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ファクタリングの会計処理|勘定科目や仕訳、注意点をファクタリングの仕組みからわかりやすく解説!

2023年2月9日

ファクタリングは売掛債権の譲渡・買取サービスであり、支払期日よりも前に売掛債権を早期現金化することができます。
まだ歴史の浅いサービスですが、赤字決算や債務超過があっても利用可能という利用ハードルの低さから、中小企業の資金調達手段として需要が高まってきています。
企業が金銭取引をした際、会計処理は必ず行わなければなりません。
ファクタリングにおいても利用時には会計処理が必要ですが、多数の当事者がいるため混乱する方も多いでしょう。
しかし、ファクタリングの会計処理は、ファクタリングの仕組みを理解していれば、さほど難しいものでもありません。
この記事では、ファクタリングの仕組みを基に、ファクタリング利用時の勘定科目や仕訳方法、注意点を解説します。
この記事を読むことで、ファクタリングの会計処理に悩むことがなくなりますので、ぜひ最後までお読みください。

ファクタリングの仕訳と勘定科目

ファクタリングを利用する際に発生する費用に関して、仕訳のために必要な勘定科目の解説をします。
一般的にファクタリングで発生するのは手数料のみであり、消費税は発生しません。
以下に、会計処理におけるファクタリングの手数料の扱いと、消費税が発生しないことの詳細を解説しましょう。

ファクタリングの手数料は経費になる

ファクタリングを利用する際に発生する手数料は「売掛債権売却損」として計上します。
これは、ファクタリングを利用しない場合と比べて、手数料分「損が発生した」という扱いであり、経費として扱われるもの。
手数料を経費として会計処理できるため、その分だけ法人税を減らすことができます。
会計ソフトによっては、売掛債権売却損の勘定科目がない場合もあるでしょう。
その場合は、割引料や雑損失、支払手数料を使用しても問題ありません。
ただし、売掛債権売却損の勘定科目があるにも関わらず、使用していない場合は、税務署から指摘を受けることがあります。
そのため、可能であれば売掛債権売却損の勘定科目で会計処理するようにしましょう。

また、融資等で借り入れた資金は「借入金」として計上し、負債が増えるだけで損金は増えません。
ファクタリングは売掛債権の売買契約であるため、負債も増えない上に、手数料を損金として会計処理できるため、無駄が少ない資金調達手段と言えます。

ファクタリングは非課税取引

通常取引で生じた売掛債権(売上)には、消費税が発生します。
一方、ファクタリングで売掛債権を譲渡・売却することは「金銭債権などの譲渡」にあたり、これは非課税取引であるため、消費税は発生しません。
つまり、ファクタリング手数料や、売掛債権売却によって受け取った現金には、消費税はかからないのです。

稀に、ファクタリング手数料や買取額に消費税を課税して、支払いを求められることがあります。
これは、利用者の知識不足を狙って、不要な支払いをさせる悪質業者になります。
契約時には消費税が発生していないか含め、契約書の内容を確認するようにしましょう。

ファクタリングを利用しない場合の会計処理

ファクタリングを利用しない場合、つまり通常取引の場合の金銭の動きは以下の通り。

  1. 売掛債権発生(商品やサービスの提供後、代金を受け取る権利が発生)
  2. 売掛先からの入金(実際に代金の支払いを受ける)

上記の2回で金銭の動きが発生するため、仕訳も2回必要になります。

通常取引の会計処理では、売上が出た段階(売掛債権が発生した段階)で、現金ではなく「売掛金」の勘定科目で処理をする必要があります。
売掛金100万円の取引を行った場合の仕訳は、以下の通り。

売掛債権発生時【借方:売掛金100万円】【貸方;売上100万円】
売掛金入金時【借方:普通預金100万円】【貸方:売掛金】

2社間ファクタリングの会計処理

2社間ファクタリングは、利用会社とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶため、売掛先が関与しません。
そのため、以下のように金銭の動きが複雑となります。

  1. 売掛債権発生(商品やサービスの提供後、代金を受け取る権利が発生)
  2. ファクタリング契約(債権の譲渡・売却の契約を結ぶ)
  3. ファクタリング会社からの買取金入金時(買取額の入金)
  4. 売掛先からの入金(本来の支払日に売掛先から代金が支払われる)
  5. ファクタリング会社への支払(回収した売掛金をファクタリング会社へ支払う)

上記のように金銭のやり取りの回数が多く発生し、その一つ一つで会計処理における仕訳も必要になります。
売掛金100万円を、手数料10%の2社間ファクタリングを利用して早期現金化した場合、仕訳は以下の通り。

売掛金発生時【借方:売掛金100万円】【貸方:売上100万円】
ファクタリング契約時【借方:未収入金100万円】【貸方:売掛金100万円】
買取金入金時【借方:普通預金90万円、売掛債権売却損10万円】【貸方:未収入金100万円】
売掛金入金時【借方:普通預金100万円】【貸方:預り金100万円】
ファクタリング会社への支払時【借方:預り金100万円】【貸方:普通預金100万円】

※2社間ファクタリングで、ファクタリング契約と買取金の入金が同日になる「即日ファクタリング」の場合は、「未収入金」は発生せず、②と③の工程をまとめることができます。
その場合、【借方:普通預金90万円、売掛債権売却損10万円】【貸方:売掛金100万円】となります。

債権譲渡登記がない場合の会計処理は注意

2社間ファクタリングは、債権譲渡登記をする場合としない場合があります。
債権譲渡登記とは、売掛債権をファクタリング会社へ譲渡したことを公的に示すものであり、債権譲渡の事実を証明するためのもの。
登記簿は法務局で一般開示されているため、2社間ファクタリングでも、売掛先が登記簿を見た場合にはファクタリングの利用を知られる可能性があります。
そのリスクを回避するために、債権譲渡登記に留保するファクタリング会社も多いです。

債権譲渡登記のない契約を結んだ場合は、会計処理に注意が必要。
債権譲渡登記のない契約の場合、債権を譲渡した証明ができないため、ファクタリング契約時の仕訳は不要となります。
また、ファクタリング会社からの買取金入金時の勘定項目は、未収入金ではなく「短期借入金」となるため注意しましょう。

具体的な仕訳方法と変更点は以下の通り。
ファクタリング契約時:仕訳が不要
買取金入金時【借方:普通預金100万円、売掛金売却損10万円】【貸方:短期借入金100万円】
売掛金入金時:変わりなし
ファクタリング会社への支払時【借方:短期借入金100万円】【貸方:普通預金100万円】
このように、債権譲渡登記のない契約の場合の会計処理は、買取金入金時と、ファクタリング会社への支払時の勘定科目が「短期借入金」となります。

3社間ファクタリングの会計処理

3社間ファクタリングは、利用会社とファクタリング会社と売掛先の3社間で契約を結びます。
売掛金の入金は売掛先からファクタリング会社へ直接行われるため、以下のように金銭の動きが少なく、会計処理の仕訳回数も少なく済みます。

  1. 売掛債権発生(商品やサービスの提供後、代金を受け取る権利が発生)
  2. ファクタリング契約(債権の譲渡・売却の契約を結ぶ)
  3. ファクタリング会社からの買取金入金(買取額の入金)
  4. 売掛先からファクタリング会社へ売掛金が入金される(※利用会社の関与なし)

上記のように利用会社が関与する金銭の動きは3回であるため、仕訳も3回となります。

売掛金100万円を、手数料5%の3社間ファクタリングを利用して、早期現金化した場合の仕訳は以下の通り。

売掛金発生時【借方:売掛金100万円】【貸方:売上100万円】
ファクタリング契約時【借方:未収入金100万円】【貸方:売掛金100万円】
買取金入金時【借方:普通預金95万円、売掛債権売却損5万円】【貸方:未収入金100万円】
これ以降は、ファクタリング会社と売掛先との間で取引が行われるため、会計処理は不要です。

保証ファクタリングの会計処理

保証ファクタリングとは、ファクタリング会社へ保証料を支払うことで、売掛先の倒産等により売掛金の回収ができなくなった場合に、ファクタリング会社が代わりに保険金として支払いをしてくれるサービス。
つまり、売掛金未回収リスクに対する保険のようなものです。

保証ファクタリングの場合、以下の時点で金銭の動きが生じます。

  1. 売掛金の未回収確定時
  2. 保険金の入金時

保証ファクタリングの場合、ファクタリング契約の時点では仕訳は不要であり、上記の2場面で仕訳を行います。

売掛金100万円の回収が不能となり、保証ファクタリングで保険金を受け取った場合の会計処理は以下の通り。
売掛金の未回収確定時【借方:貸倒損失100万円】【貸方:売掛債権100万円】
保険金の入金時【借方:現金預金100万円】【貸方:雑収入100万円】

ファクタリングの会計処理の注意点

ファクタリングで会計処理を行う際には、注意する点がいくつかあります。
ファクタリングの会計処理における注意点を、以下に紹介します。

現金入金までに会計期間をまたぐ場合は税金の支払いが必要

ファクタリングを利用して資金調達をする場合、原則消費税は発生しません。
ただし、現金入金までに会計期間をまたいだ場合は税金の支払いが必要となります。
年末にファクタリング契約を結び、年明け後に買取額の入金がされた場合など、決算期末をまたぐ場合には、売上に対して税金が課されます。
まだ入金されていない売上金額をもとに計算した法人税や消費税を支払わなければならないため、注意が必要です。

帳簿の作成は発生主義で行う

会社経営における会計処理には、発生主義と現金主義の2通りの方法があり、どちらで帳簿の作成をしても特に問題はないとされています。
発生主義とは、実際に入金がなくても売上が発生したタイミングで会計処理を行う会計処理の方法を指します。
対し、現金主義とは、現金が入った段階で会計処理を行うというもの。
ファクタリングは、売上が発生してから実際に現金が入金されるまでの間に、様々な仕訳を行う必要があり、これは発生主義による方法で会計処理が行われます。
つまり、ファクタリングを利用する際は、発生主義で会計処理を行う必要があるのです。
確定申告を行う際に作成する帳簿は、原則発生主義で作成することとされているため、基本的には発生主義で作成するのがベターでしょう。

ファクタリングの会計処理まとめ

この記事では、ファクタリング利用時の会計処理に関して、ファクタリングの仕組みから仕訳方法の解説をしました。
ファクタリングは融資等の借入や通常取引と異なる仕訳をするため、ファクタリングの会計処理の方法に悩む方も多いです。
しかし、ファクタリングの会計処理は、仕組みに応じて仕訳をすれば、難しいことはありません。
ファクタリング契約をした場合、勘定科目として「未収入金」を用いる、手数料は「売掛債権売却損」として計上するなど、仕訳方法を知っていれば、問題なく会計処理が可能です。
ファクタリング方式や契約内容により仕訳方法が異なることや、消費税がかからないこと、決算期末をまたぐ際には注意が必要な点などを把握し、正しい会計処理を行いましょう。

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