お知らせ
Message
ファクタリングにおいて二重譲渡はご法度!債権の二重譲渡のリスクやファクタリング会社複数利用について解説します
2023年12月7日
ファクタリングとは、売掛債権を期日よりも早く現金化することができる資金調達手段であり、急な資金不足に対応できるスピード性に長けたサービスです。
ファクタリングの利用には「売掛債権」の存在が必須です。
この債権を二重譲渡することは、決してあってはならぬことです。
知らず知らずのうちに二重譲渡をしてしまわないように、二重譲渡の危険性やリスク、複数利用との違いなどを分かりやすく解説します。
今回の記事を参考にし、ファクタリングを安心安全に活用しましょう。
目次
「売掛債権」とは?
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却し、債権額面から手数料を差し引いた金額を期日よりも早く現金化できるサービスです。
では、「売掛債権」とはどういったものなのでしょうか。
売掛債権とは、掛け取引の際に発生する「後からお金を受け取ることのできる権利」です。
普通の現金取引とは異なり、信用取引の上で成り立っています。
例えば、A商店がB商店に対して商品を50万円掛けで売り上げたとします。
その場合、A商店は50万円の売掛債権が発生し、後日、B商店から50万円を受け取ることができます。
この取引が発生した日から入金されるまでの期間を支払いサイトといい、この支払いサイトが長ければ長いほど、資金繰りは難しくなるといわれています。
建設業や運送業といった産業では、この支払いサイトが半年を超えることもあります。
そのため、手元の現金がどんどん減っていき、黒字倒産といった最悪な事態を招いてしまうこともあるのです。
売掛債権は資産に計上されますが、実際は多すぎたら多すぎたで悪影響を及ぼしかねません。
では、この売掛債権を二重譲渡するとはどういった行為に値するのでしょうか。
次項で詳しく説明させていただきます。
債権の「二重譲渡」とは?
債権の「二重譲渡」とは、1つの債権を複数の譲り先に譲渡してしまうことです。
A商店が所有しているB商店から50万円を受け取る権利をCファクタリング会社にもDファクタリング会社にもばれないように譲渡した場合、50万円を受け取る権利を2箇所に売ったので100万円得ることが出来ます。
2社間ファクタリングを利用すれば、債権の譲渡は第三者にばれないため、非常に効率のいい資金調達方法に見えますが、実際には、1つの債権を複数利用することは二重譲渡となり、罪に問われます。
(※ 2社間ファクタリング・・・サービス利用者とファクタリング会社間で行う契約。第三者に知られず即日で資金調達ができる特徴を持つが、手数料が比較的高い。)
二重譲渡はどんな罪に問われるのか
債権の二重譲渡は、詐欺罪や横領罪に値し、犯罪行為とみなされます。
詐欺罪は懲役10年以下、横領罪は単純横領罪であれば懲役5年以下、業務上横領罪であれば懲役10年以下となります。
安易な気持ちで債権を二重譲渡した場合、会社はもちろん、その従業員の未来までもが真っ暗となってしまいます。
ファクタリングで発生しうる二重譲渡以外の犯罪
ファクタリングを利用する際、二重譲渡以外にも様々な犯罪の可能性があります。
請求書の偽装や提出書類の偽装です。
こういった場合も詐欺罪として扱われますので、文書を偽造する前に「本当にその偽造はしなければならないのか」を自分自身に問いただし、ファクタリング会社に相談をしてみて、解決する施策を模索しましょう。
二重譲渡がばれた!どんなシチュエーション?
前述したとおり、ファクタリングの契約形態の中でも2社間ファクタリングを選択していれば、基本的に第三者に債権の譲渡がばれることはありません。
ですが、それでも二重譲渡がばれるケースはあります。
今回は3つのシチュエーションをご紹介します。
見積もり時
ある債権を二重譲渡しようと、先にAファクタリング会社に売却し、同じ債権をBファクタリング会社で見積もりをしてもらったとします。
Aファクタリング会社で債権譲渡登記を済ませていた場合、見積もりの時点で債権譲渡登記を確認されたらばれてしまいます。
また、ファクタリング会社は審査の際に「概要記録事項証明書」を法務局でとる場合があります。こちらの内容でも、二重譲渡を見抜くことができます。
ですが、基本的にはファクタリング会社はスピード命を謳っている場合が多いため、この作業を見積もり・審査の際に省く可能性があります。
債権譲渡登記を確認したとき
債権譲渡登記とは、債権の譲渡を第三者に示す登記のことです。
この登記によって、債権の移動は証明され、誰でも閲覧することのできるものです。
見積もりでばれなかった場合でも、債権譲渡登記を確認された時に必ずばれてしまいます。
ファクタリング会社は審査の際に、債権に対して「ちゃんとお金が返ってくるか」を判断しなければなりません。その際にもちろん、二重譲渡であるとファクタリング会社にとって大きなリスクであるため、避けようと思います。
二重譲渡である売掛債権を回避するには、債権譲渡登記を見れば一発で分かります。
他社にも譲渡されている表記が確認できた場合、二重譲渡をしようとしたことがばれてしまいます。
基本的には、ファクタリングを利用する時の手数料の中に債権譲渡登記代が含まれていることがほとんどです。
債権譲渡登記を留保できるファクタリング会社も存在しますが、変なことは考えず、まっとうにファクタリングを利用しましょう。
決済が行われなかったとき
基本的に3社間ファクタリングでは債権譲渡登記を必要とせず、また、前述した通り、近年では2社間ファクタリングにおいても債権譲渡登記を留保できる会社もありますので、二重譲渡がばれにくくなっています。
ですが、結局、決済が行われなかった場合にばれてしまいます。
期日を過ぎても債権のお金をファクタリング会社が受け取れない場合は、債権の二重譲渡が疑われます。
決済日にファクタリング会社の前から姿を消したとしても、犯罪者であることは変わりありません。そして、結果的にすべてばれて捕まってしまうと考えましょう。
つまり、いかなる場合であっても債権の二重譲渡は基本的に露呈してしまい、犯罪であることがご理解いただけたのではないでしょうか。
二重譲渡を行うことよって予想されるリスク
二重譲渡は犯罪ですので、もちろんリスクしかありませんよね。
実際に二重譲渡を行えばどのようなリスクが発生し、会社や人生に悪影響を及ぼすのでしょうか。
社会的な信用を失う
一度犯罪をしてしまえば、社会的な信用を失うことは間違いないでしょう。
どれだけ積み上げた信用であっても、一瞬で崩れ落ちます。
「二重譲渡を行った」というレッテルが消えることはなく、会社の再建はほぼ不可能であると考えた方がいいでしょう。
最近では、インターネットの普及により、すべての履歴がオンライン上に残されていきます。簡単に過去をなかったことにはできないのです。
また、一度失った信用は社会的なもの以外にも、今までの取引先や融資先との関係も壊しかねません。取引先も一度前科を犯した企業とやり取りをしたいとは思いませんし、融資の際の審査においてもネックとなってしまうのでしょう。
軽はずみな気持ちで二重譲渡を行うことで、その先の人生を棒に振ることになってしまいます。
損害賠償を請求される
二重譲渡によってファクタリング会社からお金を得た場合、そのお金を返金しただけでは事はすまないでしょう。
ほとんどの場合が損害賠償を請求されることになるでしょう。
基本的には、損害賠償の金額にプラス訴訟費用などの諸経費が上乗せされ、請求されます。
被害の大きさによっては想像以上の損害賠償が請求されることが予想されます。
また、大きな損害賠償が請求された場合、会社のお金で庇うことが出来ず、自己破産に陥る可能性も大いに考えられるでしょう。
以上がファクタリングにおいて二重譲渡行う場合に予想されるリスクでした。
いかにハイリスクであるかをご理解いただけたのではないでしょうか。
ファクタリング会社の複数利用ならOK!
1つの債権を複数のファクタリング会社に売却することはご法度です。
ですが、所有している複数の債権をそれぞれ違うファクタリング会社に売却することは法的に大丈夫です。
A債権をAファクタリング会社に、
B債権をBファクタリング会社に、
C債権をCファクタリング会社に売却する。
これは何の問題もありません。
このようなやり方をする場合は、1つの債権を複数のファクタリング会社で見積もりだけもらい、最も高額で売却できるファクタリング会社を1つ選ぶべきでしょう。
ファクタリング会社は信用情報の照会ができません。
そのため、AさんがAファクタリング会社を利用した事実をBファクタリング会社の人は閲覧することができません。
融資における審査では、こういった信用情報を閲覧され、また、複数の融資先から借入している場合はマイナス評価になる可能性があります。
ファクタリングの場合は、逆に複数のファクタリング会社を利用していることは推奨されることですので、あまり気にしなくてもよいでしょう。
つまり、ファクタリングを利用するうえで、1つの債権を複数利用することはだめですが、複数の債権をそれぞれ違うファクタリング会社に売却することは、むしろ、推奨されている方法なのです。
ファクタリングの二重譲渡のまとめ
ここまででファクタリングの二重譲渡のリスクについて説明させていただきました。
今回の記事をまとめますと以下の通りです。
・売掛債権とは・・・「後からお金を受け取ることのできる権利」
・債権の「二重譲渡」とは・・・1つの債権を複数の譲り先に譲渡すること
<二重譲渡はどんな罪に問われるのか>
・詐欺罪
・横領罪
<ファクタリングで発生しうる二重譲渡以外の犯罪>
・請求書の偽装
・提出書類の偽装
<二重譲渡がばれるシチュエーション>
・見積もり時
・債権譲渡登記を確認したとき
・決済が行われないとき
<二重譲渡を行うことによって予想されるリスク>
・社会的な信用を失う<
・損害賠償を請求される
<ファクタリング会社の複数利用ならOK!>
・所有している債権をそれぞれ違うファクタリング会社に好条件を選りすぐって売却することは大丈夫である
いかにファクタリングにおいて債権を二重譲渡することがリスクとなるかご理解いただけたでしょうか。
安易な気持ちで簡単にお金を増やそうとすると、取り返しのつかないことになるでしょう。
まずは、複数のファクタリング会社で見積もりをとり、自分たちにとって適正のあるファクタリング会社を選んでいくことが希望金額に到達するための近道でしょう。
今回の記事によって、売掛債権の二重譲渡の罪の大きさを理解していただき、安心安全に正しくファクタリングを活用していただけたら幸いです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。