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ファクタリングの2社間と3社間の違いとは?2社間の違法性も解説

2024年6月12日

売り掛けの現金化を前倒しにするファクタリングは、法人代表者の間でも注目の的です。
何といっても借金ではないので、後で返済する必要がない点は魅力です。
融資を受けて、返済資金の確保で今度は四苦八苦するケースも少なくありません。

需要や注目度の高まりを受けて、さまざまな業者がファクタリングを提供していて、商品は多岐にわたります。
系統分けの手法はいろいろありますが、中でも代表的なのは2社間と3社間です。
両者の違いは、プラットフォームの構造そのものです。

ここでは2社間と3社間の違いについて見ていきます。
また2社間について言及したサイトを見るとしばしば、違法性が指摘されます。
インターネットで検索してみると「2社間は違法性あり?」といったトピックスも見受けられます。
2社間を利用して問題ないのかについても、あわせてこちらで紹介しましょう。

2社間と3社間の違いとは?ファクタリングの基本を解説

ファクタリングは2社間と3社間に分類できるのは冒頭に紹介しました。
それぞれどのような商品なのか、どこに違いがあるかについてまずは正しく理解してください。

2社間の構造

2社間とは、利用法人と業者との契約になります。
本来であれば取引先の売り掛けを回収するのは、利用法人です。
ところが業者がその債権を直接買取することで、本来数カ月先の回収を前倒しにできるわけです。

2社間だと、売り掛け先は取引にかかわってきません。
よってスキームの利用が売り掛け先に伝わることは、基本的にないと思ってください。

2社間では、通常通り利用法人が売り掛けを回収します。
そして業者に支払う形で回収する手順です。

3社間の構造

3社間のプラットフォームはさらに、売り掛け先も加わるスキームです。
ファクタリングに伴う債権譲渡を売り掛け先に知らせ、承諾を得る必要があります。
業者が売り掛け先から債権を直接回収する形になるためです。

業者としてみれば、利用法人を間に入れずに直接売り掛けを回収する形になります。
2社間と比較すると売り掛け回収が不可になって、損害を被る危険性も低くなるわけです。

2社間と3社間の違いは構造上数ポイントある

2社間及び3社間の基本的なプラットフォームについて簡単に見てきました
では具体的にこの両者に、どのような違いがあるのでしょうか?
主な違いとして、以下のようなポイントが考えられます。

1.取引先への承諾
2.債権譲渡登記するか
3.手数料の相場
4.審査スピード

それぞれどのような違いがあるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

1.取引先への承諾

2社間は利用法人と業者のみの契約スキームです。
よって取引先にファクタリングの申し込みについて知らせる必要はありません。

一方3社間は業者が直接売り掛けを取引先から回収するプラットフォームです。
よってどうしても前もって、取引先に通告する必要があります。
取引先に債権譲渡の旨を伝え、業者に売り掛けを支払うように求め内諾を得る必要のあるのが2社間との違いです。

これが法人の中にはネックに感じるケースも多いでしょう。
取引先に伝えると、ネガティブな印象を抱かれる恐れがあるからです。

経営者の中には、ファクタリングを使用することに抵抗感を抱く人もいるかもしれません。
「お金に困っているのではないか?」と思われるからです。
お金に困っているのであれば、納品しても売り上げを支払えないのではないかと思われてもおかしくありません。

ならば取引を縮小したり、入金されるまで納品をストップしたりする恐れも出てきます。
最悪、取引が白紙に戻されることもあるかもしれません。
相手の理解が期待できなければ、2社間を選択するのも一つの活路です。

2.債権譲渡登記するか

3社間では、取引先に債権譲渡の同意を得る必要があります。
よって業者としてみれば、自分が正当な債権者であることを主張でき、それも通ります。

一方2社間だと、売り掛け先に知らせることなく債権譲渡が実施されるのは大きな違いです。
取引先の関知しないところで債権が業者にわたってしまうので、自分が債権者である旨主張できません。

2社間では、従来の取引通り利用法人がまず売り掛けを回収します。
そのうえで、業者に回収した売り掛けを支払います。

ただ利用法人が別の用途に回収したお金を使ってしまうかもしれません。
また持ち逃げしてしまう恐れもあるので、業者は大きな損失を被るリスクがあります。
そこで2社間だと、債権譲渡登記を行うのが3社間との違いです。

債権譲渡登記を行っても、取引先に対して自分が債権者であると主張する要件にはならないかもしれません。
しかし第三者が権利を主張した場合の対抗要件には充分なり得ます。

3.手数料の相場

ファクタリングは額面通り債権を現金化できるプラットフォームではありません。
それでは業者にとって、利益がなく経営そのものが立ち行きません。
そこで一定の手数料を差し引いて、債権を買い取ります。

手数料の相場も、2社間と3社間における大きな違いです。
2社間は8~18%が相場である一方、3社間は2~9%程度が相場です。
なぜこれほどまでに大きな違いがあるのか、それは業者にとってのリスク度合いによる違いと考えましょう。

3社間だと、債権譲渡したことが売り掛け先に伝わるので業者は自分こそが正当な債権者であると主張できます。
また直接債権回収できるので、損失を被るリスクは低くなります。

ところが2社間では、売り掛け先に知られることなく債権譲渡が行われるので、その正当性を主張できません。
また利用法人が回収した売り掛けを業者に支払わない可能性もあるので、リスキーな取引になりがちです。

さらに別項で紹介したとおり、2社間だと債権譲渡登記を求められる可能性があります。
登記手続きをする際には司法書士への報酬や登録免許税などが発生します。
これらのコストは基本利用法人の負担になり、その分も手数料に反映されるので高くなるわけです。

4.審査スピード

審査スピードも2社間と3社間の大きな違いの一つです。
基本的に2社間のほうが現金化できるまでの期間は短めになります。

というのも2社間だと、3社間のように取引先に債権譲渡の同意を得る必要がないからです。
この作業を省けるので、より早く資金調達できるわけです。

2社間の中にはオンライン完結型のプラットフォームも出てきています。
文字通り、すべてWebの中で完了してしまうので来店せずにその場でスマホやパソコンを使って手続きを進められます。
よって中には最短即日買取にも対応している業者も見られるほどです。

ただし2社間では、債権譲渡登記を求められるケースもあります。
登記手続きが必要な場合、地方の法人は手間取る可能性があることは了承してください。
受け付けている登記所は東京法務局のみだからです。

2社間は違法性があって問題の取引?

2社間と3社間の違いとして、違法性の問題が挙げられます。
2社間は違法性があるかもしれないと指摘されることも、決して少なくありません。
一方3社間に関するコンテンツで、違法性について触れたものはまずありません。

そこでここでは2社間に違法性などの問題があるかについて見ていきます。
結論から言えば、従来の2社間のプラットフォームなら違法性に問われることはまずないと思ってください。

民法に規定されている債権譲渡

ファクタリングは利用法人から債権譲渡を受けて、売り掛けを回収するスキームのことです。
そして債権の譲り渡しは、民法の中でも認められていることです。
民法の中では債権譲渡に関するルールも明記されていて、その規定に従って取引されている分には問題ありません。

貸付との違い

このプラットフォームは、銀行法や貸金業法などの法律の対象外です。
なぜならこのスキームは貸付ではないからです。

2社間だと、万が一取引先が経営破綻したとしても買い取った債権を買い戻すような特約はありません。
返還約束が存在しないのは、貸付との大きなスキーム上の違いです。

また法人向けの2社間は、原則売り掛け債権を譲渡対象にした取引です。
給料のように本人に直接支払うべき資金を債権にしていません。
給料ファクタリングになると、貸付金と見なされます。
しかし給与を使ったスキームになっていない限り、2社間が違法性に問われることはないと思ってください。

国でも推奨している資金調達手段

ファクタリングは中小企業の資金調達方法として、国でも推奨しているのも違法性はない根拠の一つです。
法律に抵触するようなものを国が積極的に推奨するわけがないからです。

過去には経済産業調の中小企業庁のホームページでも、売り掛けの利用促進を呼びかけていました。
さらに平成29年に民法が改正されました。

これまで譲渡制限特約の付いた債権を譲受人である業者がわかったうえで譲り受けると、譲渡行為そのものが無効になります。
しかし今回の改正で、譲渡そのものが有効となると規定が変わりました。
しかも将来発生するであろう売り掛けに関しても、譲渡が可能になると明記されています。

このように国では、債権の流動化を推進しています。
こうすることで、中小企業がより多岐にわたる資金調達を可能にして、キャッシュフローの改善を目指しているのです。

偽装行為には注意が必要

2社間そのものは、これまで見てきたとおり、スキーム上違法性はないというのが一般的な見方です。
ただし東京弁護士会で先に「偽装業者に対する適正な規制を求める」意見書を提出しました。
つまり業者の営業スキームによっては、違法性の問われる可能性が出てきました。

東京弁護士会では、以下の3つの要件に抵触する取引は貸付に該当すると指摘しています。
まずはリコース条項の盛り込まれた売り掛けの譲受です。
つまり取引先が経営破綻するなどで、回収がデフォルトになった場合利用法人がその肩代わりをする行為です。
これでは売り掛けを担保にした実質的な融資にあたってしまいます。

2つ目は債務者への通知や承諾の必要のない取引です。
これは2社間のスキームにあたってしまうので注意が必要です。

3つ目として、回収委託契約がある場合としています。
つまり業者から売り掛けの回収の委託を受けて、利用法人が回収し、業者に支払うプラットフォームです。
こちらも2社間のスキームに抵触するかもしれません。

ただし東京弁護士会では、買取ではなく実質的に手数料が高く、高金利で貸し付けている場合には違法性を問うべきであるとしています。
よって業者に対して払い戻しの発生しない契約であれば、2社間でも違法性に問われることはないでしょう。
つまりこの東京弁護士会の提言が受け入れられたとしても、まっとうな2社間スキームであれば違法性はないと考えてよいでしょう。

2社間と3社間ファクタリングの違いに関するまとめ

ここでは2社間と3社間のスキームに関する違いについて見てきました。
両者は基本的なプラットフォームが異なりますし、商品のスペックも違ってきます。
ケースバイケースで使い分けると良いでしょう。

また2社間は違法なプラットフォームではないかという指摘もあります。
しかしここで紹介したように、従来のスキームであれば一切問題はありません。
国でも中小企業の資金調達手段として、利用を推奨しているほどです。

しかし一部ファクタリングを装った実質的な貸付行為になっている悪徳業者も見られます。
このような偽装業者に騙されると、高利で債務を背負いかねないので気を付けてください。

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