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ファクタリングって怪しくないの?ファクタリングの「安全性」について法的根拠をもとに解説します
2024年1月16日
最近では、中小企業や個人事業主の方を中心に「ファクタリング」と呼ばれる新しい資金調達手段が流行しています。
ですが、融資などと比較すると、ファクタリングの日本での歴史は浅いため、ファクタリングの安全性を疑う人も多いと聞きます。
「新しい資金調達手段?何だか怪しい・・・」
「売掛債権を売却って法的に問題ないの?」
こんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、ファクタリングの安全性について多角的な視点から解説していきます。
目次
ファクタリングが怪しいと噂される理由
「ファクタリングって怪しい」と評価されてしまう理由はいったいどこにあるのでしょうか。
ファクタリングとは、所有している売掛債権を支払期日よりも前にファクタリング会社に売却することで、売掛債権額面から手数料を差し引いた金額を早期現金化できるサービスです。
ファクタリングの魅力はその「現金化速度」です。
最短即日での入金も実現することができる、緊急性の高い資金不足などに対応できる資金調達手段です。
ファクタリングが流行しはじめてはいますが、一方で怪しいと噂されているのも現状です。
ファクタリングが怪しいといわれる理由を3つご紹介します。
①給与ファクタリングの存在
まず、給与ファクタリングの存在があると考えられます。
給与ファクタリングとは、給料日前であっても給与明細を買い取ってもらうことで早期に現金化することのできるサービスです。
給与ファクタリングについて、金融庁の見解では、「ファクタリングを装った貸金業に該当する」と表記されています。
つまり、給与ファクタリングは貸金業登録を受けていない業者が提供している場合はすべて違法なのです。
多くのファクタリング会社は貸金業登録を受けていないため、給与ファクタリングの提供をしているファクタリング会社は怪しいととらえることが出来ます。
実際に給与ファクタリングに関係する裁判も行われており、違法であることが世間に知られています。
このような事例があることから、ファクタリングに対して違和感を抱く原因の1つに給与ファクタリングの存在があるといえます。
②悪質な業者が多い
ファクタリング業界は現在、急成長を遂げている市場です。
そのため、新規参入が受け入れられやすい状態であり、また開業にあたっての貸金業登録や専門的な免許などが必要ないため、悪質な業者も紛れ込みやすいのです。
実際に悪質ファクタリング会社による被害はこれまで何件も発生していますので、こういった事実もファクタリングが怪しいと思われてしまう理由なのでしょう。
安全なファクタリング会社の見分け方について詳しくは後述させていただきます。
③宣伝効果
ファクタリングが怪しいと噂されるのは、大々的な広告の効果もあるのではないでしょうか。
「ファクタリング」と1つ検索すると、いくつもの検索結果に引っ掛かります。
また、「借金」「即日入金」といったお金に困っている人が検索するようなワードにもヒットするようになっています。
ファクタリングのネット広告は存在感が大きく、目につく人も多いと思います。
あえて「安心安全」「スピーディな取引」などを誇張している広告をみると、逆に怪しいと感じてしまう可能性もありますよね。
このような「逆に」の効果が働いているために、ファクタリングに対して不安要素が募っている場合も考えられます。
ファクタリングは“合法”
なかにはファクタリングが合法であるのか、不安に思っている方もいらっしゃるかと思います。
銀行融資であれば、銀行法や利息制限法といった法律によって消費者を守る体制が整っています。対して、ファクタリングについて明記された法律などはありません。間接的には”合法”として判断することが出来ます。
ファクタリングの安全性を示す法律
ここからは、ファクタリングを合法と判断できる法律を2つご紹介します。
民法466条「債権の譲渡性」
ファクタリングは、一般的に”債権の売却”のイメージがありますが、厳密にいうと、”債権の譲渡取引”に該当します。
民法446条「債権の譲渡性」によれば、原則、債権は自由に譲渡可能であると示されており、契約者間で結んだ債権譲渡を制約する約束があった場合でも、行使できるとされています。
債権譲渡とは、つまり、債務者が第三者に所有している債権を譲渡し、債権者は債務者ではなく譲渡先に対してお金を請求することです。
ファクタリングはこれに該当しており、法的根拠を持ち合わせています。
民法555条「売買」
ファクタリングは民法555条「売買」の観点からも守られています。
民法555条「売買」とは、当事者の一方が財産権を相手方に移転することを約束し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約束することによって、効力を生ずるというものです。
この民法に則ると、ファクタリング会社と利用者が正しく契約を介し、債権を譲渡(売却)し、代金を受け取ることは法的に認められます。
ファクタリングは「下請法」によっても守られている
ファクタリングは「下請法」と呼ばれる法律によっても守られています。
下請法とは、親会社とその下請け会社が健全な関係を保つために制定された法律です。
下請け業者の利益を守ることを目的としており、この法律があることによって、下請け業者がファクタリングを利用したことが要因で親会社が下請け会社に対して不利益を与えた場合であっても、この法律によって守られます。
ですが、この下請法の適用の可否は、親会社と下請け会社の資本金額などの規定された基準を満たす必要がありますので、詳しい条件が知りたい方は公正取引委員会などのホームページを確認してみましょう。
ファクタリングの法的根拠を理解していただけたでしょうか。
明確なファクタリング法といったような法律は存在しませんが、民法などによって間接的に守られているのがファクタリングです。
ファクタリングに対して不安を抱いてしまう気持ちもわかりますが、実際は法律によって保護された安全な資金調達手段なのです。
安全なファクタリング会社を見分ける方法
では、次に安全なファクタリング会社を見分ける方法を解説させていただきます。
今回は4つのポイントをご紹介しますので、安全なファクタリング会社を選ぶ際の参考にしてください。
①手数料が安めに設定されている
ファクタリング会社において、手数料が安めに設定されている場合は安全な可能性が高いです。
悪質な業者は割高な手数料を提示し、ほかの条件を緩く設定している場合がほとんどです。
手数料が相場と一致しているファクタリング会社であれば、安心して利用を検討してみても大丈夫でしょう。
2社間ファクタリング・・・10~30%
3社間ファクタリング・・・1~9%
この相場を覚えておきましょう。
逆に手数料が安すぎる場合も気を付けた方がいいかもしれません。償還請求権があるリコース契約である場合など、詐欺につながる可能性が考えられます。
安心なファクタリング会社を選ぶうえでは、ファクタリング手数料の相場に見合った安い手数料を提示しているファクタリング会社を探しましょう。
②取引実績がある
利用を検討するファクタリング会社の取引実績は確認しておきましょう。
安全なファクタリング会社であれば公式ホームページなどに具体的な手数料率、買取実績や利用者からの口コミを明示している場合があります。
大手であることや、審査通過率などを具体的に開示しているファクタリング会社であれば安全な可能性が高いです。
確認できるようであれば、利用を検討するファクタリング会社の取引実績やクライアントを見ておきましょう。
③情報開示をしている
ファクタリング会社によっては情報開示が曖昧な会社も存在します。
安全なファクタリングであれば、公式ホームページに基本的な情報はすべて開示してあります。
会社の所在地や代表者氏名、電話番号、資本金などはもちろん、法人であれば、国税庁のホームページを活用すれば法人番号なども確認できます。
つまり、法人以外の個人事業主が運営しているファクタリング会社は安全性が低いと捉えることが出来ます。
自社についての情報を開示していればしているほど、その会社の安全性は高くなります。
④償還請求権の有無
ファクタリングの契約において、償還請求権の有無をしっかりと確認しましょう。
償還請求権があるリコース契約を求めてくる会社は、基本的に悪質な業者でしょう。
償還請求権とは、仮に取引先が倒産などにより貸し倒れた場合の損失を負担しなければならない権利です。
ファクタリングにおけるリコース契約であれば、売掛先が倒産した場合、その貸し倒れた債権の負担をファクタリング会社ではなく、利用者が負担しなければなりません。
リコース契約を結ぶためには、貸金業者としての登録を受けたうえで、利息制限法に則った手数料を設定している必要があります。
ファクタリング会社の多くが貸金業者としての登録を受けていない一般的な法人です。
つまり、償還請求権を求めることはできず、基本的には償還請求権がないノンリコース契約のみしか取り扱うことが出来ません。
悪質な業者の中には、償還請求権がある代わりに格安な手数料で債権を買い取る手口を使うこともありますが、貸金業登録していない場合にそのような取引を行う会社は犯罪組織に値します。
会社を選ぶうえでは、償還請求権の有無をしっかりと確認しておきましょう。
⑤口コミの確認
ファクタリング会社の口コミを確認しましょう。
ファクタリング会社の口コミの件数は飲食店や美容院と比べるとそこまで多くはないですが、0ではありません。
実際にファクタリング会社を利用した人の声を拾うようにしましょう。
ですが、ネット上にはサクラと呼ばれる偽物の口コミを投稿する人がいます。
サクラの口コミを避けるようにし、Twitter(現 X)やFacebook、Googleなどの口コミ機能を確認しましょう。
大手のファクタリング会社であれば、基本的には口コミがありますので、利用を検討する場合には手間ではあるものの見ておく価値はあります。
口コミを確認することで、悪質な業者を事前に避けることにも繋がります。
以上がファクタリング会社を安全に選ぶためのポイントでした。
あらゆる観点からファクタリング会社を評価できることが分かって頂けたかと思います。
金融庁もファクタリングに関する悪質業者に気を付けるようにと注意喚起をおこなっています。
・高額費用を請求
・違法貸付(貸金業に値する)
・給与ファクタリング
これらは金融庁が提示する危ないファクタリング会社の特徴です。
政府の情報なども参考に、安全なファクタリング会社を選んでいきましょう。
では、最後にファクタリングを安全に利用するために、ファクタリング会社選び以外に気を付けるべきポイントをいくつかご紹介させていただきます。
ファクタリングを安全に利用するために気を付けるべきこと
ファクタリングを安全に利用するためには、会社選びがもちろん大切ですが、それ以外にも要点をおさえておくことで、より安心・安全にファクタリングによる資金調達をすることができます。
・ファクタリング自体の評判を知る
・長期間の資金調達手段には不向き
これらについて詳しく解説させていただきます。
①ファクタリング自体の評判を知る
実際のファクタリングについての評判についても知っておきましょう。
「入金が早い手軽な資金調達手段」という認識だけでは、ファクタリングを安全に利用するためには情報が足りません。
実際のファクタリングのいい評判も悪い評判も把握しておくことが安全にファクタリングを利用することにつながるでしょう。
<ファクタリングのいい評判>
・即日入金された
・審査が緩い
・オンライン上ですべて完結する
・信用情報が関係ない
<ファクタリングの悪い評判>
・手数料の負担が大きい
・悪質業者が多い
ファクタリングももちろん、メリットだけではなく、デメリットも存在します。
これらをまとめて理解して利用するからこそ、安全に利用することができるでしょう。
②長期間の資金調達手段には不向き
ファクタリングは長期間の資金調達には不向きであることをしっかりと肝に銘じておきましょう。
この手軽さゆえに、継続的に利用をしていきたい気持ちはわかりますが、ファクタリングの手数料は、一般的な銀行融資などと比較すると非常に割高です。
銀行融資であれば、年利数%で資金調達できるところを、ファクタリングであれば、年利に換算すると100%を優に超えることがほとんどです(2社間ファクタリングの場合)。
ですが、ファクタリングを利用することで、負債に計上されず、現金の増加として経理上は処理されます。そのため、貸借対照表の対外的評価を高めることにつながります。
また、ファクタリングを利用することで、銀行融資などの審査の際に提出する会社の経営状況を示す書類の評価を上げることにつながり、結果、以後の融資審査に通りやすくなる可能性があります。
このようにファクタリングは、資金調達以外にもメリットがある反面、長期的な利用には向きません。長期間利用することは結局、自社の経営状況を悪化させるかもしれません。
安全にファクタリング会社を利用したい場合は、短期間、一時的なシーンでの利用をオススメします。
ファクタリングが安全であるかのまとめ
ここまででファクタリングの安全性について解説させていただきました。
本日の記事をまとめますと以下の通りです。
●ファクタリングが怪しいと噂される理由
①給与ファクタリングの存在
②悪質な業者が多い
③宣伝効果
●ファクタリングの安全性を示す法律
・民法466条「債権の譲渡性」
・民法555条「売買」
・「下請法」
●安全なファクタリング会社を見分ける方法
①手数料が安めに設定されている
②取引実績がある
③情報開示をしている
④償還請求権の有無
⑤口コミの確認
●ファクタリングを安全に利用するために気を付けるべきこと
①ファクタリング自体の評判を知る
②長期間の資金調達手段には不向き
ファクタリングの安全性についてお分かり頂けたでしょうか。
“新しい資金調達手段”と聞くと、身構えてしまう気持ちはわかります。
ですが、ファクタリングは政府も推奨している法的にも守られた資金調達の方法なのです。
その中に悪質な業者が紛れ込んでいることも事実ですので、今回の記事でご紹介させていただいた安全な会社を見分ける方法を参考にしていただき、安全なファクタリング会社を見つけることが出来たら幸いです。
自分が安心して安全なファクタリング会社を利用するためには、まずは自分が知識を養うことも大切になるでしょう。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。