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ファクタリングで現金化できる対象債権の条件とは?売却に適した債権についても解説
2023年7月21日
売掛債権を専門の買取業者に売却することで現金化するファクタリングは、融資の審査通過が難しい中小企業や個人事業主も利用しやすい資金調達方法です。
担保も保証人も不要で即日での債権売却も可能など幾つものメリットがありますが、利用するためには買取対象となる債権を保有していることが必須となります。
本稿ではファクタリングの利用対象となる債権の条件から、売却に適した債権の選び方などを解説させていただきます。
ファクタリングは全ての債権が買取対象ではない?
「売掛債権の早期現金化サービス」であるファクタリングは、「債権を保有してさえいれば利用可能」です。
しかしこの場合の債権とは、ファクタリング会社が買取の対象として認めている債権である必要があり、全ての売掛債権が対象となれるわけではありません。
どのような売掛債権が買取対象となるかを理解していないと、いざという時に資金調達が行えないという緊急事態に陥りかねません。
事業者が保有する債権は大きく4つに分けられる
債権とは「特定の人物に対して、代金の支払いや労力または物品の提供を求めることができる権利」を指し、請求する側が債権者と呼ばれ請求を受ける側は債務者となります。
そして一口に「売掛債権」と言っても、実際にはその状況などによって事業者が保有する債権は大きく4つの種類に分けることができるのです。
ファクタリングにおいては、売却を希望している債権がどの種類に該当するかで、買取対象となれるかが決まることになります。
1.仕掛債権
取引先から商品やサービスに関しての発注を受けてはいるものの、まだ納品やサービスの提供を行っていない段階では、「仕掛債権」が発生します。
この段階では見積もり金額などは提示されている可能性は高くとも、実際に請求する額が確定していない状況となります。
製造を始めた段階や製造中のことを「仕掛り」と表現するため、このような名称で呼ばれています。
2.確定債権
完成した商品の納品やサービスの提供を終え、代金の額や入金日が確定している状況では「確定債権」が発生することになります。
ただし商品の納品を終えていても、正当な理由で返品されるなどして支払日が延期された場合には、確定債権として取り扱われなくなります。
サービスの提供や納品が終了したと認められてこそ、確定債権となるとお考えください。
3.不良債権
確定債権が発生した後に、決済日になっても支払いが行われなかったり、売掛先の倒産などによって債権の回収が不可能となったりした場合には、確定債権は「不良債権」となります。
売掛債権を用いた取引である「掛取引」では、売掛先の倒産リスクに備えることが重要であり、不良債権を発生させないための与信管理も非常に大切です。
4.将来債権
継続的な取引が約束されており、現状では正式に受注していないものの、将来的には仕掛債権や確定債権が発生すると考えられる状況では、「将来債権」が発生することになります。
今後の取引に関して契約書などに明記されている必要はありますが、将来債権も資産として取り扱うことが可能です。
ファクタリングの買取対象債権は「確定債権」と「将来債権」
事業者が保有している4つの種類の債権の内、ファクタリングの買取対象となるのは、「確定債権」と「将来債権」です。
しかし法的には譲渡可能となっていても、実際には「将来債権」を買取対象としているファクタリング会社は稀であり、決済日を過ぎておらず請求額が確定している確定債権のみが、買取対象であると考えていただく方が無難です。
将来債権が現実的には買取対象にならない理由
将来債権は2020年4月の民法改正によって譲渡が認められることになり、ファクタリングにも法的には利用可能となりました。
しかし将来債権の買取はファクタリング会社にとってリスクが高いため、利用可能であっても買取を行っている場所を見つけることは難しいと言わざるを得ません。
もし買取対象に含めているファクタリング会社があったとしても、手数料が高額になることが予想されるため、売却に向いている債権であるとは言えません。
確定債権は「債権譲渡禁止特約」が付与されていても売却可能
民法改正前は「債権譲渡禁止特約」が付与されている債権はファクタリングに利用することができませんでした。
しかし民法改正によって特約が付いている確定債権であっても現金化が可能となりました。
これによってファクタリングによる資金調達が格段に利用しやすくなったことも、中小企業や個人事業主のファクタリング利用社数の増加に影響を与えたと考えられます。
ただし債権譲渡禁止特約付きの債権売却には売掛先への通知が必須となるため、3社間ファクタリングが原則となる点にはご注意ください。
不良債権に対する対応は「サービサー(債権回収会社)」へ
残念ながら決済日が過ぎた不良債権は、ファクタリングによる現金化の対象とはなれません。
しかし不良債権を抱えたままでは経営への悪影響は避けられず、何かしらの対処が必要となります。
サービサー(債権回収会社)は、法務大臣の許可を受け不良債権を買取り回収する会社であり、利用することで債権回収の負担を減らすことが可能となります。
ただし利用者の多くは金融関係であり原則的には個人での利用ができないなど、利用対象や条件が限定されています。
必ずしも利用対象とはなれない点には注意が必要ですが、活用できれば不良債権の回収に役立つはずです。
「給与債権」を取扱うファクタリング会社には要注意
個人が労働の対価として勤務先に給与を請求する権利を、「給与債権」と呼びます。
給与債権を買取り現金化するという名目で実質的には貸付を行う「給与ファクタリング」は、闇金融が関係している可能性が高く非常に危険です。
また給与ファクタリングは個人を対象としていますが、このような行為を行っている場所では売掛債権の買取を行っていても、利用する際には大きなリスクを背負いかねませんのでご注意ください。
売却に適した対象債権の条件とは?
ファクタリングによって現金化可能な対象債権をお持ちであったとしても、審査次第では高めの手数料請求が行われる可能性は全くないとは言えません。
しかし買取対象となる債権の中でも、審査で評価されやすい債権を選ぶことができれば、好条件での債権現金化に成功できる可能性は高まります。
ファクタリングによる資金調達成功のためには、「売却に適した対象債権の条件」を知ることも大切です。
売掛先の信用力が高い債権
買取を行うファクタリング会社が審査で最も重要と考えるのは、「売掛先の信用力」と呼ばれる要素です。
信用力の高さは、経営が安定していると判断しやすい企業ほど高まります。
業種や会社規模なども判断材料となり、帝国データバンクなどの信用調査会社の情報を参考にする場合もあります。
信用力の判断を行うのが難しい場合でも、上場企業や国民健康保険団体連合会などの公共機関が売掛先となる債権は、倒産や不払いのリスクがほぼないため信用力が高いと判断されやすくなります。
取引頻度が多く支払いトラブルがない売掛先の債権
ファクタリングを利用する際には、「本人確認書類・請求書・取引に使用している口座の通帳コピー」の3つは必須書類です。
そして提出書類の1つである通帳コピーは、取引頻度や決済に関しての遅延の有無を確認するために使用されます。
通帳コピーが必須書類となっているのは、それだけ取引の頻度や支払いトラブルに関する情報が審査に影響するからという証拠と言えます。
また継続的に取引があり過去の決済を問題なく行っている売掛先の債権は、審査で高い評価を得やすくなります。
決済日までの残り日数が遠過ぎない債権
売掛先との間で定められた決済日までの残り日数も、ファクタリングの審査に影響する要素の1つです。
信用力や取引頻度ほど重要視されることは少ないものの、残り日数が多い場合には審査通過や提示される手数料に影響を及ぼす可能性があります。
特に延現金と呼ばれる2ヶ月を超えるような長い支払サイトの売掛債権は、買取対象の債権であっても手数料が高くなってしまう危険が高まります。
ある程度まとまった額の債権
少額債権を買取対象に含めるかはファクタリング会社次第ですが、債権の額が低くなるほどに手数料の割合は大きくなる傾向があります。
これは少額債権であっても高額債権であっても債権買取に必要なファクタリング会社の手間に大差がないためであり、ある程度まとまった額の売掛債権を用意することで手数料の占める割合を下げることが可能となります。
「ファクタリングで現金化できる対象債権の条件とは?」まとめ
・ファクタリングの買取対象となるのは、現実的には「確定債権」のみ
・3社間ファクタリングを選ぶことで「債権譲渡禁止特約」付きであっても売却可能となる
・信用力が高くトラブルなく定期的な取引のある売掛先の債権は、好条件での買取が期待できる
売掛債権の早期現金化サービスであるファクタリングは、納品やサービスの提供が完了し請求金額などが定まっている「確定債権」が買取対象です。
近い将来に発生する期待が高い「将来債権」も法的には譲渡可能であるものの、実際に買取対象に含めている場所は稀です。
また買取対象であっても、売掛先の状況などによって設定される手数料などが大きく変動する可能性があるため、会社規模や取引頻度などにも注目して売却する債権を選択することが大切です。