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銀行融資とファクタリングはどちらが中小企業向き?違いと特徴を徹底解説
2023年9月13日
「銀行融資」は多くの企業にとって事業資金の調達先の第一候補となるのではないでしょうか?
しかし銀行融資は中小企業や個人事業主にとっては、容易に利用できる選択肢ではないとも言われます。
逆に「ファクタリング」は中小企業向きと言われることの多い資金調達方法です。
本稿では銀行融資とファクタリングのどちらが中小企業や個人事業主向きなのか、資金調達方法としての仕組みの違いや特徴などを比較し解説させていただきます。
目次
「銀行融資」と「ファクタリング」資金調達方法としてのそれぞれ概要
銀行融資とビジネスローンのような融資商品同士であれば、比較対象としても相応しいかも知れませんが、銀行融資とファクタリングの場合は比較するのは簡単ではありません。
なぜなら、銀行融資とファクタリングの資金調達方法は、現金を調達するまでの流れや仕組み自体が大きく違うからです。
銀行融資とファクタリングという2つの資金繰りの選択肢のどちらを選ぶかを決めるためには、それぞれの「資金調達の概要」を知ることも大切です。
銀行融資は代表的な「借入による資金調達方法」
銀行融資は「銀行からの借入による資金調達方法」のことを指します。
借入による資金調達には、日本政策金融公庫や制度融資などの「公的融資」または、消費者金融などのノンバンクや信用金庫などからの「民間融資」があります。
銀行融資も民間融資に含まれますが、借入による資金調達の中でも代表的な存在であることは間違いありません。
ファクタリングは「売掛債権を売却し現金化する資金調達方法」
ファクタリングとは、ファクタリング会社と呼ばれる債権買取会社に対して、「決済日が訪れる前の売掛債権を売却し、早期現金化する資金調達方法」のことを指します。
売掛先から承諾を得た上で債権を売却する3社間ファクタリングと、売掛先に通知を行わずファクタリング会社との間で契約を行う2社間ファクタリングの2種類が存在しており、それぞれの契約方法の違いを理解をした上で選択することが大切です。
ファクタリングは銀行融資のような知名度こそありませんが、資金調達方法として徐々に広まりつつあります。
一般的なファクタリング=買取ファクタリング
ファクタリングは「売掛債権売却による資金調達方法」であり、このようなサービスは「買取ファクタリング」とも呼ばれています。
また金融庁も公式サイト内で
『一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。』
と記載しており、一般的なファクタリングとは買取ファクタリングのことを指すことがほとんどです。
しかしファクタリングには他にも、売掛先が倒産などによって支払い不可能になった際の保険的な働きをする「保証ファクタリング」や、輸出企業が海外企業との取引を行う際のサポートを行う「国際ファクタリング」などが存在していますので、必要に応じて選択する必要もあります。
「銀行融資=借入」であり「ファクタリング=債権売却」である
銀行融資とファクタリングの最も大きな違いは、「銀行融資は借入であり、ファクタリングは債権の売却である」ということです。
資金調達の仕組み自体が大きく違うことが影響し、それぞれの資金調達方法を活用するメリット・デメリットも大きく異なります。
特徴の違いを理解することで、自社の資金調達に向いているのがどちらかが見えてくるはずです。
銀行融資を利用するメリット・デメリット
銀行融資を利用するメリットとなるのは、「大きな額の資金調達が可能でありながら、支払いの負担を小さくすることができる」という特徴です。
逆にデメリットとなるのは「資金調達成功までのハードルの高さ」です。
ここからは、そんな銀行融資のメリットとデメリットを具体的にそれぞれ3項目ずつ解説させていただきます。
メリット①融資の選択肢の中でも金利が低い
銀行融資以外にも融資を受ける選択肢は幾つか存在します。
しかし、ノンバンクからの借入などと比較して銀行融資は金利が低く設定されることが多く、無理のない返済計画が立てやすいという特徴があります。
低金利での借入を希望される場合には、銀行融資以外にも「日本政策金融公庫」を利用するという方法もありますが、利用までの手続きが複雑などのデメリットが存在しており、融資を申込む際には多少の注意が必要となります。
メリット②高額融資が期待できる
ノンバンクからの借入よりも銀行融資の方が高額融資への期待は高く、メガバンクなどであれば設備投資や事業拡大のために高額な資金が必要になる場合にも頼りになります。
ただし融資を受けられる額は審査によって決定されるため、事業計画書などで安定した経営状況であることや将来性を示すことができなければ、銀行融資での高額の資金調達実現は難しくなってしまいます。
メリット③企業としての信用度が示せる
銀行融資を受けるには、金融機関からトラブルなく返済が行える企業という信用をされなくてはなりません。
つまり銀行融資による資金調達に成功できた企業は、それだけの社会的な信用度があるという証明にもなります。
同じ銀行融資であっても、地方銀行か都市銀行(メガバンク)かなど借入先によって証明できる信用度の高さに違いは発生します。
しかし銀行融資を受けられる企業という事実は、取引先に対して大きな安心感を与えられるのは確かです。
デメリット①利息の支払いとそれに伴うリスクが発生する
これは銀行融資に限ったことではありませんが、借入を行った以上は完済まで返済を続けなくてはなりません。
銀行融資では長期返済期間が設定される確率も高く、低金利も期待できることから、消費者金融のビジネスローンなどと比較して返済の負担は軽くなりやすいのはメリットとも言えます。
ですが継続的に返済を続けなければならないのは変わらず、月々の返済によって経営が苦しくなるリスクや、債務超過に陥るリスクを抱え続けることになるという覚悟は必要です。
デメリット②審査通過が容易ではない
銀行融資は消費者金融などのノンバンク系の金融機関と比べて、審査基準が厳しいと言われています。
特に中小企業や個人事業主にとって審査通過は容易ではなく、金利の低さや高額資金調達が期待できるとしても審査に通過できなくてはそのメリットを活かすことはできません。
都市銀行と比較して地方銀行の方が審査のハードルは低めであるとは言われるものの、事業計画書を含めてしっかりと準備を行わなくては、融資を受けるのは難しくなります。
デメリット③資金調達に時間がかかる
急いで資金調達を行いたい状況では、銀行融資は頼りになる資金調達方法とは言えません。
必要となる期間は融資の種類や申込みを行った企業の状況によって大きく変動するため一概には言えませんが、一ヶ月程度の余裕は持っておくほうが安心です。
少しでも早く銀行融資による資金調達を成功させたいとお思いであれば、書類提出が審査にかかる時間に与える影響は小さくないと意識し、できる限りの事前準備を丁寧に行っておくことが大切です。
ファクタリングを利用するメリット・デメリット
ファクタリングは「資金調達までの速さと、利用するハードルの低さ」が大きなメリットであり、多くの企業が銀行融資よりも素早い資金調達に成功しています。
しかし「売掛債権の早期現金化」の影響を理解しておかないとデメリットに繋がってしまう危険があります。
メリット①即日資金調達が可能
ファクタリングを利用する際にも審査は行われますが、銀行融資など金融機関からの融資と比較して必要書類が少なくて済むことが多く、審査も短時間で終わることがほとんどです。
そのため、即日での売掛債権買取に対応可能なファクタリング会社も少なくはなく、急いで現金が必要な状況にも役立ちます。
しかし全てのファクタリング会社で即日買い取りが可能なわけではなく、即日対応が可能な場合もオンライン手続きによってスムーズな手続きが進められそうかなどの確認が必要となります。
メリット②負債を増やさず、貸借対照表の改善効果が期待できる
銀行融資のような借入ではない資金調達方法であるファクタリングでは、資金調達を行っても負債額が増加することはありません。
このため債務超過に陥るリスクはなく、返済の負担への考慮も不要です。
また負債を増やさずに現金調達ができる特徴を活かすことで、企業の財務状況の判断にも利用される「貸借対照表(バランスシート)」の改善にも活用できます。
他にも総資産利益率や自己資本比率などの向上効果も期待できるなど、経営状況を改善させたいと考えている企業にもファクタリングはおすすめです。
メリット③経営状況が芳しくなくとも審査に影響しない
銀行融資では、資金調達を希望している企業の経営状況や事業計画書などが審査で非常に重要になります。
これに対してファクタリングは、債権売却を希望している企業が赤字や税金滞納中であっても利用可能です。
ファクタリングの審査では債権が回収できる可能性が高いと判断されることが大切であり、支払いに直接関与しない債権者の経営状況は重要ではないのです。
ですから経営状況が芳しくなくとも利用可能であり、売掛先の信用力が高ければ審査通過できる可能性も高まります。
デメリット①次回の支払いまでの間隔が広がる可能性がある
ファクタリングは売掛債権売却による資金調達方法であり、「売掛債権の早期現金化サービス」でもあります。
債権を早期現金化したことで、その後の支払いを受けるまでに間隔が広がる可能性が考えられることから、ファクタリング利用後の資金繰りも意識することが大切になります。
支払日までの残り日数が少ない方がファクタリングの審査では有利になりますが、先々までの資金調達を考慮した上で売却する債権をお選びください。
デメリット②手数料が必要になる
銀行融資などのように利息の支払いは不要であるものの、ファクタリングを利用する際には手数料の支払いが必要になります。
ファクタリング手数料は契約方法や売掛先の信用力の高さによって大きく変動し、手数料相場自体も「10%〜30%」とかなり幅広くなっています。
申込みを行ったファクタリング会社によって買取額に違いが出ることも少なくはなく、安い手数料での買取を期待するのであれば、売却先選びも重要になります。
デメリット③悪質ファクタリング業者が存在する
金融庁はファクタリングについて、悪質業者からの被害を防ぐための注意喚起を行っています。
「ファクタリングを装って貸付を行うヤミ金融業者」を利用するリスクや、「給与を受け取る権利(賃金債権)の買取をうたった違法行為(給与ファクタリング)」についてが注意喚起の中心となっています。
悪質ファクタリング会社と遭遇する確率は低いものの、公式サイトの情報などをしっかりと確認し、信用できるファクタリング会社を見つけることが資金調達を成功させるためのポイントの1つとなります。
「中小企業向け」なのは銀行融資とファクタリングのどっち?
銀行融資にもファクタリングにもメリットだけでなくデメリットがあり、特徴を理解した上で選択しなくては資金調達成功は遠のきます。
ここからは2つの資金調達方法を4つのポイントで比較し、どちらが中小企業や個人事業主の資金繰りに向いているのかを解説させていただきます。
「速さ」ならファクタリング
金融機関からの融資を受ける場合でも、即日融資に対応可能な場所は存在しています。
しかしそれらはノンバンクのビジネスローンなどに限定されており、手数料が高めに設定されがちであったり、限度額も低めになりやすいという注意点が存在しています。
低金利が期待できる銀行融資は短くとも一週間程度の期間が必要であり、できれば一ヶ月程度の余裕は確保しておく方が無難です。
これに対してファクタリングであれば、「即日債権現金化」も決して難しいことではなくなります。
売掛先への通知を必要とする3社間ファクタリングでも3日程度での債権現金化が可能です。
もし資金調達をお急ぎで「速さ」を求めるのであれば、ファクタリングが頼りになります。
「審査通過」しやすいのはファクタリング
赤字経営や税金を滞納している状況では、銀行融資の審査に通過できる確率はかなり低くなってしまいます。
しかしファクタリングであれば、そのような状況であっても審査への影響はあまりなく、銀行融資で審査落ちしてしまったという企業の多くもファクタリングによる資金調達には成功しています。
またファクタリングは担保や保証人も不要で、基本的には決済日前の売掛債権を保有していれば利用対象となれるなど、利用までのハードルが低いのも特徴です。
利用対象となるのが容易であり経営状況が芳しくなくても審査に影響しないなど、審査通過までの難易度が低めなのは、多くの企業にとってファクタリングとなるはずです。
「高額資金調達」を目指すなら銀行融資
金融機関からの融資を受ける際には、経営状況や将来性、担保を必要とする場合に設定する不動産などによっては、売上を超えるような高額資金調達に成功できる可能性もあります。
しかしファクタリングは売掛債権の額面以上の買取額となることはあり得ず、手数料分だけ目減りすることになります。
ファクタリングを利用して調達できる額は、保有している売掛債権の額に大きく影響されることから、高額資金調達を目指すのであれば銀行融資の方が向いているかも知れません。
ですが銀行融資を利用する場合も、経営状況などが審査で評価されない場合には希望額の融資が受けられないという可能性も、意識しておく必要があります。
「決算書の改善」が期待できるのはファクタリング
堅実に返済を進められるのであれば、銀行融資は頼りになる資金調達方法です。
ですが負債を増やすことは避けられず、一時的であるとしても決算書に悪影響を及ぼす可能性は低くありません。
これに対してファクタリングは負債を増やすことはなく、売掛債権を現金化し負債の返済に充てれば、貸借対照表のスリム化を進めることも可能です。
ファクタリングを上手く活用すれば、決算書の改善を目指すことも難しくはなくなります。
ファクタリングは中小企業におすすめの資金調達方法
スムーズな資金繰りが求められる中小企業の経営者様の多くは、「資金調達スピードが速い」ことや「審査通過しやすい」という特徴を持つ資金調達方法を求めていらっしゃるはずです。
ファクタリングは最短即日での債権現金化も可能であり、銀行融資の審査に通過できなかったという企業も審査通過が期待できる資金調達方法です。
また決算書の改善に活用することで、後々の融資の審査にも通過しやすくなります。
つまりファクタリングは中小企業に大きなメリットをもたらすことができる、利用価値の高い中小企業向きの資金調達方法と言えるのです。
「銀行融資とファクタリングはどちらが中小企業向き?」のまとめ
・速さや利用しやすさを求めるならファクタリング
・低金利での長期返済や高額融資を期待するなら銀行融資
ファクタリングや銀行融資の特徴を簡単にまとめると上記のようになります。
銀行融資にも利用するにあたっての大きなメリットがありますが、「審査通過が容易ではない」という大きな注意点が存在しています。
しかしファクタリングは多くの企業が利用しやすく、急ぎで現金が必要な状況にも役立ちます。
つなぎ資金の確保など様々な目的に利用しやすいファクタリングを活用することで、中小企業の資金繰りは大きく安定するはずです。