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ファクタリングと手形割引の違い|各メリット・デメリットと違いから見た使い分けを解説!

2024年11月25日

資金調達手段として、ファクタリングや手形割引をご存じでしょうか?
どちらも売掛債権を用いた資金調達手段であり、売掛金の早期現金化ができます。
ファクタリングと手形割引はどちらも「早期現金化」という同じ目的で利用するため混同されがちですが、この2つには明確な違いがあります。
違いを理解せずに利用してしまうと、損をすることになるかもしれません。
この記事では、ファクタリングと手形割引の違いと、それぞれのメリット・デメリット、違いから見た使い分け方法を解説します。
この記事を読むことで、ファクタリングと手形割引の違いが理解でき、自社に適した資金調達手段を選択できるようになるため、ぜひ最後までお読みください。

ファクタリングと手形割引の基礎知識

ファクタリングと手形割引は、どちらも売掛債権を利用した資金調達手段です。
売掛債権とは、信用取引において、商品やサービスを提供した会社が、その対価である代金を請求できる権利のこと。
ファクタリングも手形割引も売掛債権を用いた売買取引ですが、現金化する対象に違いがあります。
ファクタリングは売掛金を、手形割引は約束手形を譲渡・売却することで、現金化が可能です。

ファクタリングの買取対象である「売掛金」は、企業間取引における「商品代金を将来的に支払う」という約束。
売掛先は約束通りに代金を支払う必要がありますが、支払期日の期限内での支払いが法的に保障されているものではありません。

対し、手形割引に必要な約束手形には制度的な保障があり、手形の不渡りを半年間に2回以上発生させると、その会社は銀行取引停止処分を受けます。
処分を受けた日から2年間は当座勘定取引および融資取引を行えなくなるため、実質的には会社経営ができません。
現実的には1回でも不渡りを起こすと社会的信用をなくすため、売掛先も不渡りを起こさないように必死に対応する可能性が高いのです。
このように売掛金と手形には法的強制力に違いがあるため、売掛金より約束手形の方が現金化しやすいとされています。

ファクタリングは「売掛金」の譲渡

ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、支払期日前に売掛金を現金化することができます。
ファクタリング利用時には手数料が発生するため、実際には売掛金額から手数料を差し引いた金額の早期現金化が可能。
売掛金は手形と違い、現物はないため、実際に物を譲渡することはできません。
そのため、利用会社とファクタリング会社で契約書を取り交わして取引は行われます。

ファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2つの方式があります。
2社間ファクタリングとは、利用会社とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶ方式。
売掛先が全く関与しないため、最短即日での現金化が可能であり、最速で資金調達することができます。
3社間ファクタリングは利用会社とファクタリング会社と売掛先の3社間で契約を結ぶ方式。
売掛先も取引に参加するため資金調達には3日~1週間程度の期間を要し、即日での資金調達はできません。
3社間ファクタリングは、売掛金の未回収リスクが低いため、手数料は割安で利用できるという特徴があります。

手形割引は「約束手形」の譲渡

本来、手形は決算日満期にならなければ現金化することができません。
手形割引とは、約束手形を銀行などの金融機関に買い取ってもらうことで、手形に記載されている決済日前に早期現金化できる資金調達手段

金融機関に約束手形を売却し、手形書面額から手数料と利息分の金額を割り引いた金額の受け取りが可能です。
この場合の利息は、現金化する日から決済日までの金利を日割計算して算出されます。
手形割引で現金化できる金額の計算は以下の通り。

<支払いサイト60日 約束手形100万円 割引率年利9%の場合>
3月1日に手形が振り出された場合、通常は60日後の4月30日に100万円が入金されます。
ここで、手形割引を利用して60日後の受け取りを30日短縮したと仮定すると(3月30日に受け取り)、
約束手形100万円-約束手形100万円×(4月30日-3月30日)×9%×30日÷365日
=100万円-100万円×30日×9%×0.0822
=100万円-(100万円×0.2219)
=100万円-221,900円(割引料)
=778,100円
778,100円が早期現金化できる金額となります。

ファクタリングと手形割引の違い

ファクタリングも手形割引も、ともに「売掛債権の譲渡契約」です。
ただし、ファクタリングと手形割引には明確な違いが8つあります。
8つの違いについて、以下に解説します。

1,償還請求権の有無

まず、ファクタリングと手形割引には、償還請求権の有無に違いがあります。
償還請求権とは、売掛先の倒産や経営悪化等により売掛先の支払いが不能となった際に、利用会社に弁済を求めることができる権利のこと。
何らかの理由で債務不履行になった場合、手形割引であれば金融機関、ファクタリングであればファクタリング会社はそれぞれ債権を回収することができません。
そうなった場合の対応に大きな違いがあるのです。

  • ファクタリング:償還請求権なし(売掛金未回収時はファクタリング会社の負担)
  • 手形割引:償還請求権あり(不渡り時は買い戻しの義務あり)

ファクタリングは償還請求権がないため、売掛金の回収ができなくなった場合でも、利用会社に支払いを求められることはありません。
ファクタリングは、売掛金の回収ができなくなった場合には、ファクタリング会社が負担を負うことになります。
そのため、利用会社はファクタリング会社へ売掛金を売却してしまえば、その後の売掛金未回収に関する心配は一切いらないのです。
なお、ごく稀にファクタリングでも償還請求権のある契約を提案される場合がありますが、これは売掛債権を担保にした融資(売掛金担保融資:ABL)とみなされる可能性が高いため要注意。

対し、手形割引は償還請求権のある契約。
そのため、手形割引では、手形が不渡りになった場合に、利用会社は買い戻しをしなければなりません。
手形を割り引いて資金調達できても、手形の決済日にきちんと支払いが完了するまでは、確実な債権の回収はできないのです。

2,貸付業法の適用

貸付業法の適用にも違いがあります。
貸付業法とは、借入する利用者を守るために借入額や金利上限を設定している法律のこと。

  • ファクタリング:貸付業法の適用外
  • 手形割引:貸付業法の適用

ファクタリングも手形割引も売掛債権の譲渡に違いありませんが、手形割引は償還請求権がある契約。
そのため、手形割引は売掛債権を担保にした貸付とみなされる可能性があり、貸付業法の適用となります。
対し、ファクタリングは償還請求権がないため、純粋な売掛債権の譲渡であり、貸付業法は適用されません。

3,手数料

利用時に発生する手数料にも違いがあります。

  • ファクタリング:2社間ファクタリング10%~30%、3社間ファクタリング1%~10%
  • 手形割引:銀行年利1%~5%、貸付業者年利5%~20%

手形割引は、貸付業登録を行うため貸付業法や利息制限法が適用されます。
手形割引は、利息制限法の規定の範囲内で手数料設定をしなければならないため、手数料は高くても年利20%以下にしなければなりません。

対し、ファクタリングは貸付業登録を行わないため、利息制限法も適用外。
特に手数料設定に対する法的な制限はなく、手数料設定はファクタリング会社に一任されています。
ただし、ファクタリングにも手数料相場が設けられており、2社間ファクタリングでは10%~30%、3社間ファクタリングでは1%~10%が一般的。
これは金利換算すると約12%~360%と非常に高い手数料となりますが、ファクタリングは売掛金未回収のリスクも考慮して買取を行うため、妥当と言えるでしょう。

4,審査基準

ファクタリングと手形割引は、利用時の審査基準にも違いがあります。

  • ファクタリング:売掛先の信用度を重視
  • 手形割引:申込企業の企業格付、手形振出先の信用ランクを重視

ファクタリングの審査で最重要視されるのは、売掛先の信用度です。
なぜなら、ファクタリングは償還請求権のない契約であるため、ファクタリング会社は売掛金の未回収リスクを最も恐れているから。
そのため「売掛金をきちんと支払うことができるかどうか」が重要。
ファクタリングは、売掛先の信用力が高ければ、利用会社に赤字決算や債務超過などがあっても問題ありません。

対し、手形割引は手形を担保にした融資とみなされるため、審査はファクタリングよりも厳格。
手形割引では、振出人に支払能力があるかどうか(振出先の信用ランク)だけでなく、申込企業の企業格付も審査されます。
手形割引は、割り引いた手形が不渡りになった場合には、買い戻しをしなければなりません。
そのため、金融機関は万が一に備え、申込企業が買い戻しをできるかどうか、申込企業の経営内容や財務体質も審査する必要があるのです。
したがって、申込企業に赤字経営や税金滞納などがあった場合には、利用できないこともあるでしょう。

審査基準および利用できる会社にも違いがあるので、注意しましょう。

5,現金化速度

ファクタリングと手形割引では、現金化までに要する期間にも違いがあります。

  • ファクタリング:最短即日~1週間程度
  • 手形割引:最短3日~1週間程度

ファクタリングの審査は、売掛先の信用度の調査がメインであるため、審査にかかる時間が少ないです。
また、売掛先が関与しない2社間ファクタリングの場合は、手続きや必要書類も少なく、即日入金に対応しているファクタリング会社も多く存在します。
さらに、オンライン上ですべての取引が完了するオンラインファクタリングでは、AI審査が主流であるため、最短数十分や数時間での現金化も可能。
売掛先が関与する3社間ファクタリングであっても、3日~1週間で現金化できます。

対し、手形割引は、必要書類の提出や審査、手続きに時間がかかるため、即日での資金調達はできません。
最短でも3日は要するため、緊急性の高い資金調達には、ファクタリングがおすすめです。

6.扱う売掛債権の種類

ファクタリングは原則、発生した売掛金の全てが現金化の対象となりますが、手形割引は、売掛金の支払いとして受け取った「約束手形」(受取手形)のみが現金化の対象となる点が大きな違いです。
よって、手形割引と比較し、ファクタリングの方が現金化できる範囲が圧倒的に広いといえます。
また、売掛金は企業間取引で代金を将来支払う約束といえますが、期限内に支払うことが制度的に保証されているわけではありません。
仮に売掛先の勝手な都合で支払いがされなくても、未払いの情報は公開されず、また「強制執行(差押え)する」には裁判による確定判決等の債務名義が必要になります。
もう一方の約束手形(受取手形)の場合は、制度として保証されていることも違いといえます。
手形振出人が手形を決済ができず、不渡りをだせば企業調査会社等から、不渡り情報は世間一般に広まり社会的信用を失いますし、
銀行取引も停止され借入金の一括請求を受け、企業の存続が危ぶまれるほどの制裁を受けることになるため、売掛金のように安易に支払いを遅らせるとか、一部しか払わないといったようなことが発生しにくい制度となっております。
売掛金よりも、約束手形の方が支払いに関する意識が高くなりやす[1]いため、未回収リスクを抑えやすいといえるでしょう。

7.取引先に知られるか否か

3社間ファクタリングでは利用者と売掛先とファクタリング会社の3社間で取引を行うため、売掛先に了解を得る必要
「債権譲渡の法律上の対抗要件としては、ア)売掛先へ確定日付のある債権譲渡通知、イ)債権譲渡登記の設定と売掛先への登記事項証明書の送付、ウ)売掛先の承諾(それを証する書面の確定日付取得)の3つの方法があり、ウ)以外は売掛先の事前の了解は不要です。ただし、売掛先の事前の了解を得ておかないと、取引上の信用不安が発生するリスクがあるため、実務的には売掛先の事前の了解を得ておく必要があります。」
があり、売掛債権の譲渡が知られるのは避けられません。
売掛先にファクタリングを利用することが知られると資金繰りが苦しいと悟られ、信用を損なう場合もあるので売掛先との関係性も重要となってくるでしょう。
しかし、2社間ファクタリングでは利用者とファクタリング会社の2社間で取引が完結するため、売掛債権の譲渡が取引先に知られることはほとんどありません。
同じく手形割引でも依頼人と貸金業者の間で手形を売却するため、取引先に知られる恐れはありません。
審査は取引先に接触をしたり、問い合わせをしたりすることなく、一般的には手形振出人の信用情報を基に行われることになります。
3社間ファクタリングは、取引先に知られることで信用不安が発生するリスクがあるため、そのリスクを避けたいという場合は、2社間ファクタリングや手形割引を選んだ方がいいでしょう。

8.決算書への影響

ファクタリングの場合、「売上債権売却損」を計上し、手形割引の場合「手形売却損」又は「支払利息割引料」が計上されます。
銀行融資を受ける場合、手形割引の方が影響は少なく、ファクタリングの方が影響が大きいのが事実です。
依頼人が決算書に正しく計上していないケースが多いのは事実ですが、銀行融資の可能性を前提とするのであれば、おすすめはファクタリングではなく手形割引になります。

ファクタリングと手形割引のメリット・デメリット

売掛債権の譲渡・売買であるファクタリングと手形割引ですが、上述した通りサービス内容にはいくつもの違いがあります。
これらの違いを踏まえ、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

ファクタリングのメリット・デメリット

<ファクタリングのメリット>

  • 最短即日で資金調達ができる
  • 利用会社の信用力が低くても利用できる
  • 確実な売掛金の回収ができる
  • 決算書の見栄えが良くなる

ファクタリングの最大のメリットは、最短即日で資金調達ができること。
2社間ファクタリングを利用すれば、ファクタリング契約をしたその日のうちに、売掛金を現金化することができます。
また、利用会社に赤字決算や財務超過等の問題があっても利用可能という、利用ハードルの低さも魅力的。
償還請求権のない契約であるため、売掛金を売却してしまえば未回収リスクへの心配も不要です。
そしてなにより、「借入金」として決算書に記録を残さずに資金調達ができるため、決算書の見栄えが良くなります
決算書の見栄えが良ければ、銀行からの印象も良くなるため、今後の銀行融資などの借入も受けやすくなるというメリットがあります。

<ファクタリングのデメリット>

  • 手数料が割高である

ファクタリングのデメリットは、手数料が割高であること。
ファクタリングは利息制限法の適用外であるため、金利換算すると約12%~360%の手数料が生じます。
借入とは違い継続的な返済はありませんが、利用時には決して安いとは言えない手数料がかかるため注意しましょう。

手形割引のメリット・デメリット

<手形割引のメリット>

  • 低手数料で利用できる

手形割引のメリットは、手数料の安さ。
手形割引の手数料は、銀行では1%~5%、貸付業者では5%~20%と、ファクタリングや他の貸付サービスと比べても安いと言えます。
特に銀行などの金融機関を使えば、5%以下という低手数料に抑えることも可能。

<手形割引のデメリット>

  • 不渡り時に払い戻しがある

手形割引のデメリットは、不渡り時に払い戻しがある点。
手形割引で手形の満期前に現金化ができても、その手形が不渡りになった場合には、全額返済しなければなりません。
額面が大きい手形が不渡りになり返済が必要になると、資金繰りが逼迫するリスクがあるという点には注意が必要でしょう。

ファクタリングと手形割引の活用ケース

売掛債権を用いた資金調達であるファクタリングと手形割引ですが、それぞれおすすめの活用ケースも違います。
ここからは、ファクタリングと手形割引の活用ケースを紹介します。

ファクタリングのおすすめ活用ケース

ファクタリングをおすすめするのは、以下のようなケースです。

  • 売掛金がある(必須)
  • 赤字決算、債務超過などで融資審査に通らない
  • 売掛金の未回収リスクを回避したい
  • 今後、銀行等からの借入を検討している

まず、売掛金があることが大前提
ファクタリングは、売掛先がきちんと売掛金を支払うことができると判断されれば、ほとんどの事業主が利用できます。
金銭的な問題や起業間もないなどの理由で、融資を受けられない場合の資金調達としておすすめです。
また、償還請求権がない契約であるため「売掛先が倒産しないか不安」「支払いが遅れたら困る」といった場合にも、ファクタリングで早期現金化することは有用でしょう。

特に、今後銀行等からの借入を検討している場合には、ファクタリングを利用することを推奨します。
なぜなら、ファクタリングを利用することで、負債を抱えることなく現金を増やすことができるから。
借入を行う場合、「負債がある・自己資本が少ない」ということは会社の評価を下げます。
ファクタリングはその双方を解消しうる資金調達手段であり、非常に有用と言えます。

手形割引のおすすめ活用ケース

手形割引をおすすめするのは以下のケース。

  • 手形で取引をしている(必須)
  • コストを抑えたい

手数料を安く抑えたいなら手形割引がおすすめ。
ファクタリングは貸付業法の適用外であるため手数料が割高ですが、手形割引は比較的割安で利用できます。
手元に手形も売掛金もあって、手数料を抑えた資金調達をしたい場合には、手形割引がおすすめです。

ファクタリングと手形割引の違いのまとめ

この記事では、ファクタリングと手形割引の違いを解説しました。
ファクタリングは「売掛金」の譲渡、手形割引は「約束手形」の譲渡により、売掛債権の早期現金化ができるサービスという違い。
対象となる売掛債権の違いのほかにも、償還請求権の有無や手数料、資金調達までの速度、審査基準など明確な違いがあります。
これらの違いを理解した上で、ファクタリングを用いるのか、手形割引を用いるのか検討しましょう。
「売掛金の未回収リスクを回避したい」場合はファクタリング、「手数料を安く抑えたい」場合は手形割引がおすすめです。

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