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インボイス制度導入でファクタリングにどのような影響がある?振込手数料など注意点について解説
2024年6月18日
2023年10月よりインボイス制度がスタートしたことは、ニュースやワイドショーなどで知っている人も多いでしょう。
しかしインボイス制度で、どのような影響を受けるかはあまり知られていないかもしれません。
法人の資金繰りとして定着しつつあるファクタリングにも、インボイス導入でいろいろな影響があると考えられます。
そこでここでは、インボイスとファクタリングの関係性について紹介します。
目次
ファクタリングとインボイスはどう影響し合う?
ファクタリングとこの度導入されたインボイス制度で、どのように関係するかよくわからないという法人代表者もいるかもしれません。
そこでまずは両者の関係性について紹介しましょう。
インボイス制度とは何か?
近年話題になりがちなインボイス制度は、消費税の適正な申告を目的として導入された制度です。
インボイスとは適格請求書のことで、適格請求書発行事業者として登録して初めて適格請求書を発行できます。
適格請求書の特徴は、消費税額が明記されていることです。
適格請求書を発行すれば、取引先は消費税額の申告を正確に行えます。
すると所得税の控除の要件を満たせるわけです。
ファクタリングと消費税の納税義務者
インボイス制度の中では消費税の納税義務者は、適格請求書を発行した事業者になります。
ファクタリングの中では、請求書を発行した事業者が納税義務者です。
たとえファクタリングに買取に出した未回収の請求書が適格請求書であったかどうかは関係ありません。
インボイス制度の中でも、ファクタリング業者は消費税の納税義務者ではありません。
振込手数料とインボイス制度の関係について
ビジネスをする中で請求書が発行され、支払いが行われます。
ここで問題になるのは、支払いの中で振込手数料が発生した場合、だれが負担するかです。
インボイス制度の中では、原則請求書を受け取った買い手側の負担になると思ってください。
しかしあくまでも原則上の話であって、絶対的なルールではないことにも注意しましょう。
ファクタリングの場合、利用法人が振込手数料を負担する
ファクタリングでは売掛債権を業者に売却することで、いち早く現金を手にできる形になります。
ただし売掛金の額面そのままで現金化できるわけではありません。
一般的にファクタリング業者の指定する手数料を売掛債権から差し引いた金額が、利用法人に支払われる形です。
ファクタリングの手数料には、いろいろな費用が含まれます。
具体的には基本手数料や印紙代、債権譲渡登記費用、事務手数料などが該当します。
また振込手数料も盛り込まれているのが一般的です。
振込手数料については、契約書を作成した際に条文に取り扱い事項が記載されているはずです。
そこで初めてサービス利用する際には、契約書で振込手数料の負担についてチェックしましょう。
もし何も契約書に書かれていなかった場合には、振込手数料の負担がどのようになっているか担当者に確認してください。
一部契約書を発行しないところもあるかもしれません。
そのようなところは悪徳業者の可能性大です。
振込手数料以外にも、いろいろなコストを請求してくる可能性があります。
ファクタリングでは、数千万円や時として1億円以上のお金が動くこともあり得ます。
何か問題があった時のために、契約書は作成してもらったほうが良いでしょう。
インボイス制度と振込手数料の取り扱いについて
ファクタリングを利用した場合、お金の動きがあるので帳簿に残さなければなりません。
では振込手数料が発生した場合、仕訳上どのように処理すれば良いかという問題も発生するでしょう。
振込手数料は、非課税取引の一つとして扱われます。
インボイス制度導入以降は、適格請求書の交付を受ければ、仕入れ税額控除の対象です。
ただしATMなど振込手数料が3万円未満の手続きだと、適格請求書の交付が受けられないかもしれません。
その場合には、帳簿に一定の事項を記載しましょう。
そうすれば、適格請求書の交付を受けなかったとしても、仕入れ税額控除の対象にできます。
インボイス制度でファクタリングの税務処理はどうなる?具体例を紹介
ではインボイス制度が導入された後で、ファクタリングを利用した場合税務上の処理はどうなるのでしょうか?
具体的な事例について見ていきましょう。
まず100万円の掛売取引が発生したと仮定します。
消費税込みの場合、借方は「売掛金」として110万円と記載します。
一方貸方は「売上」として100万円、「借受消費税」として10万円と記帳してください。
もしくは消費税込みという扱いで、借方を「売掛金」110万円、貸方「売上」110万円という処理でも問題ありません。
そしてこの売掛債権を手数料10%のファクタリング業者に譲渡したと仮定しましょう。
すると110万円の10%である11万円を業者に支払う形になります。
ということは借方には普通預金に振り込まれた場合、「普通預金」99万円と記載し、振込手数料を含めた手数料は「売上債権売却損」11万円として処理します。
そして貸方は「未収入金」110万円と記載してください。
また振込手数料を含めた、ファクタリングの手数料は非課税取引になります。
これは国税庁の通達にも記載されていることです。
2社間の場合、いったん取引先から利用法人が売掛金を回収します。
この時の処理の仕方は、借方が「普通預金」110万年、貸方「預かり金」110万円です。
売掛金を回収したら、業者に支払うのが義務です。
この場合の仕訳は借方が「預かり金」110万円、貸方「普通預金」110万円になります。
このように振込手数料を含め、ファクタリングでは何段階か税務処理が必要なので注意してください。
インボイス制度の開始でファクタリングの受ける影響は?
インボイス制度が始まることで、私たちの生活にさまざまな影響が出ると考えられています。
ではファクタリングに及ぼす影響について見ていきます。
しかし基本的にインボイス制度が新規に作られたからと言って、ファクタリングのシステムそのものに大きな影響はないと思ってください。
手数料は非課税扱いだから
なぜ基本的に影響は受けないと言い切れるのか、それは手数料が非課税なためです。
ファクタリングは振込手数料はじめ、諸費用を手数料として設定していることはすでに紹介しました。
この手数料は消費税非課税になっています。
インボイス制度は消費税の課税方法に関わるルールなので、関係ないわけです。
法人もしくは個人事業主がお手持ちの売掛債権を売却することで換金するのが、ファクタリングの本質です。
この取引の中で、直接的にインボイスが関わってくることはありません。
付随するサービスが影響を受ける可能性も
ファクタリングとインボイス制度は、直接的には無関係と思ってください。
しかし、付随するサービスや手続きを進める中で、インボイス制度の影響を受ける可能性はゼロではありません。
具体的には面談を受けるために、業者のオフィスに足を運ぶこともあるでしょう。
社用車を使って移動して、途中で給油した場合、ガソリン代には消費税がかかります。
またファクタリングの中には、オンライン完結するタイプも少なくありません。
オンライン手続きするために、パソコンを新たに導入したとします。
この時の代金に対する消費税や振込手数料が厳密に言えば、インボイス制度の影響を受ける可能性もあります。
このような間接的な影響のある可能性には、留意してください。
インボイス制度導入でファクタリングの需要が上がる可能性
インボイス制度の導入で、ファクタリングのサービス概要そのものに影響はないと考えられます。
しかしインボイスが本格的に導入されることで、ファクタリングの利用を希望する法人が今まで以上に増加する可能性はあります。
なぜ需要が高まるのか、その理由について見ていきましょう。
インボイスのデメリット
インボイスの報道で、しばしば批判的な論調が目立っている印象はありませんか?
インボイスのデメリットとしてしばしば指摘されているのが、収入減少リスクです。
インボイスによって、売上1,000万円以下の免税対象がなくなります。
たとえば年間売上が800万円であれば、これまで消費税は免税されていました。
この優遇措置がなくなって、80万円の消費税の納税義務が発生するわけです。
80万円の消費税が実質的に差し引きされるので、収入減少が懸念されるわけです。
一人親方の建築業や個人経営の飲食店など、売上規模の小さいところは大きな影響を受けかねません。
また免税事業者相手の取引の場合、先方が消費税を負担しなければなりません。
この負担を嫌がって、取引打ち切りの恐れも出てきます。
収入減でファクタリング利用するケースも
インボイスによって、収入減になればこれまで以上に資金繰りに窮する法人も出てくるでしょう。
そこでファクタリングを使って、資金調達する必要が出てくるかもしれません。
ファクタリングはそもそも自分が持っている売掛債権を買取に出すアプローチで、資金調達する方法です。
借入とは違うアプローチで、返済のことを考える必要もありません。
また融資とは異なるので、売掛先の信用度が十分あれば審査が通りやすいとされます。
現金化しやすくなるでしょうから、キャッシュフローの改善に役立つでしょう。
新制度の下で、税金などの仕組みも変わってくるかもしれません。
その中で送金する際の振込手数料の負担が大きくなる可能性もあり得ます。
もし振込手数料など、負担が大きくなってしまった際にその穴埋めとしてファクタリングを利用するのも一考です。
スピーディに資金調達できる
ファクタリングの特色として、最短即日現金化できる点も見逃せないところです。
インボイス制度の施行で、最初のうちはどの程度税負担が大きくなるのか想像つかないという法人代表者もいるでしょう。
もし思ったよりも出費がかさみ、手持ち資金が枯渇した場合でもファクタリングが利用できれば安心です。
即日入金も可能なため、資金ショートが起こりそうになってもパニックにならずに済みます。
ただしすべての業者で即日対応しているわけではないので、慎重に申し込み先を選びましょう。
ファクタリングの振込手数料とインボイスに関するまとめ
インボイス制度が新規導入されたのは、報道で目にした人も多いでしょう。
これまで免税業者だった人は、消費税の負担をしなければならなくなりました。
結果、実質的には収入ダウンすることもあり得ます。
このインボイス制度、ファクタリングのシステム自体に大きな影響はありません。
振込手数料などのコストも、非課税扱いなのでインボイスへの影響はありません。
ただしインボイスのおかげでキャッシュフローが悪化する事態は想定できます。
その際には、短期で現金化できるファクタリングの利用も検討してください。