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ファクタリングは非課税取引|財務処理や仕訳方法からファクタリング利用のメリットを解説!
2022年12月12日
売掛債権の譲渡・買取サービスであるファクタリング。
支払期日前に売掛債権の早期現金化ができるため、中小企業の資金調達手段として、利用者が増加傾向にあります。
ファクタリングは、当事者や金銭のやり取りの回数が多いため、仕訳が難しそうと思う方も多いのではないでしょうか?
特に、ファクタリングを初めて利用する場合は、財務処理や仕訳方法に悩むこともあるでしょう。
でも、大丈夫です。ファクタリングの仕組みを理解していれば、さほど難しくありません。
この記事では、ファクタリング利用時の財務処理や仕訳方法と、ファクタリングを利用することで得られる財務的なメリットを解説します。ぜひ最後までお読みください。
目次
ファクタリングの仕訳方法
企業間取引において金銭のやり取りが行われた際には、仕訳を行う必要があります。
これは、ファクタリングを利用した際も、例外ではありません。
2社間ファクタリングを利用した場合、最も財務処理が多く、複雑になります。
2社間ファクタリングの財務処理を理解しておけば、3社間ファクタリングを利用した際もスムーズに財務処理を行えるでしょう。
ここでは、売掛金100万円に対して、手数料10%の2社間ファクタリングを利用した場合の財務処理の方法を解説します。
2社間ファクタリングを利用した際、以下のような流れで金銭取引が行われます。
- 売掛債権の発生
- ファクタリング契約完了
- 買取金の入金
- 売掛先からの売掛金の支払い
- ファクタリング会社への支払い
この5回のタイミングで財務処理を行う必要があります。
以下にそれぞれのタイミングでの財務処理の詳細を解説しましょう。
①売掛債権の発生時
【借方:売掛金100万円】【貸方:売上100万円】
商品やサービスの提供により請求書を作成した時点で、売掛債権が発生したことになります。
この時点では、通常取引における財務処理の仕訳と同様で問題ありません。
売掛債権が発生した時点では、実際に代金の支払いがない状態でも「売掛金」という形で売上を計上します。
そのため、売掛債権が発生した時点での勘定科目は「売掛金」と「売上」となります。
②ファクタリング契約完了時
【借方:未収入金100万円】【貸方:売掛金100万円】
ファクタリング会社に対して申込みをし、ファクタリング契約が完了した時点で、借方は売掛金から「未収入金」へ変わります。
未収入金とは、資産を売却し、あとで売却金額が入金される場合に記載する勘定科目であり、この段階ではまだ現金の調達は完了していません。
また、この勘定科目は、ファクタリング契約の締結後、ファクタリング会社から買取金の入金がされるまでの間に使用するものです。
※債権譲渡登記を行わない場合は、債権譲渡の証明ができないため、財務処理上でこの仕訳は不要となります。
③ファクタリング会社からの買取金の入金時
【借方:普通預金90万円、売掛債権売却損10万円】【貸方:未収入金100万円】
売掛債権の買取が実行され、ファクタリング会社から買取金の入金が行われると、未収入金は現金へと変わり、「普通預金」として記載できます。
また、ファクタリング利用時には手数料も発生しますが、手数料分は「売掛債権売却損」として計上します。
なお、使用する会計ソフトによっては売掛債権売却損の勘定科目がない場合もあるでしょう。
その場合は「割引料」や「雑損失」、「支払手数料」などの勘定科目を用いても問題ありません。
※債権譲渡登記を行わない場合は、貸方に「短期借入金」の勘定科目を用います。
④売掛先からの売掛金の支払い時
【借方:普通預金100万円】【貸方:預り金100万円】
2社間ファクタリングでは、その仕組み上、ファクタリングを利用した会社が一旦売掛金を受け取ることになります。
一旦利用会社に代金が振り込まれはしますが、この代金はファクタリング会社への支払いに充てる金額であるため、勘定科目は「預り金」として計上します。
そのため、本来の支払日に売掛先から売掛金の入金があった時点で、借方は普通預金、貸方は預り金として財務処理を行います。
⑤ファクタリング会社への支払い時
【借方:預り金100万円】【貸方:普通預金100万円】
売掛先から受け取った代金をファクタリング会社へ支払うことで、2社間ファクタリングの取引は完了します。
回収した代金をファクタリング会社へ支払う時点では、借方を預り金、貸方を普通預金として財務処理します。
契約日=入金日の場合②の仕訳は不要
2社間ファクタリングを利用して資金調達をする場合、即日で入金される場合もあります。
つまり、契約日と入金日が同日になることも十分あり得るのです。
即日入金の場合は、財務処理も異なるため注意が必要。
即日入金の場合、②のファクタリング契約完了時の仕訳は不要になります。
そのため、「未収入金」の勘定科目で財務処理を行う必要はなく、買取金入金時の【借方:普通預金90万円、売掛債権売却損10万円】【貸方:売掛金100万円】で仕訳すれば問題ありません。
契約日と入金日が同日であった場合のみこの仕訳となるため、契約日の翌日以降に入金される場合には、②の財務処理は必ず行う必要があります。
3社間ファクタリングは④⑤は不要
売掛先も取引に参加する3社間ファクタリングの場合、売掛金の代金は売掛先からファクタリング会社へ直接支払われます。
そのため、④売掛先からの売掛金の支払いと、⑤ファクタリング会社への支払いは生じないため、財務処理の必要もありません。
3社間ファクタリングの場合は、③ファクタリング会社から買取金の入金を受けた時点で、財務処理も完了します。
ファクタリングの財務処理
上述したように、ファクタリング利用における財務処理はさほど難しくはありません。
ファクタリングを利用して財務処理を行う上で、知っておくべき事項がいくつかあるため、以下に解説します。
ファクタリングは債権の譲渡・売買契約
ファクタリングは、法律上「債権の譲渡・売買契約」として取り扱われます。
これは金融庁のサイトにも明記されており、国の見解として考えて問題ありません。
ファクタリングで現金化した資金は、帳簿上「負債」になることはなく、手数料も「損金」として扱われます。
ファクタリングは、借入による負債を増やすことなく、必要な資金を調達できる数少ない資金調達手段であり、非常に有用です。
ファクタリングは非課税取引
売掛債権は非課税取引の対象である金銭債権です。
そのため、ファクタリング利用時に支払う手数料や、売掛金を売却して受け取った現金は非課税であり、消費税を支払う必要はありません。
ファクタリングで発生する可能性がある消費税は、債権譲渡登記を司法書士に依頼する際の報酬や交通費くらいであり、ファクタリング契約自体に消費税は生じません。
また、債権譲渡登記を行う場合には登録免許税や印紙代などを請求される可能性があります。
登録免許税も印紙代も非課税であるため、これに関しても消費税が求められることはありませんので、しっかり把握しておきましょう。
法人税への悪影響はない
ファクタリングの手数料は売掛債権売却損として財務処理され、損金として扱われます。
そのため、利益に対して課税される法人税への影響の心配もいりません。
また、ファクタリングの手数料は経費として財務処理できるため、手数料分だけ法人税を減らすことが可能です。
ファクタリングを利用すると、手数料の分だけ損金計上でき、法人税を減らせるということも覚えておきましょう。
ファクタリングにおける財務処理のメリット
ファクタリングを利用して資金調達をした場合、銀行融資などの借入とは異なり、「負債」になりません。
そのため、財務処理においても「借入金」という勘定科目が発生しないという特徴があります。
借入金が発生しないということは、負債を抱えない上に無駄な返済を行う必要もないということ。
つまり、ファクタリングを利用することで、貸借対照表のオフバランス化を図ることができるのです。
これにより、ROA(純資産利益)や自己資本比率も上昇することが期待でき、会社としての企業評価も上がる可能性が高いです。
銀行融資などの借入では、貸借対照表やROA・自己資本比率を基に審査を行うのが一般的。
ファクタリングを利用して、決算書の見栄えを良くしておけば、銀行融資を受けられる可能性も高くなるでしょう。
ファクタリングの財務処理 まとめ
この記事では、ファクタリングの財務処理について解説しました。
ファクタリングの仕組みや、仕訳で用いられる勘定科目を把握していれば、ファクタリングの財務処理はさほど難しいものではありません。
手数料は「売掛債権売却損」で計上する、ファクタリング契約時は「未収入金」で財務処理することなどを把握しておけば心配ないでしょう。
また、ファクタリングを利用して資金調達をすることで、貸借対照表のオフバランス化が可能であり、企業評価を高めることも期待できます。
赤字決算や起業間もないことが原因で銀行融資に断られてしまったとしても、ファクタリングをうまく活用することで、資金繰りを改善できる可能性は高いです。
そして、ファクタリング利用により企業評価を高めることができれば、今後の融資審査にも有利に働くことでしょう。
資金繰りにお困りの際は、ぜひファクタリングの利用をご検討ください。