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ファクタリングによる債権現金化のスキームは?資金調達方法としての特徴も解説
2023年7月14日
中小企業や個人事業主に適した資金調達方法とも言われるファクタリングですが、どのようなスキームで債権が現金化できるかを正しく理解されていない方は少なくないかも知れません。
しかしファクタリングを安全に利用するためには資金調達のスキームを理解しておくことも大切です。
本稿では「ファクタリングのスキーム」に焦点を当て、資金調達方法としての概要や債権現金化までの流れの他、利用するメリットや注意点も解説させていただきます。
目次
ファクタリングのスキームを知る必要性とは?
資金調達には幾つもの選択肢がありますが、どんな選択肢にもメリットだけでなくデメリットも存在しています。
ファクタリングは代表的な資金調達方法である融資とはスキームも特徴も大きく違っているため、どのような仕組みで現金が調達できるかを理解していないと融資との違いをデメリットに感じたり、悪質業者に騙されるリスクを高めたりすることになりかねません。
しかしファクタリングのスキームを正しく理解しておけば、トラブルを未然に回避しやすくなります。
スキーム(scheme)とは「枠組み・仕組み」という意味を含む
ここまでにも「スキーム」という言葉を複数回使わせていただいていますが、スキームという言葉の意味を改めてご紹介させていただきます。
「スキーム(scheme)」とは、ビジネスにおいては「計画」や「案」、「枠組み」などの意味で使用されます。
ただし英語では「陰謀」や「悪巧み」という意味を含んでいるため、特に相手が英語圏の方や英語力が高い方の場合には注意が必要です。
また本稿ではファクタリングのスキームとは「ファクタリングの概要や資金調達を行う仕組み」という意味も含めて解説させていただきます。
ファクタリングによる資金調達スキーム(概要)
「売掛債権を活用した資金調達方法」の1つであるファクタリングは、売掛債権を担保として融資を受けることが可能なABL(動産担保融資)と混同されやすいのですが、この2つは資金調達方法としてのスキームが全く違います。
ABLはその名の通り融資に該当するサービスですが、ファクタリングは事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社が買い取ることで現金化するサービスです。
融資と買取という違いは様々な点に影響し、ABLに限らず融資を受けることが難しい状況の企業も、ファクタリングによる資金調達には成功できたという事例も数多く存在しています。
法的には「債権の売買(債権譲渡)契約」に該当するサービス
売掛債権をファクタリング会社に売却し資金調達を行うファクタリングは、そのスキームによって法的には「債権の売買(債権譲渡)契約」に該当します。
ファクタリングが債権の売買(債権譲渡)契約に該当するという情報は、金融庁のホームページでも確認できますので、違法行為ではないかと心配する必要もありません。
ファクタリングの法的根拠
他の資金調達方法とは違う少し特殊なスキームの影響か、ごく稀にファクタリングが危険な資金調達方法であると思われている方もいらっしゃるようですが、ファクタリングは民法が法的根拠となります。
・民法第466条「債権の譲渡性」—債権は、譲り渡すことができる。
・民法第467条「指名債権の譲渡の対抗要件」—指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
・民法第555条「売買」—売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生じる
上記の3項目がファクタリングの法的根拠となる民法であり、対象の民法を一部抜粋したものです。
466条と555条によって債権の売却には違法性がないことが証明され、467条によって、売掛先への通知を行う3社間ファクタリングの有効性が示されることになります。
ファクタリングは金融庁も認めている資金調達方法
前述させていただいている通り、金融庁はファクタリングの法的な扱いについて見解を示していますが、他にも「事業者の資金調達の一手段」とも記載しており、ファクタリングのスキームが違法性がないだけでなく、金融庁も認めている資金調達方法であると判断することができます。
一般的なファクタリング(買取ファクタリング)以外のサービス
金融庁はファクタリングに関して「事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買取るサービス」とも解説していますが、この文章の前に「一般に」という言葉が付けられています。
これは債権の買取以外にも、売掛債権に対する保険的な役割となる「保証ファクタリング」など、ファクタリングと名の付くサービスが存在しているからとも考えられます。
さらには金融庁も注意喚起を行っており、債権の売買に該当せず貸付と判断される、「ファクタリングを装った違法貸付」への注意喚起を行うためとも考えられますので、特に闇金融が関係している恐れの高い違法貸付には注意が必要となります。
ファクタリングによる債権現金化のスキーム(流れ)と特徴
実際にファクタリングを利用される際には、細かなスキームを知らずとも手続きに関しての説明が随時行われるはずですので、必要以上の心配は無用です。
しかし手続きの流れをある程度理解しておくと、スムーズに債権現金化が行えるのも事実です。
ここからはファクタリングのスキームに関し、現金化までの流れや利用することで得られるメリットと注意点を解説させていただきます。
債権を現金化するまでの流れ
①申込み
②申込内容に関するヒアリングや手続きに関する説明
③書類提出
④審査
⑤契約手続
⑥債権の買取実行
⑦債権の決済
ファクタリングを利用して債権を現金化する基本的な流れは、上記のようになります。
融資による資金調達よりも手続きは簡単であることが多いのですが、何か疑問を感じた際には随時確認を行うことが大切です。
現在は来店不要でオンライン完結が可能なファクタリング会社も増えていますが、いざという時にスムーズに問合せができるように、電話やオンライン面談などによる問合せに対応できる場所を選んでいただくことをおすすめします。
また上記した流れは、申込先によっては前後することがあります。
ファクタリングのスキーム(仕組み)によって得られるメリット
「融資とは全く違う資金調達方法」とも言われるファクタリングは、融資とのスキームの違いが利用する際のメリットに繋がることが少なくありません。
借入による資金繰りに不安を感じていたり利用が難しかったりする場合は、特にメリットを感じるはずです。またメリットだけでなく注意点も理解していただくことで、トラブルなく債権の現金化を行いやすくなります。
利用するためのハードルが低い
ファクタリングを利用するための必須条件は「決済期日前の売掛債権を保有している」という1点のみです。
担保も保証人も不要であり、年商や業歴が問われることも基本的にはありません。
ただし保有している債権が決済日を過ぎ不良債権となっている場合は原則買取対象になることができませんので、ご注意ください。
また銀行系ファクタリング会社などの一部では、利用対象が法人に限定されていることがありますが、個人事業主が利用可能な場所も多く、大きな問題にはならないはずです。
利用対象となるためのハードルが低く、多くの企業が申込みやすいのはファクタリングを利用するメリットの1つです。
短時間での資金調達が可能
申込先にもよりますが、融資によって資金調達を行うには、1ヶ月以上の期間が必要になることも特に珍しくはありません。
つまり急ぎの資金調達には融資は利用しづらいということになりかねないのですが、ファクタリングであれば急ぎの状況でも資金調達に成功できる可能性は高まります。
資金調達のスキームが融資よりも簡略化されているのが大きな理由となりますが、最短即日での債権現金化も可能です。
さらにオンラインで手続きが完結できるオンラインファクタリングを活用していただくことで、申込後30分など非常に短時間での資金調達も実現可能となります。
融資とは大きく違う審査基準
融資とファクタリングの大きな違いの1つが「審査基準」です。
融資の審査では決算書や事業計画書の内容を参考に、返済能力の高さや将来性などが総合的に判断されます。
対してファクタリングの審査で問われるのは、売掛先が決済日に支払いを行えると信用できるかという点です。
信用力などとも言われますが、通常の取引どおりに決済が行われれば問題はないため、経営状況が格段に悪くなっていたり、過去の取引で支払いトラブルを起こしていたりしなければ、審査通過は難しくなくなります。
また債権の売却を申込んだ企業に関しては、赤字経営や債務超過など融資の審査では悪影響を与えかねない状況であっても、ファクタリングの審査には大きな影響を与えません。
負債額の増加が避けられる
例え少額で短期間の借入であっても、融資による資金調達では負債が必ず増加します。
負債を増加させたとしても、順調に返済ができれば問題はなく、事業を拡大するなどすればレバレッジ効果によって会社を大きく成長させることも可能となります。
しかし負債額の増加によって債務超過に陥ってしまったり貸借対照表の肥大化が進んだりすることが予想される状況であれば、借入による資金調達は避けるべきかも知れません。
ファクタリングは債権の売買契約であり負債額を増加させることがないため、「これ以上の借入は避けたい」という状況にもピッタリです。
ファクタリングのスキーム(仕組み)で知っておくべき注意点
・手数料の上限を規制する法律がない
ファクタリングには、融資を受ける際の利息に影響する金利を規制している「利息制限法」のような法律がなく、設定された手数料が高額であっても違法だとは言い切れません。
そのため、複数社への相見積もりを取るなどして、手数料が妥当な額であるかを判断する必要があります。
・3社間ファクタリング利用時は売掛先との関係性に注意が必要
売掛先への通知を行う3社間ファクタリングは、手数料が低くなりやすいのがメリットですが、売掛先がファクタリングに対して良い印象を抱いていない場合は、関係性に悪影響を及ぼすかも知れません。
そのような状況を避けるためには、売掛先への通知が不要な「2社間ファクタリング」をお選びください。
・ファクタリング利用後の資金繰り計画も重要
「売掛債権の早期現金化」を行ったことで、ファクタリング利用後の資金調達にも影響が出る可能性があります。
債権現金化後の資金繰りを考慮した上で、売却する債権選びも慎重に行うことが大切です。
「ファクタリングによる債権現金化のスキームは?」まとめ
・ファクタリングは「債権の売買(債権譲渡)契約」に該当する資金調達方法
・決済日前の売掛債権を保有していれば利用対象となることが可能であり、利用するためのハードルの低さもファクタリングの特徴
・融資とは大きく資金調達方法としてのスキームが違い、即日資金調達や負債額を増やさないなどの特徴を持つ
ファクタリングによる資金調達のスキームは融資とは大きく違い、銀行融資などの審査に通過できなかった企業も、債権売却による現金化には成功できたという実例は数多く存在しています。
また担保や保証人はもちろん不要であり、会社規模や業歴を問われることも少ないなど、利用するためのハードルが低いのも特徴です。
また資金調達スピードなどファクタリングの特徴を活かしていただくことで、資金繰り改善効果はより大きくなります。