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【貿易業必見】国際ファクタリングとL/Cの違いと仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説!
2024年1月4日
貿易業者様向けファクタリングの紹介記事になります。
・国際ファクタリング(貿易ファクタリング)とは何だ?
・貿易業の海外債権もファクタリングできるの?
など、貿易業の国際ファクタリングについて解説します。
グローバル化が進み、日本国内の製品を海外に輸出する貿易業の企業が増えてきました。
そこで心配となるのは、取引先の海外企業からきちんと確実に売掛金の回収ができるかどうか。
「貿易業で海外進出したいけど、しっかり売掛金を回収できるか不安・・・」
「貿易業はなにかあった時に言語も通じないし、きちんと対応できるかな・・・」
「貿易業でトラブルが起きたときに、逃げられたりしないかな・・・」
海外取引の貿易業だからこそ生じる不安や悩みもありますよね。
このような課題に対して、一般的には銀行が行うL/Cで対応してきましたが、L/C開設には手間も時間もかかり、審査も厳しいという問題があります。
そこで、貿易業の強い味方となり得るのが「国際ファクタリング」。
この記事では、
- 国際ファクタリングの仕組みと流れ
- L/Cと国際ファクタリングの違い
- 国際ファクタリングのメリット・デメリット
を解説します。
この記事を読むことで、貿易業の強い味方である国際ファクタリングの理解が深まり、なおかつL/Cとの違いもわかるようになるため、自社に適した選択ができるようになるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
目次
国際ファクタリングとは
国際ファクタリングとは、従来のファクタリングを「国際間取引専用」に応用したもの。
従来のファクタリングは、貿易業の強い味方ではなく国内取引専用であり、利用会社とファクタリング会社で契約を結ぶ2社間ファクタリングと、利用会社とファクタリング会社と売掛先で契約を結ぶ3社間ファクタリングの2つの方式があります。
ファクタリング会社が売掛先の与信調査を行い、「売掛先に十分な支払い能力がある」と判断されればファクタリングの利用ができ、売掛金の現金化ができるという仕組みです。
しかし、貿易業の国際間取引となると売掛先が海外企業となるため、国内のファクタリング会社は正確な与信調査を行うことができません。
そこで、国際ファクタリングでは「海外のファクタリング会社」と連携し、正確な与信調査を行い、貿易業の国際間取引においても安全にファクタリングを行うことを実現したのです。
つまり、国際ファクタリングは、
- 利用会社(国内企業:輸出会社)
- 国内のファクタリング会社
- 売掛先(海外企業:輸入会社)
- 海外のファクタリング会社
の4社間で契約を結ぶ「4社間ファクタリング」となります。
また、従来のファクタリングの目的が「手早い現金化」であったのに対し、国際ファクタリングは「海外企業の与信調査」と「海外企業からの売掛金の支払いを確実なものにする」ことを主な目的とするサービスとなっています。
国際ファクタリングの仕組みと流れ
では4社間で行うファクタリング、「国際ファクタリング」の仕組みと流れはどのようになっているのでしょう。
関係する会社が増えるため、従来のファクタリングよりもやや複雑な仕組みとなっていますが、仕組みを理解することは重要なので、しっかり確認していきましょう。
- 国内の輸出会社(利用会社)と海外の輸入会社(売掛先)との間で売買契約を結ぶ
- 輸出会社は輸入会社に対し、国際ファクタリングの利用を通知、承諾を得る
- 輸出会社から日本国内のファクタリング会社へ国際ファクタリングを依頼する
- 国内のファクタリング会社から海外のファクタリング会社へ、輸入会社の与信調査を依頼する
- 海外のファクタリング会社が、輸入会社の与信調査を行う
- 与信に問題がなければ、国内のファクタリング会社へファクタリング協力の承諾を通知する
- 輸出会社は、輸入会社へ向けて商品を輸入する
- 輸出会社は契約通りに商品を輸出したことの証明書類(インボイス書類やB/L等)を国内のファクタリング会社へ提出、売掛金の支払いを依頼する
- 支払期日に輸入会社が海外のファクタリング会社へ売掛金を支払う
- 海外のファクタリング会社から国内のファクタリング会社へ売掛金が支払われる
- 国内のファクタリング会社が輸出会社へ売掛金の支払いを行う
国際ファクタリングは、このような流れで進んでいきます。
- 利用会社(国内輸出会社)、国内のファクタリング会社、売掛先(海外輸入会社)、海外のファクタリング会社の4社が関わる
- 売掛先の与信調査は現地のプロである海外のファクタリング会社が行う
このような特徴があるファクタリングとなります。
従来のファクタリングの目的が「手早い現金化」であったのに対し、国際ファクタリングはあくまで「売掛金の支払いを確実にするもの(保証)」を主な目的としています。
国内における「保証ファクタリング」のような立ち位置と言えるでしょう。
また、売掛金を早期現金化したい場合は、支払期日前に国内のファクタリング会社に先払いをしてもらうことも可能です。
つまり、国際ファクタリングは「売掛金の保証」と「売掛金の早期現金化」、両方の機能を兼ね備えたファクタリングと言えるでしょう。
国際ファクタリングの手数料
国際ファクタリングも、従来のファクタリング同様、利用時にはファクタリング手数料が発生します。
一般的には、売掛先の与信調査費1万円~3万円と請求書(インボイス金額)の0.7%~2.0%がファクタリング手数料として請求されます。
貿易業は売掛金額も高額である場合が多いため、決して安い手数料とは言えませんが、確実に売掛金を回収するための保険として考えると、支払う価値はある手数料と言えるでしょう。
国際ファクタリングと貿易信用状(L/C)の違い
ここまで、国際ファクタリングの解説をしてきましたが、「貿易信用状(L/C)とはなにが違うの?」と思った方もいるのではないでしょうか。
「売掛金の回収」という点では同じように感じるかもしれませんが、国際ファクタリングと貿易信用状(L/C)の仕組みは全く異なります。
以下に貿易信用状L/Cの仕組みと、国際ファクタリングとの違いについて詳しく解説していきます。
貿易信用状L/Cとは
貿易信用状L/C(Letter of credit)とは「輸出会社側の取引銀行が、輸出会社に対して輸入代金の支払いを確約する証書」のこと。
輸出会社と輸入会社の間に日本の銀行および海外の銀行が介入し、支払いを保証するシステムとなります。
国際取引の貿易業は、言語も違えば、商習慣も違う会社同士が取引をするわけですから、国内取引にはないさまざまな問題が生じ、そのひとつに「お金」の問題があります。
前払いの場合は輸入会社が「商品を入手できないリスク」を負い、後払いの場合は輸出会社が「代金を回収できない」リスクを負うことになるでしょう。
この双方の問題を解決するべく貿易信用状L/C(Letter of credit)は、開発されたのです。
※貿易信用状L/Cの流れを説明するにあたり、輸入会社を日本、輸出会社をタイとさせていただきます。
- 日本企業(輸入会社)とタイ企業(輸出会社)の間で売買契約を結び、決済手段として貿易信用状L/Cを用いることを合意する
- 日本企業は日本の銀行に貿易信用状L/Cの発行を依頼する
- 日本の銀行からタイの銀行へ貿易信用状L/Cを送付する
- タイの銀行からタイ企業へ貿易信用状L/C受け取りの通知がされる
- タイ企業は貿易信用状L/Cに記載されている内容の商品を発送し、その証明となるB/L(船荷証券)が発行される
- 船積書類B/Lなどの書類で契約通りに輸出したことを銀行に証明する
- 船積書類B/L含む荷為替手形をタイの銀行は買取り、タイ企業は代金を手に入れる
- タイの銀行から日本の銀行へ、B/L含む荷為替手形を送付する
- 日本の銀行が為替手形決済を行い、日本企業から支払金額を回収する
- 日本企業は支払いと引き換えに、B/Lを取得する
- 取得したB/Lを船会社へ提出し、輸入品の受け渡しが完了する
このような流れで貿易信用状L/Cは執り行われています。
- 商品を発送した証明船積書類(B/L)の提出により、輸出会社の「代金を回収できないリスク」を回避
- 代金支払い後に船積書類B/Lを取得、提出することで輸入会社の「商品を入手できないリスク」を回避
貿易業における輸入側・輸出側のリスクを双方カバーできるのです。
ただし、貿易信用状L/Cの内容と船積書類B/Lの内容が完全に一致していないと銀行は為替手形を買い取ることができず、資金調達ができないという問題も生じやすいため、注意が必要。
貿易信用状L/Cのメリットとデメリット
輸入側・輸出側のリスクを回避できる貿易信用状L/Cのメリット・デメリットを見てみましょう。
<輸出会社のメリット>
|
<輸入会社のメリット>
|
<貿易信用状L/Cのデメリット>
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貿易信用状L/Cと国際ファクタリングの比較
貿易信用状L/Cと国際ファクタリングの違いを表にまとめてみました。
貿易信用状L/C | 国際ファクタリング | |
申込者 | 輸入会社 | 輸出会社 |
契約内容 | 売掛金を担保とした貸付 | 売掛債権の買取り |
責任の所在 | 貿易信用状L/Cを発行している銀行 | 海外のファクタリング会社 |
審査基準 | 厳しい 輸出会社の与信を重視 |
柔軟 輸入会社の与信を重視 |
書類の煩雑度 | 高い | 低い |
手数料 | 通信費1万円程度 手数料0.04%~0.08% 為替手数料 |
与信調査費1万円~3万円 手数料0.7%~2.0% |
国際ファクタリングは、貿易信用状L/Cのデメリットである「貿易信用状L/C開設の難易度の高さ」と「書類の不一致等の書類の煩雑度の高さ」「時間がかかる」などの問題点を解消した方法と言えます。
実際、近年貿易信用状L/Cは減少傾向にあり、国際ファクタリングへの移行が世界的に進んでいます。
国際ファクタリングの4つのメリット
国際ファクタリングのメリットは以下の4点です。
- 売掛金が確実かつ迅速に回収できる
- 信用状の開設が不要
- 書類送付等による遅延が生じない
- 与信調査が行える
1,売掛金が確実かつ迅速に回収できる
国際ファクタリングの主な目的は「売掛金の保証」。
輸入会社の倒産や不当な理由での支払い拒否などに関係なく、代金を受け取ることができます。
また、貿易信用状L/Cの場合ディスクレ(※)が生じる可能性があり、現金化までに時間がかかることもしばしば。
国際ファクタリングは、B/Lなどを提出した時点で売掛金の請求が可能となるため、確実かつ迅速に売掛金の回収ができるというメリットがあります。
(※)ディスクレとは、船積書類(B/L)と貿易信用状(L/C)の内容が一致しないことを指します。
2,信用状の開設が不要
貿易信用状L/Cを利用する場合、銀行で信用状開設の依頼をしなければなりません。
依頼を受けた銀行は、輸入会社・輸出会社ともに十分な信用がある場合に限り、L/Cの開設を承認し、L/C取引を行う流れとなります。
しかし、貿易信用状L/Cは「売掛債権を担保にした貸付」契約であるため、審査が非常に厳しく、また必要な書類も多いため、開設までに相当な手間と時間がかかるというデメリットが。
対し、国際ファクタリングは「売掛債権の買取り」であるため、審査も柔軟かつ必要書類も少なくて済むため、利便性が高いサービスと言えるでしょう。
3,書類送付による遅延が生じない
銀行が仲介する貿易信用状L/Cでは、提出書類の煩雑さ・複雑さが問題となります。
銀行間で書類のやり取りをするため、多くの時間を要し、さらにディスクレが生じる可能性も・・・。
ディスクレが生じれば、手続きはさらに長期化し、現金化までに時間がかかるでしょう。
国際ファクタリングは、船積書類B/Lなどの書類を国内のファクタリング会社へ提出するだけで、ファクタリングの利用ができるため、書類が問題となり遅延が生じることはありません。
4,与信調査が行える
国際ファクタリングでは、輸入会社が信用に足りる企業なのかどうかの与信調査を、海外のファクタリング会社が担います。
海外のファクタリング会社は言わば、現地における与信調査のプロ。
海外企業の正確な与信調査を国内で行うのは難しいですが、現地のプロにお任せができるという点は大きなメリットとなるでしょう。
特に言葉も文化も異なる異国の地の会社とのやり取りでは、信頼関係は命となります。
現地のプロが「信用に問題がない」と判断した会社は、十分信用できる会社であり、安心した貿易取引が可能となります。
また、国際ファクタリングの申込みをして、海外のファクタリング会社からファクタリングの利用を断られた場合には、それだけ「信用のない会社」という判断ができるので、取引相手として相応しくないというリスクヘッジも可能となります。
国際ファクタリングの4つのデメリット
貿易業の強い味方の国際ファクタリングのデメリットは以下の4点です。
- 手数料が高い
- 利用できる会社が少ない
- 輸入会社の承諾が必要
- カントリーリスクはカバーされない
1,手数料が高い
国際ファクタリングは貿易信用状L/Cと比べると、手数料が割高です。
国際ファクタリングと貿易信用状L/Cの手数料は以下の通り。
国際ファクタリング | 貿易信用状L/C |
与信調査費:1万円~3万円程度 手数料:インボイス金額の0.7%~2.0%/月 |
電信料:1万円程度 手数料:インボイス金額の0.5%~1.0%/年 (0.04%~0.08%/月) その他:為替手数料 |
国際ファクタリングの最大値2.0%、貿易信用状L/Cの最小値0.04%を比べると、国際ファクタリングは貿易信用状L/Cの最大50倍もの手数料がかかる計算になります。
手数料が安ければ国際ファクタリング、高ければ貿易信用状L/Cを検討する等の使い分けが必要となるでしょう。
2,利用できる会社が少ない
国際ファクタリングは海外会社との取引を含むことから、ある程度の規模がある会社でないと提供することが難しいです。
そのため、民間のファクタリング会社等は取り扱っていません。
国際ファクタリングを提供しているのは、メガバンク系のファクタリング会社だけ。
メガバンク系のファクタリング会社でも必ず対応しているわけではないので、提供している会社自体の数が少ないというデメリットがあります。
3,輸入会社の承諾が必要
国際ファクタリングは、輸入会社からファクタリングの利用に対する承諾を得られなければ、利用することはできません。
場合によっては、国際ファクタリングを利用できないこともあるため、事前に要件を確認しておくことが大切でしょう。
4,カントリーリスクはカバーされない
国際ファクタリングは、売掛金の回収が確実になるというメリットがあります。
ほとんどのケースで保証されることから、「絶対に100%回収できる」と思われがちですが、国際ファクタリングには保証を受けられる場合と、受けられない場合が存在します。
国際ファクタリングで保証を受けられるのは、あくまでも輸入会社の不払いや倒産などが原因で売掛金の介入ができないというケース。
国際問題や戦争のようなカントリーリスクや時価の下落などによる未払いは、カバー非対象となるため、注意が必要です。
また、輸出会社の商品に問題があったり、契約違反をしたり等のマーケットクレームが原因で、輸入会社が支払いを拒否した場合も対象外となります。
「なにがあっても100%保証」というわけではないことは、頭に入れておきましょう。
国際ファクタリングがおすすめなケース
貿易信用状L/Cと国際ファクタリング、それぞれの仕組みやメリット・デメリットは理解していただけたでしょうか?
国際ファクタリングの利用をおすすめする3つのケースをご紹介します。
1,確実に売掛金の回収をしたい場合
国際ファクタリングであれば、貿易信用状L/Cのディスクレの心配もなく、ほぼ100%の確率で売掛金を回収することができるでしょう。
輸入会社の支払いが滞ってから90日後には保証が履行されるため、売掛金の未回収リスクを心配する必要がありません。
2,貿易信用状L/Cを開設したくない、もしくはできない場合
貿易信用状L/C開設は手続きが煩雑な上に、審査基準も厳しく、開設できないこともしばしば。
国際ファクタリングは審査が柔軟であるため、貿易信用状L/C開設の審査に落ちてしまった場合でも利用できる可能性は高いです。
また、国際ファクタリングは手続きが簡単というメリットもあるので、貿易信用状L/C開設の手間を負担に感じる方にもおすすめとなっています。
3,与信管理をアウトソーシングしたい場合
国際ファクタリングの強みは、なんといっても輸入会社の与信調査を現地のプロである海外のファクタリング会社が行うという点。
正確な与信調査ができるため、与信管理をアウトソーシングしたい場合にもおすすめです。
国際ファクタリングを提供している会社3選
みずほファクター
みずほファクターは、みずほフィナンシャルグループが運営するファクタリング会社で、東京・大阪・福岡に支店を構えています。
利用可能国は、米州・欧州・アジア・オセアニア・中東・アフリカと、金融情勢が比較的安定している国のみ。
みずほファクターの特徴は、輸入会社の支払いが90日以上遅延した場合に売掛金の支払いを保証してくれる点となっています。
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三菱UFJファクター株式会社
三菱UFJファクター株式会社は、三菱UFJグループの子会社で、東京・大阪・名古屋・福岡に支店を構えています。
手数料等の詳細は非公開ですが、輸出入先の2カ国だけでなく、さらに中継国を加えた「3国間貿易」にも対応しているという特徴があります。
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SMBCファイナンス
SMBCファイナンスは、三井住友銀行の子会社です。
SMBCファイナンスの特徴は、カントリーリスクをカバーしているという点。
手数料や詳しい仕組み、保証条件は要問い合わせになりますが、カントリーリスクもカバーできるのは大きな魅力でしょう。
【貿易業必見】国際ファクタリングと貿易信用状L/Cの違いと仕組みやメリット・デメリットのまとめ
この記事では、国際ファクタリングについて貿易信用状L/Cとの違いから、それぞれのメリット・デメリットを解説しました。
国内取引を行っている企業にとって、国際ファクタリングは無縁の世界に思えるかもしれません。
しかし、日本全体を見てもグローバル化は進んでおり、海外企業と取引をする機会も増加傾向にあり、国際ファクタリングを理解しておくことは、今後のビジネスで役に立つでしょう。
貿易信用状L/Cも国際ファクタリングも輸入会社の売掛金の回収をするという点では似た性質がありますが、契約内容は全くの別物。
より利便性が高く、手続きが簡略化されている国際ファクタリングの利用が増加傾向にありますが、それぞれの特徴を理解した上で、どちらを利用するか検討してみてください。