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医療法人ファクタリングとは?特徴やメリットについて解説
2024年9月22日
医療法人を運営している人で資金繰りに常に頭を悩ませている方も多いでしょう。
医療法人は、業界ならではの事情やシステムで資金繰りの悪化がしばしば起こる業種と言われています。
医療法人で必要な資金が手元に残らない際に活用してほしいのが、ファクタリングです。
近年では医療法人に特化した売掛債権買取サービスを手掛けているファクタリング業者もあるので、必要に応じて活用しましょう。
目次
医療法人の資金繰りが悪化する理由
医療法人を運営していて、「どうしてこう資金が貯まらないのか…」と悩んでいる方もいるでしょう。
それは医療法人の運営者ではなく、医療業界が持つ問題に起因しているかもしれません。
医療法人の資金繰りが悪化してしまう業界特有の理由として、以下の要因が挙げられます。
1.診療報酬の入金までに時間がかかる
2.株式や社債の発行は不可
3.設備資金が多額になりがち
なぜ以上で紹介した要因が、医療法人の資金繰りを悪化させるのかについて詳しく見ていきます。
1.診療報酬の入金までに時間がかかる
医療法人にとって主な収入源は、診療報酬でしょう。
保険組合に請求して、報酬を受け取る形ですがほかの業種と比較して回収サイトが長いと言われています。
請求してから入金まで、2〜3か月が一般的です。
通常売掛取引している場合、売掛金の回収は1〜2か月後というところが多いでしょう。
売上の実際の入金に時間がかかっても、経費の支払いは発生します。
医療法人の場合、人件費のほかにも薬剤の購入にリネンなどのリース費用もあるでしょう。
すると売上自体はあるにもかかわらず、現金が手元になくてショートを起こしてしまう危険性が高いわけです。
2.株式や社債の発行は不可
医療法人は一般的な民間企業と違って、株式や社債の発行は禁じられています。
株式会社であれば、新規株式や社債を発行することで不特定多数の投資家から広く資金を募集できます。
しかし医療法人はこのような資金調達ができません。
このため、医療法人はもっぱら診療報酬に頼らざるを得なくなるわけです。
しかも診療報酬が実際に手元に入金するまでに時間がかかるので、資金繰りに頭を痛める医療法人の代表者が多いのです。
3.設備資金が多額になりがち
より手厚い医療サービスを提供するためには、医療機器の導入も検討しなければなりません。
しかし医療機器を見ると精密機械で、いずれも1台導入するだけでもかなりの出費です。
しかも新規導入すれば良いわけではなく、定期的に新しいものに買い替える必要もあります。
このように医療法人が設備導入するためには、多額の資金がどうしても必要です。
また集客を高めるためには、通いやすさも重視されます。
病気やけがで療養中の患者さんなので、通院するのも大変でしょう。
すると送迎バスを最寄り駅から運行したり、施設のバリアフリー化リフォームも検討しなければならないでしょう。
こちらでもまとまった設備資金が必要になり、資金繰りの厳しい状況の続く可能性が出てきます。
医療法人向けのファクタリングの仕組みについて解説
キャッシュフローの悪化で困っている医療法人向けに、ファクタリングサービスを展開しているところもあります。
ファクタリングとは、お手持ちの診療報酬債権を売却することで早期の現金化ができるサービスです。
ファクタリングは業種関係なく、どの法人や個人事業主でも利用可能です。
しかし医療法人に特化したファクタリングは、他とは異なる特徴があるのでまずは見ていきましょう。
3社間が基本
ファクタリングにはビジネスモデル的に、2社間と3社間があります。
医療法人向けのファクタリングは、基本的に3社間になると思ってください。
2社間とは利用法人とファクタリング業者のみの取引です。
一方3社間とはその他に売掛先も巻き込んだ取引になるのが、特徴です。
医療の場合、医療法人とファクタリング業者、保険組合の3社の取引となります。
3社間の場合、売掛先の保険組合の了解を取り付けたうえで手続きを進めなければなりません。
売掛金の回収は業者が直接保険組合から徴収する形になります。
診療報酬の買取サービス
医療法人向けのファクタリングで買取対象になるのは、診療報酬です。
診療報酬のほかにも、介護報酬や調剤報酬を買取に出せる業者も見られます。
医療法人のほかにも介護施設や調剤薬局なども利用可能です。
診療報酬とは、保険組合に請求する金額です。
一方保険診療の場合、通常治療費の3割は受診した患者さん当人が負担します。
こちらの自己負担部分はファクタリングの買取対象ではないので、注意してください。
医療ファクタリングを利用するための条件
医療ファクタリングを利用するためには、医療関連の資格を保有している人のいることが条件です。
医師や介護士、薬剤師などの国家資格者による診療や調剤が行われた時に、初めて診療報酬は発生します。
また健康保険の適用される診療を実施しているところでなければ、医療ファクタリングは利用できないので注意してください。
美容クリニックなど、自由診療の治療しか行っていないところは医療ファクタリングの対象外です。
医療法人向けファクタリングを利用するメリット
医療法人向けファクタリングは、資金繰りに悩む医療機関などにおすすめのサービスと言えます。
キャッシュフローが改善して、資金のやりくりがしやすくなるからです。
その他にも以下のようなメリットが期待できます。
1.より早く現金化が可能
2.借金ではない
3.審査の難易度は低い
4.手数料がかからない
なぜ上で紹介したポイントがメリットになるのか、以下で詳しく見ていきます。
1.より早く現金化が可能
医療法人向けファクタリングのメリットとして、大きいのはより早期に現金化できる点です。
業者によって現金を手にできるまでの期間には多少差があるものの、ほとんどのケースにて1週間程度で資金調達できます。
診療報酬の入金を実際に待つとなると2か月前後かかるので、圧倒的に早く現金を確保できます。
設備投資したい、医療機器に不具合があるので修理や買い替えを検討しているような急遽資金が必要になった時におすすめです。
中には初回申し込みの際に、診療報酬2カ月分の現金化が可能な業者も見られます。
2.借金ではない
ファクタリングとは医療法人が保有する売掛債権を業者に譲渡し、その代わりに代金を受け取る契約です。
よって融資ではなく、後々返済する義務はありません。
ファクタリングを利用しても、帳簿に負債として記録する必要はありません。
銀行融資を受ける場合、医療法人も例外ではなく申し込み段階の負債状況はチェックされます。
ファクタリングも利用しても負債が増えないので、融資審査でマイナス要因にはならないでしょう。
3.審査の難易度は低い
銀行融資の場合、申し込んだ医療法人の信用力をベースに融資の可否を判断します。
一方ファクタリングは売掛先の信用力を基準に買取の可否を判断するのが大きな相違点です。
つまり銀行融資に申し込んで否決された医療法人でも、売掛先の財務状況が良好であれば、ファクタリングは利用できる可能性があります。
医療法人の売掛先は、保険組合や国民健康保険です。
医療保険制度の中枢機関で、信頼性という部分では国内でもトップクラスの高さです。
銀行融資でお金を借入できないと、絶望的な気分になる医療法人の代表者も多いでしょう。
しかしファクタリングであればまだ利用できる可能性はあるので、決してあきらめないことです。
4.手数料がかからない
ファクタリングは額面通り、売掛債権の買取は行われません。
手数料を差し引いた金額が現金化され、手数料は業者の収益になります。
医療法人向けのファクタリングは手数料が低く設定されているものが多く、効率的に現金化できるのもメリットの一つです。
手数料が低い理由は、まず3社間のサービスである点です。
業者が直接売掛債権を回収する3社間の場合、2社間よりも回収不可になるリスクは低いと言えます。
2社間の手数料相場は8〜18%と言われているのに対し、3社間は1〜9%が相場です。
しかも保険組合の売掛金ですから、回収できなくなる事態はまず考えられません。
よって3社間の中でもさらに低めの手数料が設定されます。
医療法人向けの場合、1〜5%程度が相場だと思ってください。
コストをあまりかけることなく、早期に現金化できるわけです。
ファクタリング利用がおすすめの医療法人とは?
医療法人の資金調達方法の一つに、ファクタリングがあります。
ファクタリングのほかにもいろいろな資金調達方法があって、シチュエーションによってベストの選択肢を使い分けるのが得策です。
ではファクタリングはどのような時に利用すれば良いのでしょうか?
以下で紹介するパターンであれば、ファクタリングの利用を本格的に検討してください。
1.資金繰りが厳しい
2.開業して間もない
3.人件費など支払いが切迫している
なぜ上で紹介したケースがファクタリングを利用するのがおすすめなのか、以下で見ていきます。
1.資金繰りが厳しい
医療法人の売上が下がり気味で資金繰りが厳しくなっているのであれば、ファクタリングの利用を検討してください。
売上を回復するためには医療機器の導入やリフォームなど、なんらかのテコ入れを検討しなければなりません。
医療法人向けのファクタリングでは、2か月分の債権を現金化できる場合もあります。
まとまった資金が手に入るので、こちらを元手に設備投資も可能です。
コロナ禍で自粛生活が広く浸透し、患者さんが頻繁に来院しなくなったクリニックも多いでしょう。
売上が厳しければ、ファクタリングで院のリニューアルも検討してみると良いでしょう。
2.開業して間もない
医療法人が新規でクリニックなどを開業した直後で、分院を出す場合には銀行の融資をお願いしても否認される可能性が高いでしょう。
とくに開業時にローンを組んでいて負債のある状況では、金融機関も融資に後ろ向きになりがちです。
また個人でクリニックを開業した場合、まだ十分な集客はないでしょう。
その状況で銀行融資を申し込んでも、審査は厳しくなりがちです。
このように融資が厳しい状況で資金調達する際には、ファクタリングの利用を検討してください。
3.人件費など支払いが切迫している
医療法人の場合、診療報酬が支払われるのに2か月前後かかります。
しかし人件費の支払いは決して後回しにはできません。
未払いが発生すれば、スタッフも離職してしまうかもしれません。
とくにボーナスや退職金を支払うとなると、短期間である程度まとまった資金が必要になるでしょう。
このように短期間でまとまった資金が必要、しかし手元に資金がない場合にはファクタリングの利用がおすすめです。
早期に現金化できるので、期日までに資金を確保できるからです。
医療法人とファクタリングに関するまとめ
株式や社債の発行ができない医療法人にとって、収益源では診療報酬が頼りです。
ところが診療報酬を請求してから実際に入金されるまでに、2か月前後かかります。
その間の資金繰りに苦しんでいる医療法人の代表者も少なくないでしょう。
そこでおすすめなのは、診療報酬の買取を行っているファクタリングです。
1週間前後で現金化できるので、当面の支払いの原資に充当できます。
また診療報酬の譲渡契約となり借金ではありません。
今後の銀行融資の審査でマイナスにならないので、必要に応じて活用していきましょう。