手数料10%がかけられるとなると、手数料は4万7,500円になるわけです。
この場合掛目の25,000円に関しては、売掛債権の回収後に変換されます。

掛目は業者の利益にはならないので、売上にも該当しません。
そもそも消費税の課税対象ではありません。
もし掛目部分に消費税を上乗せしていたら、それは悪徳業者の可能性があるので注意しましょう。

手形割引との対比

ファクタリングと似た取引としてしばしば紹介されるのが、手形割引です。
手形割引は支払いの期日前に譲渡して、現金化する資金調達方法となります。
この時買取価格から『割引料』という名目で差し引き、残りの金額を支払うビジネスモデルです。

この割引料は非課税取引の対象です。
よって類似する取引であるファクタリングの手数料にも消費税はかからないという論法になります。

一部例外も

ここまで見てきたように、ファクタリングの手数料には基本消費税に関して課税されないのが一般的な考え方です。
しかし一部例外のある点も理解しておきましょう。
それは債権譲渡登記が必要になった場合の契約です。

債権譲渡登記とは債権を譲渡した旨、登記して記録に残す方法です。
二重譲渡などトラブルを回避するために、業者によっては債権譲渡登記するのが買取の条件としている場合もあります。

登記するためには司法書士への報酬など、諸費用を負担しなければなりません。
この諸費用に対して消費税が発生する可能性はあるので、頭に入れておきましょう。

ファクタリングの手数料にまつわる勘定科目に関するまとめ

他の金銭取引同様、ファクタリングに申し込んだのであれば、そのキャッシュフローを会計として記録しなければなりません。
何度かステップがあり、そのたびに記帳する必要があります。
手数料は『売掛債権売却損』で処理する点は覚えておきましょう。

手数料に消費税がかかるのではないかと思う人もいるようですが、非課税取引になります。
債権譲渡登記が必要な場合を除き、消費税がかかることはありません。
もし見積書などに消費税の項目がある場合、悪徳業者の可能性があります。
なぜ消費税がかかるのか担当者に質問し、納得いく回答が得られなければ、その業者は利用しないのが賢明です。

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