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ファクタリングで詐欺になる可能性は?架空債権ではないと立証するための方法について解説
2024年6月14日
ファクタリングは早期にお手持ちの売掛金を現金化することで、資金繰りの改善を試みる手法です。
しかし中にはファクタリングのシステムを悪用し、違法に資金調達する詐欺的な行為を行うところも一部見られます。
ファクタリングで詐欺に問われかねない行為とはどのようなものなのか、ここで見ていきます。
詐欺を疑われないように、実在する債権であると立証するためにはどうすれば良いかについても、あわせて見ていくので参考にしてください。
目次
ファクタリング詐欺を疑われる事例とは?
利用法人が行うファクタリング詐欺の事例は、主に3つです。
1.架空債権で買取依頼する
2.二重譲渡状態にある
3.不良債権で買取をお願いする
意図的なものは論外ですが、中には当人にはそのつもりがなくても詐欺に問われてしまうケースもあります。
それぞれ具体的にどのようなところが問題かについて、以下で詳しく見ていきます。
1.架空債権で買取依頼する
実在しない架空債権を作って、ファクタリング業者に売却を持ち掛けるのは詐欺です。
これは言わずもがなでしょう。
架空債権をつかまされないために、業者も実在するか書類を出すように求めます。
具体的には請求書や契約書など、根拠となる文書です。
しかし中には請求書や契約書を偽造して、あたかも実際に売掛債権があるように見せかけます。
ファクタリングには2社間と3社間の2タイプがあります。
3社間なら売掛先の同意を取り付けないといけないので、架空債権でだますのは難しいでしょう。
しかし2社間であれば、売掛先に通知せずに現金化できるのでこの手の詐欺が成立してしまいます。
2.二重譲渡状態にある
売掛債権が1つしかないにもかかわらず、複数のファクタリング業者に譲渡するのも詐欺に問われかねません。
二重譲渡で、2倍の資金を手にできます。
二重譲渡は法律でも明確に禁じられているので、二重譲渡で資金調達すれば、詐欺罪に問われかねません。
しかしこの方法は、債権譲渡したいずれかの業者で債権回収できなくなるので、いずれ露見する可能性は高いでしょう。
二重譲渡は、業者も十分懸念する事項です。
そこで債権の性質を慎重にチェックしたり、債権譲渡登記を利用法人に求めたりしてきます。
一方で利用する側も二重譲渡は詐欺行為であることを、しっかり認識しなければなりません。
3.不良債権で買取をお願いする
ファクタリングの買取対象は確定債権や将来債権と言って、今後確実に支払いの行われる債権のみです。
売掛先の経営状況が悪化している、破綻しているなどで債権回収できない不良債権は対象外です。
不良債権を引き取ってしまえば、業者が大きな損失をこうむりかねません。
もし売掛先が債務履行できない、近い将来破綻することをわかっていながら、不良債権を売却するのは不正利用です。
過去の事例を見ると、利用法人と取引先がグルになってファクタリング業者をだましたケースもあります。
3社間で売掛先が債権譲渡を承諾します。
そして業者が売掛債権を買い取ったところで、売掛先が計画的に倒産する手法です。
こちらも立派な詐欺行為になるので、注意してください。
ファクタリング詐欺で問われる罪とは?
もし不正な売掛債権でファクタリング業者からお金をだまし取ったと判断された場合、以下の罪にあたる可能性があります。
1.詐欺罪
2.私文書偽造罪
3.公文書偽造罪
それぞれ、どのような罪に当たるのかについて見ていきましょう。
詐欺を疑われ、無用なトラブルに巻き込まれないためにも理解しておくべきです。
1.詐欺罪
虚偽の事実で相手をだまし、金銭などを不正に取得する行為が詐欺罪です。
ありもしない架空債権を売却して、不正に資金調達した場合に該当する恐れがあります。
詐欺罪は10年以下の懲役に科される可能性があり、決して軽い罪ではないと思ってください。
2.私文書偽造罪
架空債権で買取依頼するためには、請求書や契約書などを偽造する必要があります。
これは私文書偽造罪に当たる行為です。
取引記録を偽造したり、売掛金に関する書類を改ざんすると罪に問われかねません。
私文書偽造罪は、3か月以上5年以下の懲役を科される可能性もあります。
3.公文書偽造罪
もし国や自治体と取引をしたとでっち上げて、ファクタリング詐欺した場合には公文書偽造罪に問われかねません。
というのも国や自治体との取引を証明するために、契約書や請求書を偽造する必要があるからです。
これらは公的機関が発行する文書なので、公文書偽造行為に当たるわけです。
公文書偽造罪は、1〜10年の懲役刑の科される可能性があります。
私文書偽造罪よりも罪は重いので、注意してください。
詐欺を疑われないためには通帳を用意しよう
ファクタリングで詐欺を疑われないようにするためには、確実に債権が実在することを立証することです。
そのためには通帳を用意しましょう。
なぜ審査で通帳が必要なのか、以下で詳しく見ていきます。
売掛金が実在するか確認できる
通帳を提出することで、売掛金が本当にあるかどうかの確認ができます。
確実に取引先とビジネスが行われているかチェックできますし、当該債権の入金記録の有無も確認可能です。
架空債権や二重譲渡のないことを立証できるので、信用力が増します。
債権の焦げ付きがないか確認できる
通帳で過去の入金状況を見れば、期日通りに債権回収が行えているか確認できます。
入金の滞納がなければ、債権を引き取っても現金回収ができなくなるような事態も回避できるわけです。
債権に関する書類として、基本契約書や請求書を提出する方法もあります。
しかし通帳を提出することで、取引の頻度や期間の肉付けができ、説得力が増します。
つまりこちらに詐欺する意図のないことが立証でき、審査通過しやすくなるわけです。
売掛先の信用力が確認できる
ファクタリングの審査とは、簡単に言えば引き取った債権が回収できるかどうか見極めるためです。
つまり売掛先が期日通りに支払いできるかの信用力を確認することが主な目的になります。
通帳を提出すれば、いついくら支払われているか、その履歴がわかります。
毎月取引があれば、月々の支払い実績と期日までに支払えているかどうか判断できるわけです。
先方が信用力十分であると判断されれば、詐欺と疑われることもありません。
また今後利用する際にもプラスに働く可能性があります。
再度申し込んだ時に「あああそこの債権なら大丈夫だろう」となって、スムーズに買い取ってもらえる可能性も出てくるからです。
通帳なしでの利用は可能?
通帳なしでファクタリングが利用できるか、これは難しいと考えてください。
できたとしても、さまざまなデメリットが考えられます。
まず審査の長引く可能性があります。
通帳がないと過去の取引実績がわかりませんし、期日通りに先方が支払ってくれるかも不透明です。
慎重にほかの書類で審査しなければならず、審査に時間がかかります。
ファクタリングは現金調達のスピーディなところが特色です。
このフットワークの軽さが発揮できないので、今すぐ現金が必要でも間に合わない恐れも出てきます。
また通帳以外の書類を多数用意することで、詐欺ではないことを立証しなければなりません。
書類の調達に手間取ると、ますます現金を手にできるのは先送りになるかもしれません。
請求書なしでもファクタリングは利用できる?
ファクタリングに申し込む際に請求書を提出するように求められる場合もあるでしょう。
ところが中には、請求書が手元にないという事例もあるかもしれません。
請求書なしでも申し込むことは可能ですし、詐欺を疑われることもないでしょう。
ただし利用する際に詐欺を疑われないためには、いくつか押さえておくべきポイントもあります。
以下で解説しますので、参考にしてください。
請求書を提出できない理由
申し込みの際に請求書を提出できないのは、なくしてしまった以外にもいくつか理由があります。
そもそも請求書を発行していない法人は、意外と多くあります。
たとえば長年お世話になっている取引先であれば、わざわざ文書に残さなくても大丈夫という信頼関係があるでしょう。
よって口約束だけで、ビジネスが成立してしまっている場合も珍しくありません。
また最近ではクラウドソーシングで外注しているところも多いでしょう。
この場合、発注して任意のタイミングでクラウドソーシング会社から振り込みをお願いされます。
それに応じて入金する仕組みだと、請求書の発行が不必要です。
請求書以外の書類で詐欺でないことを立証する
請求書がなかったとしてもビジネスのあったことや売掛債権を有していることは、ほかの書類で実証できるはずです。
できるだけ多く、取引に関する書類を準備して、たしかに債権が実在することを説得しましょう。
具体的には契約書や発注書、注文書などをできるだけ多く用意して、提出すると良いでしょう。
また先ほど紹介したように一定期間の通帳を提出すれば、安定した取引のあったことを立証できるので有効です。
請求書のない経緯を説明する
ファクタリングの手順では、面談を実施しているところも少なくありません。
法人代表者が来店して、いろいろと説明することになるでしょう。
請求書がない場合、なぜないのか、その経緯について説明しましょう。
請求書なしの契約なのか、事情を話してください。
先方も納得できるような理由が説明できれば、請求書なしでもサービス利用できる可能性も高まります。
ただし説明する際には、正直に事情を説明してください。
うそや経緯を隠して説明してつじつまが合わなかったり、後にうそがバレたりすると信用性が問われかねないからです。
ファクタリングの詐欺に関するまとめ
普通に取引していて発生した売掛金で申し込めば、まず詐欺を疑われることはないでしょう。
しかしファクタリング業者への売却を依頼する際に、何か意思疎通に齟齬が生じて詐欺を疑われる可能性はゼロではありません。
場合によっては懲役刑など、重たいペナルティを科される危険性もあり得ます。
お手持ちの債権が実在するもので、きちんと回収できるものであると先方に説得してください。
口だけでなく、通帳や請求書など用意できる書類はすべて準備して面談を受けると良いでしょう。