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ファクタリングの利用は「下請法」で守られている?法律の概要や適用条件も解説

2023年11月8日

「下請法」には、親会社から下請業者が不当に扱われることを防ぐ働きがあります。
そして「ファクタリングによる資金調達を守る」という効果も、下請法には期待できるのです。
本稿では下請法の概要と、ファクタリングの利用を守ることができる理由を中心に解説させていただき、さらにはファクタリング利用時の注意点などもご紹介します。
債権売却を行うことで親会社との関係に影響が出るのではと心配されている経営者様は、ぜひ最後まで本稿をお読みください。

ファクタリングとも関係がある「下請法」とは?

「下請法」は、正式には「下請代金支払遅延等防止法」という名称であり、親事業者と下請事業者の関係性を公平に保つために制定された法律です。
中小企業や個人事業主に多い資本力の小さな事業者が、立場的に優位な事業者との取引において不利になったり、不当な扱いを受けることを禁止しており、禁止行為を親事業者が行なった場合には罰せられることとなります。

「下請法」の目的と義務

公正取引委員会のホームページで見ることができる「下請法の概要」の中には、この法律の目的は「下請取引の公正化・下請事業者の利益保護」と記載されています。
また下請法では、下請事業者の利益保護と取引公正化のために、以下に記載する4つの義務を親事業者に課しています。
これらはファクタリングの利用とは直接的には関係しませんが、下請法において大切なポイントであることに違いはありません。

  • 書面の交付義務—発注時には法的で定められた書面を交付しなければならない
  • 支払期日を定める義務—下請代金の支払日は給付の受領後60日以内に定めること
  • 書類の作成,保存義務—下請取引の内容記載を行った書類を2年間保存すること
  • 遅延利息の支払義務—代金の支払いに遅れが生じた際には利息遅延金を支払わなければならない

親事業者がこれらの決まりを守っていない場合は、法律に違反している状況となります。
下請法に関しての相談・届出・申告などは公正取引委員会が受け付けていますので、気になる場合には、一度ご相談ください。

下請法の対象となる取引の条件

行っている取引が下請法の対象となるかは、親事業者と下請事業者の資本金の額、そして取引の内容によって決定されます。

・製品の製造加工の委託(製造委託)、修理対応の委託(修理委託)を行う場合
※一部の情報成果物作成委託、役務提供委託も含む
親事業者の資本金1,000万円超3億円以下→下請事業者の資本金1,000万円以下
親事業者の資本金3億円超→下請事業者の資本金3億円以下

・プログラムや映像などの作成の委託(情報成果物作成委託)、サービスの提供の委託(役務提供委託)
※一部の情報成果物作成委託、役務提供委託は除く
親事業者の資本金1,000万円超5,000万円以下→下請事業者の資本金1,000万円以下
親事業者の資本金5,000万円超→下請事業者の資本金5,000万円以下

上記した条件に該当する取引は、下請法が適用されることになります。
親事業者が下請法の適用条件から逃れるために子会社を仲介させる場合でも、「トンネル会社規制」という制度がありますので、不正が疑われる場合には公正取引委員会などへご相談ください。

下請法による親事業者の「禁止事項」

下請法では親事業者の「禁止事項」として以下の11項目が定められています。

  • 受領拒否
  • 下請代金の支払遅延
  • 下請代金の減額
  • 返品
  • 買いたたき
  • 購入、利用強制
  • 報復措置
  • 有償支給原材料等の対価の早期決済
  • 割引困難な手形の交付
  • 不当な経済上の利益の提供要請
  • 不要な給付内容の変更及び不当なやり直し

親事業者が上記に該当する行為を行なった場合、違反行為に関して公正取引委員会から指導や勧告が行われます。
さらには罰金の支払いや不利益の原状回復、民事上の損害賠償などが行われる可能性もあります。

ファクタリングの利用が下請法に守られる根拠

ここまでは下請法の概要などについて解説させていただきましたが、この法律はファクタリングによる資金調達を検討している企業が、「売掛先にファクタリングの利用を知られると取引に影響が出るのでは?」という不安を解消してくれる可能性があります。
あくまで下請法が適用される取引となる必要はありますが、以下の禁止事項によって、取引への悪影響が回避されることになります。

債権の支払遅延は下請法で禁止されているから

物品などを受領した日から60日以内に、親事業者は代金の支払日を決定すると下請法で定められており、ファクタリングの利用に関して不満があったとしても不当に支払いを遅らせることはできません
その範囲内であれば遅らせることも可能と考えられなくはありませんが、多くの売掛債権は30日または60日の支払サイトとなっており、一度決めた決済日を遅らせることも原則できないのです。

下請法により債権代金の減額は禁止されているから

発注時に決定した代金を、親事業者が不当に減額することはできません
これにより下請業者に明確な非がない限りは、売掛債権の減額は不可能となります。
ファクタリングの利用が非に該当することはあり得ず、債権現金化を行なったことを理由にすることも、証拠もなく言いがかりのような理由によって減額することも当然できません。

納入した商品の返品は下請法で禁止されているから

一旦納品された物品を、明らかな問題などが証明できない状態で親事業者が返品することはできません
不良品を納品した場合には返品は正当な行為となりますが、ファクタリングの利用はそのきっかけになる可能性はなく、ファクタリングによって債権現金化を行ったことが返品の理由になっているとすれば下請法の違反となります。

親会社からの報復措置は下請法で禁止されているから

ファクタリングによる資金調達を行ったことで親事業者が下請事業者に対して不利益な取り扱いをした場合、下請事業者は公正取引委員会に報告して何ら問題ありません。
そして報告を行ったことで親事業者が何らかの報復行為を行なった場合も、下請法で罰せられる理由となります。
公正取引委員会への報告後に明白な理由もなく取引の停止などが行われたとすれば、再び公正取引委員会にご相談ください。

親事業者から有償支給された原材料は早期決済できないから

製品の製造に必要な原材料などを親事業者が有償支給している場合でも、本来支払うべき下請代金を有償支給した原材料と相殺することはできません。
ファクタリング利用後に親事業者が債権代金と原材料の相殺を求めてきたとしても応じる必要はなく、取引の発注時に定められた方法でお互いの支払いを行なっていただくことになります。

【結論】ファクタリングを利用しても不利益を被ることはない

ファクタリング利用時に限ったことではありませんが、下請法の対象となる取引において正当な理由なく親事業者が下請事業者に対し不利益を与えることはできません
そしてファクタリングの利用は不利益を受ける理由になることはなく、ファクタリングによって債権を現金化することを親事業者が禁止することもできません
そもそもファクタリングについては、金融庁も「事業者の資金調達の一手段」と認めています。
ですから下請であっても債権のファクタリングによる現金化を行なう際に、あまり心配する必要はありません。

親事業者からの債権をファクタリングに利用する際の注意点

ファクタリングに親事業者が売掛先となる債権を利用すること自体は、何ら問題になる行為ではありません。
しかし親事業者からの債権をファクタリングに利用する際には、下請法に守られていても注意していただきたいポイントが2つ存在します。
思いもよらないトラブルが起きることを避けるためにも、注意点もしっかりと理解することが大切です。

売掛先の信用力が審査に大きく影響する

最短であれば申込当日の現金化も可能なファクタリングは、赤字経営など融資の審査通過が厳しい状況の企業も利用可能など、幾つものメリットを得られる資金調達方法です。
しかし審査通過のためには「売掛先の信用力」が重要であり、親事業者が過去に債権の支払いを遅らせたことがあるなど、信用面に不安がある場合には審査通過の確率を低下させ、審査通過できても手数料が高くなるなどの悪影響が考えられます。
例え親事業者が大企業であっても取引実績に問題点がある場合には、他の売掛先の債権を選ぶことをおすすめします。

2社間ファクタリングの利用も検討する

親事業者はファクタリングの利用を理由にして、下請事業者に対して不当な扱いをすることは許されません。
ですが、それらしい理由を示し取引先を変更されるなどした場合、下請法に違反すると証明することが難しくなる可能性は否定できません。
もし取引先がファクタリングの利用に対して良い印象を持っていないと予想されるのであれば、売掛先への通知を行なう必要がない「2社間ファクタリング」を選ぶことでリスクを下げることが可能となります。
また2社間ファクタリングにもメリット・デメリットがあるため、正しい知識を得た上で利用することが大切です。

「ファクタリングの利用は「下請法」で守られている?」まとめ

  • 「下請法」とは親事業者と下請事業者の公平な取引を守るための法律
  • 下請法が適用される取引では、ファクタリングの利用で不利益を被ることはない
  • 取引先がファクタリングによる資金調達に理解がない場合は、「2社間ファクタリング」の利用が有効

下請法は親事業者の義務や禁止事項を定めており、下請事業者との公平な取引を守ることを目的とした法律です。
もし正当な理由なく債権代金の減額や支払いの遅延などの禁止行為を行なわれた場合には、公正取引委員会への報告によって不利益の原状回復や賠償請求を受けることが可能となります。
ファクタリングの利用が親事業者との取引においての不利益になることは原則ありませんが、それでも下請事業者が何かしらの不安を感じる場合には、売掛先への通知が不要となる2社間ファクタリングが役立ちます。

即日での債権現金化や融資とは違う審査基準などの特徴を持つファクタリングは、下請法の対象となることも多い企業にとって、とても頼りになる資金調達方法です。

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