お知らせ
Message
ファクタリングとサービサーの違い|2つの債権買取・回収サービスの違いを徹底解説!
2022年12月16日
売掛債権の買取サービスであるファクタリングは、債権の買取であると同時に債権回収も担っています。
ファクタリングは中小企業の資金調達手段として近年利用者が増加傾向にあり、認知度も向上中のサービス。
では、「債権回収」手続きであるサービサー(債権回収会社)はご存じでしょうか?
ファクタリングと同じく、債権を回収できるサービスではありますが、両者は似ているようで全く異なる性質を持ちます。
この記事では、債権回収手続きであるファクタリングとサービサーについて、その違いと使い分け方について解説していきます。
この記事を読むことで、目的ごとに最適な方法の選択ができるようになりますので、ぜひ最後までお読み下さい。
目次
サービサー|不良債権を回収する会社
サービサー(債権回収会社)とは、言葉の通り「債権を回収する会社」のこと。
銀行などの金融機関から、支払期日の過ぎた特定金銭債権(主に貸付債権)を買い取り、金融機関の代わりに債権回収を行う専門業者を指します。
つまり、サービサーとは法的に管理された「借金の取り立て」のようなものです。
金融機関が抱える不良債権を低価格でサービサーに買い取ってもらい、サービサーはその不良債権を回収して利益を得るという仕組みです。
平成13年までは、債権回収業務は弁護士しか認可されておらず、弁護士以外は債権回収を行うことができませんでした。
平成13年の「債権管理回収業に関する特別措置法」の改定後、法務大臣の許可を得ていれば、民間企業でも債権回収が可能となり、それを機にサービサーという事業ができたのです。
この場合の、法務大臣の許可とは以下の条件に当てはまるものを指します。
- 業務執行に係る専権を有する者(例として代表取締役に弁護士が就任している)
- 資本金として5億円を有していること
- 暴力団員が関わっていないこと など
サービサーは借金の取り立て業務であるため、暴力団と関与していないことは必須条件です。
そのため、サービサーによる回収業務は恐喝や脅しのような手法は用いず、法的に管理された中で行われます。
金融機関としては、サービサーを利用することにより回収不可能な不良債権を回収する業務をなくすことで、その手間が省け、本来の業務に専念できるというメリットがあるでしょう。
サービサーの回収対象となる不良債権
サービサーの回収対象となるのは、特定金銭債権に限定されており、銀行や消費者金融、カード会社が貸しているお金のほとんどが対象となります。
回収対象となる具体的な債権は以下の通り。
- 銀行等の金融機関・貸金業者が有する貸付債権
- リース・クレジット債権
- 特定目的会社(SPC)が流動化対象資産として有する金銭債権
- 法的倒産手続き中の者が有する金銭債権
- 保証会社・金融機関等が有する求償債権(保証人や連帯保証人として被った返済義務のある債権)
- その他、政令指定で定める特定金銭債権
これらの債権のうち、「支払期日が過ぎた債権」がサービサーの回収対象となります。
サービサーでは、金融機関等の特定金銭債権が対象であり、個人や企業が抱える不良債権化した売掛金の回収が基本的にはできないので、注意が必要です。
サービサーを利用する目的
支払期日を過ぎた不良債権の買取・回収をしてくれるサービサーですが、主に以下の目的で利用されます。
- 負債を固定化させない、不良債権の処理
- 回収業務の負担軽減
サービサーは、金融機関や消費者金融、カードローンなどで貸し付けた負債を固定化させない目的で利用されます。
不良債権を破棄するにも税金が発生します。
そのため、従来は不良債権を処分したくても税金が懸念材料となり、処分できないという問題がありました。
サービサーに不良債権を売却すれば、不良債権を税務上の損金として扱えるため、無税償却が可能というメリットがあるのです。
また、サービサーを利用せずに不良債権を抱えたままである場合、支払いを求めるための電話をしたり督促をしたりと、債権回収に相当な時間と労力を要します。
サービサーを利用することで、債権そのものが債権回収業者に譲渡されるため、スピーディーな現金化を望める(回収作業の業務時間短縮)ほか、債務者が破産した場合でも利益を失いません。
債権回収業務に充てていた時間も自由に使えるようになるため、本業に専念できるというメリットもあります。
サービサーの仕組み
サービサー会社は、金融機関等から不良債権を買取り、代わりに債権回収を行うことで利益を得ています。
元々支払期日を過ぎている債権ですから、回収できる可能性は高くなく、サービサーはその中で会社の利益を得なければなりません。
そのため、債権の額面金額の2%~3%という非常に安い金額で不良債権の買取りをします。
例えば、1,000万円の不良債権を2%(20万円)でサービサーが買い取るとします。
金融機関は、不良債権化している0円の債権が手元にあるよりも、20万円で売却した方が利益になるでしょう。
そして、サービサーは買い取った債権の取引先へ、電話や書面送付などの回収業務を行います。
その債権の回収ができれば、サービサーは利益が得られるというわけです。
サービサーでは債権額の全額を回収することは難しく、2%~3%で買い取り、回収できるのは15%前後、会社の利益となるのは10%程度とされています。
実際にサービサーがどのような方法で債権を回収するのかは、以下の通りです。
サービサーの債権回収方法は、電話や書面送付が一般的。
電話や書面送付でも支払いに応じない場合は、内容証明の送付や支払督促の申し立てが行われます。
督促を行っても回収の見込みがなく、支払う意思がない場合は、訴訟を起こす場合もあるでしょう。
サービサーは取り立てのプロ。
恐喝まがいなことは一切せずに、法に従って取り立てをしますが、取引先の預貯金額や不動産の有無、株式の情報収集もしており、どうしても支払いが行われない場合は差し押さえ対象になることもあります。
このように、サービサーは金融機関等では手間が多く行うことができないような色々な手法を用いて、債権回収を行っているのです。
また、どうしたら支払いが行えるか、一緒に考えてアドバイスをしてくれるサービサーもあるようです。
ファクタリング|売掛債権を買い取るサービス
ファクタリングは、売掛債権の買い取りサービス。
企業や個人事業主が抱える支払期日前の売掛債権を、ファクタリング会社に売却することで、本来の支払期日前に早期資金調達ができます。
利用する際に手数料が発生しますが、手早い現金化と確実な売掛金の回収ができるというメリットがあります。
ファクタリングの買取対象となる債権
ファクタリングで買取対象となる債権は、原則「確定債権」です。
確定債権とは、商品やサービスの提供が完了しており、請求書により支払金額や支払期日が確定している売掛債権のこと。
ファクタリングでは、売掛先が企業である確定債権であれば、所有者は個人事業主でもフリーランスでも、企業でも利用することができる場合があります。
支払期日を過ぎている不良債権や、売掛先が個人である確定債権は対象外となるため、注意が必要です。
ファクタリングを利用する目的
ファクタリングを利用する目的は以下の通り。
- 売掛金の早期現金化
- 売掛金の確実な回収
ファクタリングは手数料を支払うことで、手元にある売掛債権を売却、最短即日で現金化することができます。
「今日中に資金が必要」「銀行の融資を待っている時間がない」など、緊急性の高い資金調達が必要な場合に利用されることが多いです。
また、ファクタリングは原則償還請求権のない契約を結びます。
そのため、売掛先の倒産などにより売掛金の回収ができなくなった場合でも、利用会社がファクタリング会社へ弁済をする必要がありません。
つまり、ファクタリング会社へ売却した売掛金が回収不能となった場合でも、払い戻す必要がないのです。
ファクタリングを利用して売掛金を現金化すれば、売掛先の倒産等の心配をすることなく、確実な売掛金の回収ができるのです。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングの仕組みは以下の通り。
- 商品やサービスの提供により、売掛債権が発生する
- 利用会社はファクタリング会社へ売掛債権を売却する
- ファクタリング会社は売掛金から手数料を差し引いた買取額を、利用会社へ支払う
- 支払期日に売掛金をファクタリング会社へ支払う
ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2通りの契約方式があります。
2社間ファクタリングは、利用会社とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶため、売掛先が一切関与しません。
そのため、④では売掛先から利用会社へ入金された売掛金をそのままファクタリング会社へ支払う形となります。
未回収リスクが高くなるため、2社間ファクタリングの手数料は10%~30%とやや割高です。
3社間ファクタリングは、利用会社と売掛先とファクタリング会社の3社間で契約を結びます。
④では、売掛先から直接ファクタリング会社へ支払いが行われるため、未回収リスクが低く、3社間ファクタリングの手数料は1%~10%と割安になっています。
サービサーとファクタリングの違い・比較
サービサーとファクタリングの違いは以下の通り。
- 利用者
- サービス内容
- 対象債権
- 買取額
- 利用目的
- 利用するタイミング
1,利用者
サービサーの利用者は金融機関や消費者金融、カード会社など、特定金銭債権を抱える会社です。
一方で、ファクタリングは売掛債権を所有していれば、個人事業主でもフリーランスでも、法人でも誰でも利用することができます。
ただし「法人のみ」など利用者を限定しているファクタリング会社もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
利用者の制限が少ないため、ファクタリングの方が利用しやすいサービスと言えるでしょう。
2,サービス内容
サービサーは不良債権化した金銭債権の回収、ファクタリングは支払期日前の売掛債権の買い取りが主なサービス内容となります。
サービサーは所有していても債権回収の見込みが非常に低い不良債権を売却することができるサービス。
ファクタリングは、入金日が到来していない売掛金を売却することで支払期日前に現金化することができるサービスです。
3,対象債権
サービサーでは原則支払期日を過ぎて不良債権化した債権が買取対象になるのに対し、ファクタリングは支払期日前の確定債権が買取対象になります。
つまり、ファクタリングは回収できる可能性の高い債権しか買い取りません。
回収できる可能性が限りなく低い不良債権の買い取りは、サービサーしかできないのです。
4,買取額
サービサーは債権額の2%~3%、ファクタリングは債権額の70%~99%が買取額になります。
サービサーはもともと回収できる可能性が限りなく低い不良債権を買い取るため、買取額は非常に安いです。
それでも、サービサーを利用することで、もともと回収できずに0円であった債権が多少なりとも現金化できるため有用と言えるでしょう。
5,利用目的
サービサーの主な利用目的は、「負債を固定化しない」ことと「回収業務の負担軽減」。
サービサーに不良債権を売却することで、従来債権回収に要していた手間(電話や督促など)を軽減できるうえに、支払いが行われない債権(負債)の固定化を回避することができます。
ファクタリングの主な利用目的は、「売掛金の早期現金化」と「売掛金の確実な回収」。
ファクタリングは支払期日前の売掛債権を売却することで、最短即日で資金調達ができます。
また、償還請求権のない契約であるため、ファクタリング会社に売却した売掛金の回収ができなかった場合でも、利用者は弁済を求められることはありません。
売掛金の未回収リスクを回避する目的でもファクタリングは利用できます。
6,利用するタイミング
サービサーは支払期日を過ぎた不良債権が対象となるため、利用するタイミングは債権の支払期日後となります。
一方でファクタリングは、支払期日前の売掛債権が対象であり、不良債権は買取対象外。
そのため、ファクタリングは支払期日前に利用されます。
サービサーとファクタリングの使い分け
サービサーは、金融機関等が抱える支払期日を過ぎた不良債権の買取り・回収サービスです。
不良債権を額面金額の2%~3%でサービサーに売却することで、利用会社は不良債権の処分と現金化ができます。
ファクタリングは、事業主が抱える支払期日前の売掛債権の買取りサービス。
売掛金の1%~30%を手数料として支払う代わりに、売掛金の早期現金化ができます。
支払期日に回収した売掛金をファクタリング会社に支払うことで、取引は完了します。
簡単に言うと、サービサーは「不良債権の回収・取り立て」、ファクタリングは「売掛債権の買取り」と言えるでしょう。
そのため、
- 支払期日を過ぎた債権を処分・現金化したい場合はサービサー
- 支払期日前に現金化したい場合はファクタリング
というような使い分けをするのが良いでしょう。
サービサーとファクタリングの違いのまとめ
この記事では、債権回収であるサービサーとファクタリングについて、その仕組みと違いの解説をしました。
サービサーは、金融機関が抱える支払期日を過ぎた不良債権の買取り・回収サービス。
不良債権のままでは回収の見込みがないものをサービサーに売却して、額面金額の2%~3%の金額を得ることができます。
一方で、ファクタリングは、事業主が抱える支払期日前の売掛債権の買取りサービス。
ファクタリング会社に売却する際に手数料が発生しますが、支払期日前に売掛金の70%~99%の早期現金化ができます。
このように、債権の回収手段であるためサービサーとファクタリングは混同されやすいですが、利用目的も買取対象となる債権も全く異なるサービスです。
この2つの違いの理解が深まることで、経営状況や資金繰りが悪化した際にどのサービスを使うのが適しているかが分かり、悩まされることなく資金繰り改善ができるでしょう。