ファクタリングをおすすめする理由とは？市場動向や利用すべき業種について解説

資金調達方法の手法として、ファクタリングは日本でもかなり普及しているようです。
自らの売掛債権を譲渡することで、現金化する資金調達のアプローチです。

ファクタリングの市場規模は拡大傾向で、今後もその流れが続くと言われています。
そこでここではなぜファクタリングがおすすめなのかその理由やおすすめしたい業種について見ていきます。

ファクタリング市場の動向について紹介

まずはファクタリング市場の近年の傾向について紹介しましょう。
そうすれば、日本でも決して無視できない規模であることがおわかりでしょう。
一方でファクタリングはほかの資金調達手段と比較して、まだマイナーな存在であるのも事実です。
しかし見方を変えれば、知名度が低いのはまだ伸びしろがあるとも解釈できます。

日本では7.5兆円規模

融資の国際機関であるFCIの調査によると、2021年時点の日本のファクタリング利用額はトータル586億ユーロを超えています。
1ユーロ＝133円のレートで換算すると、およそ7兆5,000億円です。
これは2011年度における国が負担する人件費に相当する額です。
国家公務員と地方公務員すべての額なので、決して小さくないことがおわかりでしょう。

世界でも増加傾向

ファクタリングの利用額が大きくなっているのは、決して日本だけの話ではありません。
世界の主要各国の動向を見ても、増加傾向にあることがわかります。

たとえばアメリカでは2020年641億ユーロ余りだったのが、2021年には943億ユーロになりました。
つまりたった1年間で300億ユーロも市場規模が拡大しているわけです。

とくにファクタリングの市場規模で見ると、中国やオランダは先進国と言えます。
中国やオランダは日本の倍以上の市場規模を誇るほどです。

知名度はまだ低い

ファクタリングマーケットは拡大しているものの、法人一般に広く浸透しているかといえばそうでもありません。
金融庁が委託調査をしたデータによると、2021年度でファクタリングを理解していたのは全体の22.1％にとどまりました。

5社に1社程度しかその存在を認知していないとなると、ファクタリングはまだマイナーな存在といえるかもしれません。
ファクタリングの認知度が高まれば、ますますその需要も高まっていくのではないかとみられています。

ファクタリングはなぜおすすめ？その理由について調べてみた

なぜファクタリングの需要が高まりつつあるのか、それはサービスの性質上おすすめだからです。
なぜおすすめのサービスか、主な理由として以下のようなポイントが挙げられます。

1.スムーズな資金調達が期待できる
2.融資ではない
3.信用情報に影響を与えない
4.売掛金があれば利用可能
5.手形廃止の動き
6.債権譲渡特約が無効

なぜ上で挙げた理由がファクタリングをおすすめする根拠になるのか、以下で見ていきましょう。

1.スムーズな資金調達が期待できる

ファクタリングがおすすめの理由として、現金確保までの手続きがスピーディな点が挙げられます。
借入の場合、銀行融資だと下手すれば1か月以上かかってしまうこともざらにあります。
しかしファクタリングであれば、最短即日で現金化も可能です。

また審査のハードルが低いのも、おすすめの理由の一つです。
ファクタリングの審査通過率は平均すると70％前後と言われています。
日本政策金融公庫の審査通過率は60％前後です。
民間の銀行融資よりも通過率は高いと言われているので、資金調達手段の中では間口の広い方法と言えます。

2.融資ではない

おすすめの理由として無視できないのは、ファクタリングは債権譲渡であり借入ではない点です。
借金ではないので、後々返済義務もありません。

たとえば融資を金融機関にお願いして断られたような法人でも利用可能です。
また今後銀行から大口の融資を検討している場合も、ファクタリングがおすすめです。

銀行の審査の中で他社の借入状況は重視されます。
融資件数が多かったり、借入額が大きかったりすると審査は厳しくなるでしょう。
しかしファクタリングは融資ではありません。
利用しても借入額が増えるわけではなく、審査にマイナスの影響を及ぼさないのもおすすめの理由です。

3.信用情報に影響を与えない

先ほど紹介した借入ではなく、債権売却なので信用情報には一切関係ありません。
今後の借入申し込みの審査に影響を与えないのも、おすすめの理由です。

ただし業者のデータにはその情報が残る点もあわせて留意してください。
もし同じ系列の業者のサービスを利用する場合、審査にマイナスの影響を与える可能性はあります。

4.売掛金があれば利用可能

ファクタリングは売掛債権の買取サービスです。
つまり売掛債権を有していれば、基本的に誰でも利用できるのはおすすめと言えます。
もちろん審査はありますが、売掛債権が実在し、取引先が一定レベル以上の信用力があれば利用できます。

融資では審査に引っかかって否決された法人でも、こちらであれば利用できる可能性はまだあるわけです。
信用情報に滞納などマイナスの記録が残っていたり、税金滞納していたりする法人が、融資の審査を通過するのは難しいでしょう。
しかし彼らでも、ファクタリングであれば利用できるチャンスがあるわけで、おすすめの理由になります。

ただしファクタリングでも審査は実施されます。
売掛債権が架空だったり、売掛先の経営状態が悪化していたり不良債権化する恐れがあれば、審査で断られる可能性はあるので注意してください。

5.手形廃止の動き

日本の商取引における主流だった、手形が衰退しているのもファクタリングが台頭している理由の一つです。
手形はコストがかかりますし、紛失の恐れがあり、問題視されるようになりました。
さらに日本政府は2026年までに、紙の手形を廃止する方針を打ち出しました。

民間でも政府に右に倣えではありませんが、手形取引の見直しを進めつつあります。
手形の代わりに売掛金取引に変更する法人が多くなり、売掛債権を使ったファクタリングに注目が集まっているわけです。
手形取引からの移行が進めば、ファクタリングの需要も高まるでしょう。

6.債権譲渡特約が無効

債権譲渡が一昔前と比較して、自由度が高まっているのもおすすめの理由です。
これまで売掛債権には、譲渡禁止特約のついているものもありました。
文字通り、第三者へ債権譲渡できない特約のことで、これではファクタリングは利用できません。

しかし2020年に売掛債権に関わる法整備が行われました。
その中で「譲渡禁止特約の付いた債権の譲渡は可能」と明記されました。
つまり債権譲渡禁止の売掛債権を使って、ファクタリングサービス利用が可能になったわけです。

実際法整備後には、ファクタリングの利用額が増加したというデータもあるほどです。
債権譲渡のハードルが低くなったことで、ファクタリング利用の足かせもなくなりました。

ファクタリングがおすすめの業種とその理由について紹介

ファクタリングは業種関係なく、資金ショートを起こしそうなときにおすすめのサービスです。
しかしその中でも以下で紹介する業種であれば、ファクタリングをうまく活用するのがおすすめと言えます。

1.製造業
2.飲食業
3.建設業
4.運送業
5.サービス業

なぜ以上で紹介する業種がおすすめなのか、その理由について以下で詳しく紹介します。

1.製造業

製造業で資金繰りに苦しんでいる法人は多いようです。
その理由として、業界特有の構造が挙げられます。

まず製造業の世界では、掛け売りでビジネスしているところが多いと言われています。
しかも売掛金を回収するまで、2か月程度かかるのが相場です。

そして製造業の場合、仕入れコストもそれなりにかかります。
原材料費に人件費などがかかりますし、工場のランニングコストも月々発生します。
このため売上があっても売掛金が入金されるまでの間に、資金ショートを起こす危険性があります。

ファクタリングであれば、お手持ちの売掛金を売却して現金化が可能です。
早期に現金確保できるので、キャッシュフローの改善が見込めるのもおすすめの理由です。

2.飲食業

飲食業の場合、景気に左右されやすいところが見られます。
一過性のブームで一時的に売り上げ好調でも、それを維持できるかどうか疑問視されることもあるでしょう。
このため、銀行融資を受けにくいとされます。

しかも2020年に発生した新型コロナウイルスの世界的流行もありました。
自粛生活が求められ、軒並み飲食店は厳しい経営を強いられました。
飲食業者の4店に3店が新規借り入れを行ったというデータもあるくらいです。

このように景気状況によっては、借入できず資金繰りが厳しくなる可能性があります。
しかしファクタリングであれば、借入ではありません。
売掛債権を有し、取引先に信用力があれば、利用できる可能性も高まります。
とくに資金ショートを起こす危険性のある時には、重宝するサービスといえるでしょう。

3.建設業

建設業がおすすめの理由は、ほかの業種と比較して商習慣が独特だからです。
まず建設業の場合、一つのプロジェクトに複数の法人がかかわることは珍しくありません。
しかも元請と下請け、孫請けと何重の構造になりがちです。

さらに案件が流れる中で、中間マージンが抜かれます。
すると孫請けなど末端になると、利益率はどうしても低くなります。
資金繰りが厳しくなるので、ほかの方法で資金調達しなければなりません。

また建設業は元請が限られているので、一部のゼネコンに全面的に業務を頼らざるを得ない場合も少なくありません。
もしその元請がおかしくなれば、下請けも経営が厳しくなるわけです。

もし資金繰りが厳しくなったら、ファクタリングで債権譲渡することで当面の現金は確保できます。
建物を建設するにはそれなりの時間がかかり、建物完成してから代金支払いが行われることもざらです。
その間の資金繰りのために、ファクタリングを利用するのもおすすめの理由です。

4.運送業

運送業もファクタリング利用が望ましい業種と言えます。
おすすめの理由は、支出の内訳にあります。

運送業の中でも高いシェアを占めるのは人件費です。
ほかのコストに関しては、仕入れ量を調整するなどコストコントロールが可能です。
しかし人件費の場合、売上が悪いからといってそう簡単にコストカットできません。

また運送業では、トラックなどの車両は欠かせません。
車両を購入するとなると、トラックで中古でも1,000万円以上かかります。
このように出ていくお金が大きいので、資金ショートが懸念される業界です。

そこでファクタリングをうまく活用しましょう。
売掛債権を売却して、前倒しで現金化し、必要経費の支払いに充てるわけです。
負債を増やさずに必要な現金を確保できるのが、おすすめの理由です。

5.サービス業

飲食店同様、サービス業も景気の影響を受けやすい業種と言われています。
宿泊業はじめ、コロナ禍の際には大きなダメージを受けました。

2024年現在コロナ禍は収束傾向で、元の生活に戻りつつあります。
しかし自粛生活に慣れてしまったので、個人消費がコロナ前まで戻るかどうかは不透明です。
その結果、サービス業は、今後厳しい運営を強いられるかもしれません。

コロナ禍で借入を進め、新規融資が厳しければ、ファクタリングを利用するのも一考です。
無担保・無保証で利用できますし、最短即日現金化も可能でフレキシブルな資金調達ができるのはおすすめの理由です。

ファクタリングのおすすめの理由に関するまとめ

これからの時代、借金ではなく売掛債権を売却することで資金調達するファクタリングはおすすめの方法です。
スピーディに現金化できますし、融資を断られた法人でも利用できるのがおすすめの理由です。
また手形が衰退している現状、それに代わる手段になりうるのもおすすめの理由となるでしょう。

とくにファクタリングを活用するのがおすすめな業種はいくつかあります。
こちらで理由も紹介しましたので、あてはまる法人代表者がいれば、導入を検討してみてください。