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ファクタリングとビジネスローンの特徴やおすすめの利用シーン、メリットデメリットを解説
2024年1月15日
ビジネスの資金調達の手段には、融資やファクタリングなどさまざまな方法があります。
融資は、銀行や公庫、民間のビジネスローンなどがありますが、その中でも今回はビジネスローンに焦点を当て、ファクタリングとビジネスローンそれぞれの違いやメリット・デメリットを解説します。
資金調達にお悩みの方は、ぜひご覧ください。
目次
ファクタリングとビジネスローンの違いは?
ファクタリングとビジネスローンの大まかな違いは、ファクタリングが「売買」、ビジネスローンが「融資」です。
売買と融資では法律が少し変わります。
わかりやすい例を挙げますと、ファクタリングもビジネスローンもどちらも利用の際は手数料がかかります。
ただし、ビジネスローンは出資法に基づいて上限金利が20.0%までと定められています。
ファクタリングは上限金利の設定がなく、自由にファクタリング会社で手数料を決めることができます。
それ以外にも、ファクタリングとビジネスローンではさまざまな違いがあります。
● 審査対象
● 資金調達できる金額
● 入金スピード
● 利用コスト
● 返済日・返済方法
● 貸借対照表上の仕分け
一つずつ解説していきます。
審査対象
ファクタリングの審査対象は「売掛先」です。
手元にある売掛債権を早期に現金化します。売掛先からの入金を待たずして現金を手に入れるため、「入金日が来たら売掛先がきちんと支払いをしてくるか?」が重要視されます。
業績や利用者と売掛先との取引状況が主な審査対象となります。
一方、ビジネスローンでは利用者自身の信用をチェックします。
会社の業績や財務状況はもちろん、過去にローンやカードなどの延滞がないかなども審査でチェックされます。
このように、審査の対象においてファクタリングは売掛先、ビジネスローンは利用者自身という違いがあります。
資金調達できる金額
ファクタリングは手元にある売掛債権を現金化しますので、請求書の額面以上の資金調達はできません。
より多くの金額をファクタリングしたいときは、1枚だけではなく複数の請求書をまとめて売ることで多額の資金調達ができます。
ビジネスローンは、利用者の信用と支払い能力を加味した金額が資金調達できます。
個人のローンでは総量規制といい、年収の3分の1までしか借りることができませんが、ビジネスローンは総量規制の対象外ですのでより大きな資金調達が可能です。
資金調達できるまでの日数
近年ファクタリングではオンライン完結の手続きやAI審査により、資金調達のスピードが早くなっており、最短1〜2時間で現金化できるところも増えています。
対面契約でも3日程度で資金調達ができるため、融資などに比べると非常に早く資金調達ができるのが特徴です。
ビジネスローンでは仮審査こそ即日結果がでるものの、実際にお金が手元に来るまでは数日〜1週間程度かかってしまいます。
利用コスト
それぞれの手数料にも注目してみましょう。
ファクタリングの手数料は2社間と3社間で異なります。
● 2社間:10〜30%
● 3社間:1〜9%
対して、ビジネスローンは利息手数料がかかります。ファクタリングよりもやや低めで年利4%〜14.5%程度です。
ファクタリングもビジネスローンも利用する内容によって手数料は変わりますが、その手数料はファクタリングは1回のみ、ビジネスローンは年利ですので、返済が長期化すればその分利息はかかります。
返済日・返済方法
ファクタリングもビジネスローンも、早期に資金調達するため返済・支払いが伴います。
ファクタリングは請求書に記載されている入金日に売掛先から入金があり次第、ファクタリング会社へ支払いします。多くの場合、銀行振込となっています。
ビジネスローンは毎月決められた日付に元金+利息を返済します。
一括でも返済できますが、多くの場合は分割で長期的に返済していくパターンとなるでしょう。
貸借対照表上の仕分け
経営をしていく上ではお金の動きを確認しておくことが大事です。
ファクタリングの会計上の仕分けは2社間と3社間で変わりますが、今回は利用者の多い2社間の例で解説します。
ファクタリングは将来債権を早期に現金化しますので、資金調達後の仕分けは右欄の「売掛金」の欄がゼロになり、左側の「現金」の欄に資金化できた分が計上されます。
ファクタリングには手数料がかかりますので、「支払手数料」に記載します。
一方、ビジネスローンは融資なので、借りた分だけ「負債」の欄に追加されます。
貸借対照表では「現金」にも「負債」にも借りた金額が計上されます。
ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットは主に以下の5項目です。
● 資金調達が最短即日OK
● オフバランス化ができる
● 滞納・赤字決算でも利用OK
● オンライン完結OK
● 発注段階のファクタリングもできる
資金調達が最短数時間でOK
ファクタリングのメリットは最短1時間で資金調達が可能な点です。
もちろん、どこのファクタリングを利用するかにもよりますが、条件としてはあらかじめ必要な書類が用意されていること、そして手続きから契約まですべてオンラインで完結するところを選ぶことが重要です。
審査に通っても、それが夕方以降であれば金融機関の都合で翌営業日の入金になってしまうこともあります。
午前中など早い時間帯に手続きを進めることで、その日のうちに入金まで完了することができます。
オフバランス化ができる
貸借対照表の仕分けのところでも触れましたが、ファクタリングは売掛債権を現金化しますので、現金化した分は貸方の現金欄に追加されます。
そのため、ファクタリングした分で負債をゼロにすることができれば、貸借対照表の見栄えがよくなります。これを「オフバランス化」と言います。
新規開拓で取引先に決算書を見せる機会があったり、銀行融資を控えていたりなど、負債の項目を少しでも減らして見栄えのよい貸借対照表上にしたい場合はファクタリングを利用したオフバランス化が有効です。
滞納・赤字決算でも利用OK
多くのファクタリング会社では滞納・赤字決算でも問題なく利用可としているところが多いです。
融資の場合、特に滞納があると審査に通らなくなる可能性が高くなります。審査の過程で決算書を見せる場合も、やはり赤字ですと返済能力がないと判断されてしまうこともあります。
このような理由で、ファクタリングの審査は利用者自身ではなく売掛先が対象ですので、滞納や赤字決算でも問題ないとしているところが多いのです。
オンライン完結OK
少し前にも触れましたが、ファクタリングの利用はオンラインですべて手続きが完了するところが増えてきています。
以前は担当者と面談をするケースが非常に多かったですが、新型コロナウイルスの影響によりファクタリング業界でもオンライン化がどんどん整備されるようになりました。
そのため、一度も面談を行わずに資金調達をすることが可能です。
多忙な経営者の方や、遠方のためなかなか出張ができないなど、さまざまな事情があるかと思いますが、そんな状況でも資金調達がスピーディーにできるため、オンライン完結のファクタリングはどんどん需要が高まってきています。
注文書ファクタリングが利用できる
ファクタリングというと基本的には売掛債権を用いた資金調達方法ですが、最近では「注文書ファクタリング」も登場してきています。
「注文書ファクタリング」とはその名の通り注文書の段階で行える資金調達方法です。つまり、業務がはじまる前の、注文書や発注書を受け取った段階においての資金化です。
注文書ファクタリングを利用することにより、例えば「大きな仕事を受注したいけど、資材費や人件費などを払えるキャッシュがない…」といったときに便利です。
もちろん、注文書ファクタリングも通常のファクタリングと同様に取引先に知られないように利用することができます。
ファクタリングのデメリット
便利なファクタリングですが、デメリットもあります。
● 売掛債権以上の金額は資金調達できない
● 弁済は一括のみ
● 債権譲渡登記が必須となることがある
● 年利換算だと手数料負担が大きくなる
売掛債権以上の金額は資金調達できない
ファクタリングはすでに手元にある売掛債権を早期に資金調達する方法ですので、額面以上の資金調達はできません。
そのため、ビジネスローンのようにまとまった大きな金額を調達できないのがデメリットです。
弁済は一括のみ
ファクタリングで資金調達をしたら、その後は一括でファクタリング会社に支払います。
融資であればまとまった金額を資金調達したあと、分割払いで返済するため、毎月の返済負担は軽くなります。
例えば200万円をファクタリングとビジネスローンでそれぞれ資金調達したとき、ファクタリングであれば売掛先から入金があればそのままファクタリング会社へ支払いをします。
ビジネスローンで200万円を融資して5年で返済していく場合、1ヶ月あたりの返済額は利息を含めて約33,000円ですので、同じ資金調達でも返済の負担がかなり変わります。
債権譲渡登記が必須となることも
2社間ファクタリングを利用する法人は、ファクタリング会社によっては債権譲渡登記が必要となる可能性があります。
債権譲渡登記とは、売掛債権がいつ誰に売却するかを登記するもので、登記することにより二重譲渡を防ぐ効果があります。
万が一ファクタリング利用者が1つの請求書を2箇所に売却してしまっていた場合、債権譲渡登記されていないのであれば先に請求書を買い取った事実を主張できないからです。
利用者側にとっての債権譲渡登記は、登記費用がかかるためコスト面で大きなデメリットになると言えるでしょう。
参考までに、登記費用は1件7,500円ですが、登記を司法書士に依頼する場合は5万円〜10万円程度の金額がかかります。
この債権譲渡登記は3社間ファクタリングや、個人事業主・フリーランスの手続きは不要です。
年利換算だと手数料負担が大きくなる
ファクタリングは1回の利用手数料が2社間で10%〜30%程度ですが、これはあくまでも1回の手数料です。
ファクタリングの手数料をビジネスローンの利息を比較してみると、驚くような手数料の値になってしまいます。
例えば2社間ファクタリングを10%の手数料で利用して、支払い期間を2ヶ月短縮するとします。
月利に直すと、10%÷2ヶ月=5%です。もし12ヶ月継続的に利用すれば5%×12ヶ月=60%とかなり大きな負担となります。
一見、この手数料は「法的にアウトなのでは?」と思いがちですが、貸金業であれば確かに年利60%の利息はアウトです。
しかし、ファクタリングは貸金業法ではないため、このような手数料がまかり通ってしまうのです。
もしファクタリングを継続して利用する可能性がある場合は、今回説明した手数料負担に注意する必要があります。
ファクタリングの利用がおすすめのシーン
ファクタリングはどのような時に使うのがおすすめか、おすすめの利用シーンを解説します。
支払いサイトが長い時
ファクタリングを利用するシーンで多いのが、支払いサイトを短縮したい時です。
業種によっては仕事を受注してから実際に入金されるまでの日数が長く、その間の資金繰りに四苦八苦してしまうことがあります。
建設業や運送業など、支払いサイトが3ヶ月以上かかる業種などはファクタリングの利用がおすすめです。
注文書ファクタリングを利用すれば仕事に着手する前段階で資金調達ができますので、人件費や資材費などにも活用ができます。
融資が受けられない時
ファクタリングは滞納や赤字決算でも利用OKとしているところが多いため、実際に支払いができない状態で経営が自転車操業でも問題なく資金調達ができます。
ビジネスローンなどの融資では滞納などの情報は厳しく見られますので、もしビジネスローンの審査に落ちてしまった方で、手元に売掛債権のある方はファクタリングの利用をおすすめします。
これから銀行融資を控えている時
事業の発展のため、銀行から融資をする予定がある方もファクタリングが有効です。
銀行融資の審査において、決算書の内容を細かくチェックされることがありますが、あらかじめファクタリングによって売掛債権を現金化し、負債を減らしておけば見栄えもよくなるため審査に多少有利になる可能性があります。
その他、新規開拓などで顧客に決算書をチェックされる場合なども、ファクタリングによって負債を減らしておくことが有効と言えるでしょう。
ビジネスローンのメリット
ビジネスローンのメリットを見てみましょう。
● 一度に大きく資金調達ができる
● 最短即日で融資もOK
● 毎月の返済負担が軽め
● 自由に借入ができる
● 無担保・保証人不要
● 総量規制の対象外
一度に大きな額の資金調達ができる
ビジネスローンのメリットは、申込者の信用次第で大きな額の資金調達ができるところです。
少額であれば10万円から、500万円程度まで借りることができます。
億単位での融資をしてくれるところもありますので、事業計画に合わせてビジネスローンを選ぶと良いでしょう。
最短即日で融資もOK
ファクタリング同様、ビジネスローンでも最短即日で融資OKとしているところがあります。
ビジネスローンの中でも特にノンバンク系は即日融資OKの傾向が高く、急な資金調達にも便利です。
さらに、ファクタリング同様、来店不要でWEB完結のところもあるため、忙しい方やなかなかスケジュール調整ができない方にもおすすめです。
毎月の返済負担が軽め
一度に大きな金額を借りて、返済は毎月少なめで良いのもビジネスローンのメリットです。
もちろん、利息手数料はかかりますが、借りた額に対して毎月少額ずつ返済していくため、負担を抑えることができます。
自由に借入ができる
ビジネスローンは、与えられた利用可能額の範囲内で何度も借りることができます。
希望額が200万円のところ、500万円の利用可能枠が与えられたとします。最初は200万円借りて、もし後日もう少し資金が必要になったら、残りの枠300万円を審査なしで追加で借りることができます。
無担保・保証人不要
ビジネスローンは無担保・保証人不要で利用できます。
今回比較しているファクタリングも無担保・無保証で利用できますが、同じ融資でも、銀行融資では担保・保証人を必要とします。
総量規制の対象外
個人が利用するカードローンやキャッシングには、年収の3分の1までしか借りられない「総量規制」というものが貸金業法にて定められています。
しかし、ビジネスローンは総量規制の対象外ですので、年収の3分の1以上の融資を受けることができます。
ただし、審査結果によっては年収の3分の1以下しか利用可能枠が与えられないこともあるため、その点は注意が必要です。
ビジネスローンのデメリット
ビジネスローンのデメリットは、金利がやや高め、そして金融事故があると利用できない点の2つです。
借入金利がやや高め(年3%〜18%)
ビジネスローンは金利が年率4%〜15%くらいです。個人向けのキャッシングと比較するとやや低めですが、銀行や公的融資に比べるとやや高めと言えるでしょう。
金融事故があると借入できない
ビジネスローンの審査は個人信用情報を開示してクレジットカードやキャッシングなど過去の金融の取引情報をチェックします。
この時に、滞納や延滞、破産などの情報が残っていると、融資の審査に通らなくなってしまいます。
金融事故は融資審査でかなり影響を及ぼしますので、もし過去に滞納や延滞をしているのであれば、融資よりもファクタリングを選ぶのが得策です。
ビジネスローンの利用がおすすめのシーン
どのような時にビジネスローンを利用するのがおすすめか解説します。
新規事業の資金や開業資金として
ビジネスローンの特徴として、自身の信用が高ければ高いほど、低利率で大きな金額を資金調達することができます。
大きな金額を借りることができますので、新規事業の資金や開業資金などにもおすすめです。
銀行や公的融資の審査に通らなかった時
ビジネスにおいて資金調達といえば、銀行、信用金庫、日本政策金融公庫などの公的融資がありますが、いずれも審査が厳しく、さらに審査期間が長く、現金が手に入るまでの時間が長めです。
ビジネスローンは銀行や公的機関の審査に比べて比較的緩めで資金調達のスピードが早いという特徴があります。
銀行や公的機関の審査に通らなくても、ビジネスローンであれば審査に通るかもしれません。
ファクタリングとビジネスローンのまとめ
ファクタリングとビジネスローンのそれぞれの特徴やメリット・デメリット、おすすめの利用シーンをまとめました。
手数料はパッと見どちらも同じくらいに見えますが、ビジネスローンは年利ですので、ファクタリングを継続して利用する場合は手数料負担がかなり大きくなる点だけ注意しましょう。
その一方で、ビジネスローンは融資ですので、利用者自身の信用情報をチェックされます。
過去に滞納がある方は審査に落ちてしまうことも考えられますので、もし審査に落ちてしまった場合はファクタリングの利用を検討しましょう。
ファクタリングであれば審査対象は売掛先のため、自身の信用情報はさほど影響がありません。
おすすめの利用シーンなどを自身の状況に照らし合わせて、失敗しない資金調達をしていきましょう。